病院で働く人々のメンタルヘルスを支える犬
病院で働く犬と言えば、治療中の患者さんの精神的なサポート役となるセラピードッグが一般的です。
しかし、カナダのオンタリオ州にあるケンブリッジ・メモリアル病院では、患者さんではなく病院で働く医師、看護師、スタッフ、ボランティアのメンタルヘルスのサポート役として働いている犬がいます。
この犬の名は「エンバー」。今年で4歳になるメスのラブラドールで2022年5月から同病院で働いています。
犬が来るのを楽しみに待っている病院のスタッフたち
エンバーは、カナダのナショナル・サービス・ドッグズという介助犬養成のための非営利団体で育てられ、認定された施設犬です。
この団体は自閉症スペクトラムの子どものための介助犬、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を持つ人のための介助犬、各種団体や施設で働く施設犬の養成や提供を実施しています。
ケンブリッジ・メモリアル病院は、ナショナル・サービス・ドッグズが提供する専用の施設犬がいるカナダで初めての病院です。
同病院には患者さんのために働くセラピードッグが2頭いますが、エンバーはセラピードッグではないので患者さんと接することはほとんどなく、病院のスタッフのためだけに働いています。
勤務中のエンバーは8時間のシフト中、さまざまなスタッフを訪ね歩きます。エンバーが疲れすぎたりストレスを感じたりしないよう、シフト中も何度も休憩や遊びの時間が取られています。
またエンバーを迎えるに当たって、複数の病院スタッフがハンドラーとしてのトレーニングを受けて、交代でエンバーの世話をしているそうです。
エンバーのハンドラーの一人である担当者は、エンバーがスタッフ一人一人の接し方を観察し、理解しようと努めていると言います。
病院で働く人々は、エンバーに出すための統一した合図や言葉を教えられています。言うまでもなく彼らはエンバーの訪問を楽しみにしているのですが、エンバーの存在は今まであまり交流のなかったスタッフ同士が、言葉を交わす機会も作り出したといいます。
犬がそばに来てくれることや犬との触れ合いが働く人のストレスを和らげるだけでなく、人間同士の関係にも良い影響を及ぼすのは嬉しい効果ですね。
犬の存在とスタッフのメンタルヘルスの関係を調査する研究もスタート
エンバーのこのような活躍は、医療関係者のメンタルヘルスの研究者にも注目されています。病院と同じくオンタリオ州にあるゲルフ大学の集団医学の研究者は、エンバーが病院のスタッフに与えている影響についての調査研究を計画しています。
カナダにおいても医療従事者が仕事中に直面するストレスや、そこから来る人員不足は大きな問題です。燃え尽き症候群になってしまう医療従事者も多いといいます。
ゲルフ大学の研究者は、医療従事者の精神的な健康をサポートし、スタッフが退職せずに定着するための方法を探しており、ケンブリッジ・メモリアル病院とエンバーがその調査対象となりました。
調査は2024年5月に開始され、エンバーとスタッフとのやりとり、働く人々への聞き取り調査などを通して、エンバーの訪問とスタッフのメンタルヘルスとの間に相関関係があるかどうかを調べていくそうです。
まとめ
カナダの病院で医療従事者やボランティアのメンタルヘルスのサポート役として働く犬がいること、その犬が働く人々に及ぼす影響を調査する研究が始まるという話題をご紹介しました。
病気を治療し、人々が健康でいるために働いている医療従事者の皆さんの精神的な健康は社会全体にとっての大きな課題です。
医療従事者をサポートする犬は社会全体を支えているとも言えます。今後、ゲルフ大学による調査結果が報告されるのを楽しみに待ちたいと思います。
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