境内を守る者として、寺院の門で見かける「仁王像」。力強い目鼻立ちや、筋骨隆々の体は、見ると思わず圧倒されてしまいますが、そんな仁王像にも「オフの日」があるもよう。
X(Twitter)に投稿された写真に写っているのは、仁王像が室内であぐらをかき、読書を楽しむ様子。しかも膝上には生活を共にする狛犬がくつろいでおり、ちょっとページが見えにくそう?意外なプライベート姿に、思わず頬が緩んでしまいます。
この「本が読みたい仁王像」の作者は、粘土彫刻アーティストとして活躍する「みよしん」こと「三好桃加」さん。過去にも「ソファを楽しむ仁王像」や「夏を楽しむ仁王像」など、仁王像のオフの日をテーマにした作品を多数制作しています。
三好さんがこうした作品を手掛けるようになったきっかけは、「薄れていく仏教文化に寂しさを感じたこと」でした。一方で、それは人々が仏様に頼らなくても平穏な日々をおくれている証のように感じ、仏像達にも働いていない「オフの日」があるはず、と考えるように。
その新たな作品として制作したのが今作「本が読みたい仁王像」。次回の展示会が「銀座 蔦屋書店」で開催されるため、本に因んだ作品にしたそうです。
作品の素材に使用しているのは、一般的な陶芸でも用いられるテラコッタ粘土。原型を作った後、粘土の水分が抜けるまで乾燥させ、窯に入れて焼成し、焼き上がった後に着彩という制作手順は、決して特殊ではない分、三好さんの造形技術の高さが際立ちます。
高さ45cmほどという大型の作品は、およそ1か月の期間を経て完成。制作の中で特にこだわったのは、仁王像が今にも動き出しそうに感じられる「生命感」で、にこやかな笑みを浮かべる仁王と狛犬の表情は、たしかに見ているだけで温かい気持ちにさせられます。
本作は11月11日から12月1日の間、「銀座 蔦屋書店」(GINZA SIX6階)にて、他の作品と共に展示予定。「販売方法などの詳細は、後日『銀座 蔦屋書店』のHPにて公開するので、店舗へのお問い合わせはご遠慮ください」とのことでした。
<記事化協力>
みよしんさん(@GOEGOE05)
(山口弘剛)