食品サンプルメーカー・株式会社いわさきが行っている、社内コンクール。刀のような秋刀魚や食べ終わった後のカレーライスなど、これまで数々のユニーク作品が生まれてきました。
今回、株式会社いわさきの公式X(Twitter)が投稿した作品は、なんと川面から勢いよく飛び上がった鮎!もはや芸術の域にまで達した作品に目を奪われます。
「食品サンプルの領域を超えた作品」と紹介された鮎。作品名は「生きのいい川魚」で、2023年の社内コンクールに登場した作品です。飛び上がる鮎だけでなく、川底には「まるで空間を切り取ったかのよう」と称される泳ぎ回る2匹の鮎も表現されています。
作品を見た人からは「飾りたい!」「完全に本物」など、称賛の声が数多く寄せられました。
■ 作者は職人歴40年の大ベテラン
今回は株式会社いわさきの広報担当者および、広報を通じて作者の方にも話をうかがっています。
―― 「生きのいい川魚」を作ったのは、どのような方なのでしょうか?
(広報)60歳の男性で、食品サンプル職人歴は40年。工場長経験もある大ベテランです!
―― 「生きのいい川魚」を作ろうと思った理由を教えてください。
(作者)毎年、コンクールには「季節の料理」や「あつい料理」等のテーマがあり、2023年は「食品サンプルの可能性」がテーマでした。
料理に限定されないテーマだったので何を作ろうか考えた時、スーパーで鮎が売られているのを見て、子どもの頃に川遊びで鮎を追いかけたことを思い出して食品サンプルにしてみようと思いました。
―― 「生きのいい川魚」を作る上で大変だったことなどを教えてください。
(作者)最初は水中を泳いでいる鮎だけの製作予定でしたが、なにか動きを表したく、途中で飛び跳ねている動きをつけることにしました。
コンクール作品は通常業務の合間に製作するという決まりがあるので、限られた時間の中でどれだけ生きの良さを表現できるかに苦労しました。
―― こだわった部分は、どこでしょうか?
(作者)いかに水しぶきをリアルにするかという点にこだわりました。跳ねた鮎はアクリルの棒で固定しているのですが、棒が目立たないように水しぶきと一体化させて躍動感を演出しています。
―― 作品の出来映えは100点中何点でしょうか?
(作者)70点くらいでしょうか。実は水中の魚と跳ねている魚は同じ型を使用しているので、それぞれ違う型でできたらもっと生き生きとしたかなと思います。
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これで70点とは……。この食品サンプル職人の飽くなき向上心こそが作品を芸術へと昇華させているのかもしれません。今後もどのような素晴らしい作品が誕生し、私たちを驚かしてくれるのか楽しみです。
<記事化協力>
株式会社いわさき公式X(@IWASAKI_SAMPLE)
(佐藤圭亮)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 佐藤圭亮