犬は言葉を理解できるのか
犬に言葉を覚えさせるコツを考える前に、犬は言葉を理解できるのかどうか、近年の研究に基づく知見を確認してみましょう。
まずは、人と犬の脳の構造の比較です。基本的にはよく似た構造ですが、人の脳は大脳新皮質が非常によく発達しているのに比べて、犬の脳は大脳新皮質がさほど発達していないという大きな違いがあります。
この違いから、犬には言葉の文法や抽象的な意味合いは理解できないものの、快・不快といった本能的な情動や、嬉しい・怖いなどの感情は人と共通しているというのが、現在の定説になっています。
また、ドイツやイギリスの研究で、ボーダーコリーに同じ方法でトレーニングを行ったところ、片や10年で200個以上、片や3年で1000個以上の単語を覚えたという研究結果も報告されています。
これらの知見を総合すると、ある程度の単語を教え、そこに情動や感情という要素を加味することで、犬にも言葉を覚えさせ、コミュニケーションが図れるということが見えてきます。
犬が言葉を理解する必要性
犬に言葉を覚えさせることが可能だという前提があったとしても、会話ができない犬に対して、言葉を理解させる必要性があるのでしょうか。
これに関しては、犬と一緒に暮らしている飼い主さんであれば、多くの方が「必要だ」と賛同してくださることでしょう。なぜなら、愛犬の身に危険が迫っているような場合、何より真っ先に出てくるのが、言葉だからです。
200個、1000個といった多くの言葉を教える必要はないかもしれませんが、「待て」「来い」「放せ」など、愛犬の身の安全を守るためのいくつかの基本的な言葉は、きちんと教えておきたいと考える飼い主さんはたくさんおられるはずです。
では先ほどの知見を活用して、愛犬に人の言葉を覚えさせるコツを考えてみましょう。
犬に人の言葉を覚えさせるコツ
1.覚えさせる言葉を厳選する
犬にとって覚えられる単語の数には限りがありますので、優先して覚えさせたい言葉を厳選しましょう。一般的には、愛犬の身の安全を守る際に使用する指示語が上位に上がってくることでしょう。
例としては、愛犬自身の名前、動作を中断させる言葉、飼い主さんの元に呼び寄せる言葉、興奮している感情を落ち着かせる言葉、注意を自分に向けさせる言葉、咥えて放そうとしないモノを放させる言葉などが挙げられます。
2.短く聞き取りやすい単語を選ぶ
覚えさせる言葉が決まったら、その言葉として使用する単語を決めます。日本語には同じ意味の単語が複数あるため、1つの意味には1つの単語を対応づけることで、愛犬の混乱を防ぎましょう。
また、犬にとって聞き取りやすく短い単語を選ぶことも、覚えさせやすくするコツの1つです。犬が認識しやすいとされている、1〜2音節程度の単語を選ぶと良いでしょう。日本語よりも、英単語の方が短く通じやすいという意見もあるようですが、いざという時に飼い主さんから咄嗟に出てくる単語である方が良いでしょう。
3.言葉以外の要素を加える
トレーニングで言葉を覚えさせることができますが、より覚えやすくするためのコツとして、話し方に感情を乗せることをおすすめします。例えば、愛犬の行動を抑制するために使う言葉には少し語気を強めた低めの声を使い、それ以外の言葉には少し高めの明るい声を使うことで、飼い主さんの感情と単語を結びつけて犬にわかりやすくするのです。
さらに、1つの単語に1つの手振り(ジェスチャー)を加えることも効果的です。声が届かないような状況でも、手振りでコミュニケーションが図れるというメリットも生まれます。
4.何度も繰り返し教える
学習方法としてはごく基本的なことですが、言葉を教える場合も、根気よく何度も繰り返し教えることが大切です。その際、単語と話し方や手振りの組み合わせを常に同じにすることが大切です。
5.正しい反応に対してきちんと褒める
犬は、ある刺激の直後に起こった出来事とその刺激を関連付ける事で、「やった方が良い」とか「やらない方が良い」という学習をします。そのため、言葉を教える際も、その言葉に対して正しい反応を行ったらすぐに褒めることが大切です。
まとめ
愛犬との暮らしを安全で快適なものにするためには、愛犬との間に信頼関係を築くことと、お互いにコミュニケーションが図れることが欠かせません。特に、いざという時に愛犬に言葉で危険を知らせることができれば、安心です。
愛犬に言葉を覚えさせるためには、下記のコツを意識してトレーニングを重ねることで、成功率を上げることができるでしょう。
- 覚えさせる言葉を厳選する
- 短く聞き取りやすい単語を選ぶ
- 言葉以外の要素を加える
- 何度も繰り返し教える
- 正しい反応に対してきちんと褒める
愛犬に必要な言葉を教えることで、愛犬との生活をより安全で充実したものにしていきましょう。
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