犬を厳しくしつけると噛むようになる理由
犬を厳しくしつけると噛むようになるというと、そうした厳しい方法で犬をお利口に育てた経験があるという人にとっては反感を買うでしょう。
しかし、それは犬がお利口になったというよりもただ変えることができない状況に対して諦めてしまい、学習性無力感という状態になっているだけだということをぜひ知って欲しいとも思います。
学習性無力感についての詳細はここでは割愛しますが、犬に噛みつくという攻撃行動をしてほしくないのであれば、決して厳しくなんていう方法はとってはいけません。
犬にとって噛むという攻撃行動は「やめてほしい」と伝えても聞き入れてもらえなかった場合に取る最終手段です。
もし普段から厳しさを取り入れた接し方をしていると、そこで起こっている犬にとっての嫌悪刺激となるものから早々に身を守るために噛むという行動を選択することがあります。
また、そうしたしつけ方法をしている相手へは抵抗することを諦めていたとしても、対象が変わると攻撃をすれば環境を変えることができると考えて必死に抵抗を示すということもあるため、「飼い主の前ではお利口なのに飼い主がいないと問題犬になる」ということもしばしばです。
その結果動物病院やトリミングサロンなどでは要注意犬とされてしまうこともあるため、そうやって犬が悪者になってしまわないためにも厳しくしつけるというのは悪手であることを知って欲しいと思います。
犬は噛む前にさまざまなサインを送っている
先ほどから犬にとって噛むという攻撃行動は最終手段であるとお話しているように、噛むという最終手段を選択する前にたくさんのサインを送っていることに気づいているでしょうか?
これはプロのドッグトレーナーや訓練士でもそのサインに気づいていない、もしくは知らない、または都合よく解釈しているということが起こっているためとても難しいのですが、正しくそのサインと意味を学ぶことができると犬が噛むという行動をするよりもっと前の段階で対処ができるため、それを学ぶ問うことは非常に重要です。
例えば犬が何か口に咥えているときにそれを取ろうとすると、咥えているものを守ろうと筋肉が硬直したり、目だけ動かして警戒するような様子が見られます。
実はこうした様子も犬が示すサインで、「近づくな、これはぼくのだ、放っておいてくれ」といったような意味を持ちます。
それを無視すると唸りが出てきて、さらにその唸りがどんどん低く大きなものとなり、最終的に攻撃をしてくることは容易に想像できるでしょう。
しかし、そのサインを見逃したり無視することをしなければ噛み付くという攻撃行動を犬がすることはありません。
犬を厳しくしつけるのではなく人間が犬を学ぶことが重要
こうした話をすると、そもそも人間に対してそのような態度をとるのがよくないからしつけなければいけないという人も出てきます。
ですがそれは犬の示すサインを封じ込めるということを意味し、それによって犬はサインを出す前に今の状況を変えるためすぐさま攻撃をするという選択をしてしまうため危険です。
サインを送ってくれるから攻撃の前の段階で対処ができるのに、それを奪うことになんの意味があるのでしょうか。
もし口に咥えているものを取り出したいのであれば、それを口から出してもらえるように何かもっと別の魅力的なものと交換するなどし、さらには普段の遊びのなかで合図に合わせて咥えているものを離すといったトレーニングをすればよいのです。
そしてそのトレーニングも決して厳しくする必要はなく、ポジティブで優しい方法によって犬が「自分のものを奪われるわけじゃない」と思ってもらえるようにします。
犬を厳しくしつけてコントロールしようとするのではなく、人間がボディサインを学び、犬に不安を与えない方法を学び、どうすれば安心してもらえるかを学んでいくことが重要です。
そうすれば犬は攻撃をして身を守ろうとするのではなく、交換するともっといいものがもらえるというような選択をするようになりますし、そうしたポジティブを生み出す方法はいろんな場面で犬に自信や安心感を与えることができるので、しつけをするのであればぜひ双方が楽しいと思える方法を考えましょう。
まとめ
犬を厳しくしつけると噛まないようになるのではなく、むしろすぐに攻撃行動を選択してしまうようになるため決して罰を使った方法はおすすめできません。
また、そのような方法は犬を学習性無力感という状態にしてしまうため、決して健全な状態といえない犬にしてしまいます。
犬が噛むという攻撃行動をするのは自分の身を守るための最終手段でしかないのですから、そんな方法を選択しないといけないような環境にするのではなく、犬が安心できるような環境に変えることで噛まなくても済むように工夫しましょう。
そのためにもボディサインやポジティブな方法を学び、犬をコントロールしようとするのではなく、犬と折り合いをつけながら協力しあえるような取り組みをぜひしてみてください。
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