2023年に逝去した歌手・八代亜紀さんの「ヌード写真付きCD」を発売するとしているニューセンチュリーレコード株式会社に対し、生前の所属事務所「ミリオン企画」の代表取締役・大野誠氏が4月14日、八代さんの公式ホームページを通じて強く抗議する声明を発表しました。
声明では当該CDについて、「極めて不愉快な出来事であり、絶対に許すことのできないもの」と強く非難。「刑事民事を問わず、あらゆる手続きの準備を進めている」と、法的措置を示唆しています。
■ ネットでは「#八代亜紀さんの尊厳を守れ」の声
問題となっているのは、ニューセンチュリーレコードが発売を予定しているCD作品。同社の公式サイトに掲載された説明文には、次のような記述があります。
「お宝として 八代亜紀が24~25歳の時に同棲していたT社のNディレクターによってポラロイドカメラで撮影されたフルヌード写真2枚が掲載されています 八代亜紀の初めてのヌード写真です」
すでに亡くなった方のヌード写真を特典とする行為に、ネット上では批判が殺到。発売の差し止めを求める声が挙がり、「#八代亜紀さんの尊厳を守れ」のハッシュタグを用いた抗議活動が拡散しているほか、大手通販サイトのタワーレコードやAmazon、楽天などではすでに入荷が差し止められている状況です。
■ ニューセンチュリーレコードは令和5年に法人解散済み?
このような事態を受け、大野氏は3月27日、代理人弁護士を通じて「照会書兼通知書」を同社宛に送付。文書では、遺族らが包括的に有する八代さんの肖像権およびパブリシティ権の侵害に加え、CDの説明文による名誉権の侵害についても指摘しています。
さらに、法人登記上の問題にも言及。同社が「ニューセンチュリーレコード株式会社」と名乗っているものの、現時点でその法人は鹿児島県内に存在せず、かつて東京で解散した法人のみが該当することを示した上で、現在の正式な法人名や代表者名、本店所在地についての照会も行っています。
なお、解散の項目には「令和5年12月13日会社法第472条第1項の規定により解散」と記載されています。これは、最後の登記から12年間動きがなかった会社が、法務局によって「休眠会社」とみなされ、自動的に解散となったことを意味します(いわゆる「みなし解散」)。
一方、ニューセンチュリーレコード側はInstagramを通じて4月10日に声明を発表。「当社は問題と成っている写真などすべての所有権を有しており売買契約書もございます」、「問題の写真類一式を買い取って頂ければお譲りする方針」と主張しました。なお、公式ホームページ上では「当社に直接お申し込みの場合 現金書留にてお申込み下さい」と、直販での販売方針を示しています。
こうした経緯を踏まえ、今回の大野氏側の声明では「死者の名誉棄損罪」や「わいせつ物頒布等罪」に加え、解散法人が収益活動を行っている点に関する税法上の問題にも触れています。しかしながら、通知書に示された回答期限を過ぎても、同社からの返答は得られていない状況とのこと。
大野氏は「八代亜紀の名誉を守るため、あらゆる方策を講じてまいる用意でおります」とし、「引き続き八代亜紀に対する変わらぬご支援のほどよろしくお願い申し上げます」と呼びかけました。
<参考・引用>
Yashiro Music&Gallely
ニューセンチュリーレコード株式会社(公式サイト・Instagram)
(山口弘剛)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 山口 弘剛 | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2025041504.html