鼻ぺちゃ犬が罹りやすい病気
「鼻ぺちゃ」という表現がぴったりなキュートで愛嬌がある短頭種の犬種は、パグ、フレンチブル、ボストンテリア、シーズー、マルチーズ、ペキニーズなど、近年の日本でも人気がある犬種ばかりですね。
小型犬が多く、性格も温厚、比較的吠えないというような長所がしばしば紹介されています。
しかし、こんなかわいい犬ですが、もともと長いマズルを持つ犬の形質を品種改良で短くしていったため、その弊害としてかかりやすい病気というものがあります。
そこで今回は、鼻ぺちゃ犬が注意すべき病気について解説します。
1.熱中症
犬は気温が高くなると、舌を出してハッハッハと荒い息を繰り返します。これは「パンティング」といい、舌からの気化熱で体温を下げる大切な行動です。
犬はサラサラした汗をかくエクリン腺が体表に少なく、熱いときに効率よく体温を調節することができません。そのため、パンティングをしたり、水を飲んだりして体温を下げようとするのです。
鼻が長い犬は口腔内も長くて広く、舌も長いため、パンティングで体温を下げやすいです。しかし短頭種の犬の場合は、口腔内も狭く舌も短いため、うまく呼吸で熱を逃がすことができません。その結果、熱中症になりやすいといわれています。
短頭種を飼育する際は、夏場の室温や湿度に十分注意してあげましょう。
2.皮膚炎
短頭種の犬は、そのマズルの短さ故に鼻や口元に皮膚が余る傾向があります。その部分は皮脂腺も多く、皮膚が伸びきらず重なりあい通気性が悪くなることで皮膚炎をおこしやすいといわれています。
特に口元や鼻の上は食事の食べかすがくっついてしまったり、唾液が付着したりして、蒸れ以上に雑菌の繁殖が心配です。
食事の後は綺麗に拭いてあげる、時々しわを伸ばして通気性を確保してあげるなどの対策が必要です。
なお皮膚炎になってしまった場合は、早めに動物病院を受診し、塗り薬などで対策してあげて下さい。
3.短頭種気道症候群
短頭種の犬は、先天的に呼吸器に異常が起こりやすいと言われています。鼻が短いため気道が狭くなってしまうことで起こる呼吸器系や気道の病気をまとめて「短頭種気道症候群」と言います。
眠っているときに酷く大きないびきをかく、寝ている途中でいびきがピタリと止まり無呼吸状態になる、激しい咳をするといった症状のほか、水を飲むときに気道に入ってむせる、普段から呼吸が荒いなどの特徴があります。
これを放置しておくと呼吸の異常が進み、呼吸困難、チアノーゼなどを引き起こして場合によっては死んでしまうこともあるのです。
短頭種気道症候群を予防するためには、激しいパンティングを行わなくてよいように、室温を低めに管理する、太らせない、散歩や運動や早朝など涼しい時間帯に行うなどの方法があります。
特に肥満は、皮下脂肪による圧迫で気道を余計に狭くしてしまうので、摂取カロリーを控えるようにしましょう。
また症状が見られた場合、なるべく早めに動物病院を受診し、検査をする必要があります。
いびきについては、どのような寝方をしているときに大きくなる、どういう時に呼吸が止まるなどを細かく観察したうえで獣医さんに相談してください。
まとめ
鼻ぺちゃ犬は、ちょっとむせたような吠え方もユーモラスなため、気道が圧迫されているということを見過ごされがちです。
短頭種気道症候群については、進行すると致死率も高くなり、また重篤な状態になってからの治療は長期間の入院が必要になったりするので、予防がとても大切になります。
かわいい愛犬の健康を守るためにも、少しでもおかしい呼吸音がするなと思ったら、ぜひ動物病院に相談してください。
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