清涼感もあり暑い夏にピッタリの和菓子「わらび餅」。これを七色に輝かせて多くの人を魅了したのは、光の特徴を活かしたライトアートオブジェなどを作っているニ=/”彡七+(ニジミナト)さん。
「分光わらび餅」と名付けられた作品には「ダイヤモンドの輝き」「綺麗すぎる」などのコメントが寄せられ、沢山の人に感動を与えています。
ちなみに「分光」とは、光を波長ごとに分けることをいいます。雨の後に虹が見えたり、CDの盤面が七色に輝いて見えたりするのは、「分光」という現象が起こっているためです。この「分光」の仕組みを利用して作品を作り続けているのがニジミナトさん。
今回X(Twitter)に投稿された分光わらび餅には「食べたら謎の力が宿りそう」などの声もありましたが、実は食品サンプルとして作られており、実際は透明なプラスチックと水で作られているそうです。食べられないと分かっていても、食べてみたくなる見事な作品です。
■ 以前はプリズムゼリーという名前で投稿
―― 作品を作り始めたのは、いつ頃からでしょうか?
2013年くらいからです。本業は自分で設計事務所をやっていて、設計する店舗などに「自作の照明器具を提案できないかな」と研究を始めたのがきっかけです。
その前に仕事鬱で半年寝ていたんですが、動き出したくらいの時に大学鬱時代に見た真ん丸の虹で回復したのを思い出し、自分のためにいつでも虹を見られるようにしようと、CDを使った虹の照明の制作も同時に始めました。
そこから段々と分光やスペクトラムなどの極彩色の光を発生させるライトアートオブジェの制作になっていき、今では世界中にそういった作品を販売して、なぜか生計が成り立つようになりました。
―― 分光わらび餅を作ろうと思った理由を教えてください。
2020年くらいにホログラムチョコレートというものがオランダの大学で発表され、驚いたのと同時に悔しく思いました。元々ホログラムや回折格子を使った透明なオブジェをよく作っていたので、透明な食べられるもので自分の作品のようなものを作れないだろうかと思ったのがきっかけです。
―― ホログラムチョコレート??
ホログラムチョコレートは、それ自体に回折格子が刻まれたものです。その型紙が少し体に悪そうなのですが、分光わらび餅はわらび餅(プラスチッククリスタル)が光を拡散して透明なシャーレの下にある、ニジミラーという簡易回折格子鏡がその光を分光しているだけなので全く体に悪くありません。
―― 分光わらび餅を作る上で大変だったことを教えてください。
以前はCDの上にこれを乗せて試していたのですが、あまり上手く虹が出なかったので一旦あきらめていたんです。その後ニジミラーが開発され、その上に載せたら良い感じに虹色の光がでました。ニジミラーはCDと違って回折格子の向きが様々なので、スペクトラムの発生が多様になりました。
―― 分光わらび餅が大きな反響を呼んだことについて感想を教えてください。
4年前の作品なんですが、この暑さで清涼感を求めて題名を変え、再投稿したのが良かったんだろうなと思います。
以前はプリズムゼリーという名前で投稿しており、インスタなどではバズっていたんですが、Xではそこまでの反応が無かったです。わらび餅というキャッチコピーにしたのが受けた理由かなと思います。
* * * * *
たしかに「わらび餅」というワードは今の暑い時期にピッタリです。XとInstagramの反応の違いも面白いです。今後「分光〇〇」という新たなジャンルのフード作品が誕生していくのでしょうか。注目していきたいですね。
なお、ニジミラーなどのニジミナトさんの作品はEtsyというオンラインショップの「NijiMinatoArtWorks」で販売されています。
<記事化協力>
ニ=/”彡七+さん(@minatotakeo)
(佐藤圭亮)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 佐藤圭亮 | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2024073105.html