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アメリカで新しく始まった犬の認知症研究が目指すもの


アラスカで新しく始まる犬の認知症研究

ソリを引く犬たち

高齢犬の認知機能障害(認知症)は、多くの犬や飼い主さんが経験しています。犬の認知症についての研究も数多く行われていますが、まだ十分な結果が出ているとは言えない状態です。

このたびアメリカのアラスカ大学フェアパンクス校獣医学部の研究チームが、製薬会社ニューロナセント社から1万ドルの助成金を受け、犬の認知機能障害の研究をスタートすると発表しました。

この研究は人間といっしょに室内で暮らしているペットの犬を対象にしています。アラスカはアメリカの他の地域に比べると少し特殊な環境であり、ソリ犬として輸送運搬に重要な役割を果たしている例が多くあります。研究の中で、ソリ犬など働く犬たちとの対比で発見されることもあるのかもしれません。

犬の認知症の初期症状を見逃さないために

頭を撫でられているシニア犬

このプロジェクトでは、研究に参加する家庭犬が一般募集されます。8歳以上の犬を対象に、認知機能のスコアリング、血液検査、脳容積の測定、MRIを使った脳の海馬の測定などを継続して行なっていく予定だそうです。

これらによって、犬の認知機能障害が時間の経過とともにどのように進行していくのかを知り、将来の治療方法の有効性を評価するための助けとなっていきます。

犬の認知機能障害の症状には、犬が混乱して家の中を不安そうに歩き回る、家族を認識できなくなる、基本的な身体機能をコントロールできなくなる、攻撃性など性格の変化が現れるといったものがあります。

研究チームは、犬の認知機能障害が地元アラスカでどの程度一般的であるかを調査し、症状の発現を視覚化することを目的にしているといいます。

認知機能障害の初期症状の多くは発見されなかったり、「もう歳だから仕方がない」と受け流されたりする例が少なくありません。早期に発見して対策を立てることで、犬と飼い主両方の負担を小さくして福祉を向上させることができるので、飼い主と獣医師療法の認識を広めて初期の症例を発見していくことを目指しています。

さらに積極的な治療法の研究も

ベッドの上のシニアチワワ

現在、犬の認知機能障害に対する獣医学的治療の大半は症状を遅らせたり抑えることですが、研究チームはさらに踏み込んだ積極的な治療方法の研究を考えているといいます。

この研究への助成金を提供したニューロナセント社は、マウスで損傷した脳組織の再生に成功していて、研究チームはこの新薬のような治療方法をテストしていくことを見据えています。

そして他の多くの犬の疾患研究と同じように、この研究もまた人間の認知機能障害など神経変性疾患にも利益をもたらす可能性があります。

犬は人間とほぼ同じ環境で暮らしており、さらに生命サイクルが早いために人間では何年もかかることが、犬では半年で結果が出ることがあります。そのため犬に有効な治療方法は、人間の治療のモデルとなる可能性が高いのです。

認知機能障害は犬にとっても人間にとっても重篤で苦しい病気ですので、研究の成功を心から望みます。

まとめ

デッキに伏せているシニアのラブラドール

アラスカ大学の研究チームによって、犬の認知機能障害についての新しい研究がスタートしたという話題をご紹介しました。

愛犬の身体の病気が辛いのはもちろんのことですが、大好きだった家族のことがわからなくなってしまったり、いつも不安に怯えている姿を見ることは飼い主さんにとって身を切られるように辛いことです。

また認知機能の低下をきっかけにして飼育放棄につながる悲しい例もあります。犬の認知症研究が進んで、多くの犬が安らかな老後を過ごせる未来が来てほしいものです。

《参考URL》
https://www.uaf.edu/news/study-understand-cognitive-decline-older-dogs.php


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