1985年の放映開始から38年がたつ現在でも、多くのファンから愛されている「機動戦士Zガンダム」。中でも印象的な場面として、物語後半、Zガンダムがバイオセンサーを発動したシーンを挙げる方は多いと思います。
そんな劇中シーンを、ガンプラとレジン、LEDを用いたジオラマで再現することに挑んだ「イーサン」さん。赤い光を纏ったZガンダムの迫力は、まさにアニメから飛び出してきたかのような出来栄えです。これにはヤザンもびっくり。
普段は主にYouTubeチャンネル「サボリーマンのガンプラ製作部」にて、キットやジオラマの製作を担当しているイーサンさん。過去にもνガンダムやストライクフリーダムガンダム等のレジンジオラマを製作し、発表の度に大きな注目を集めてきました。
■ Zガンダムを選んだ理由は「思い入れ」と「話題性」
今回イーサンさんが新作にZガンダムを選んだのは、「個人的に思い入れが強かった機体であること」と、「キットの話題性が高かったこと」の2点。
なんでも、小学生の頃初めて作ったMG(マスターグレード)のキットが「Zガンダムver.2.0」で、これがデザイナーの「カトキハジメ」氏によって最新のフォーマットで2023年4月にキット化。複雑な可変機構やシャープな造形は、発売前からガンプラビルダーの間で話題になっており、イーサンさんもこのニュースを聞いた瞬間から、作りたい衝動に駆られていたのだそうです。
また、これを動画にするとしたらどうするか、と考えた時に、真っ先に思い付いたのが「バイオセンサー発動」のシーン。機体から赤いオーラが発せられるZガンダムの姿が、レジンアートとの相性抜群と考えたことから、製作を決意しました。
■ こだわりは「電飾」と「バイオセンサーの演出」
キットの工作から塗装、レジンの注型や土台制作など、およそ2か月に及んだ制作期間の中で、イーサンさんが特にこだわったと語るのは「本体の電飾」と「バイオセンサーの演出」の2点。
目やメインカメラ以外に、肩、脚部のスラスターも発光するようLEDが仕込まれているのですが、光を面で見せるために、透明プラ板に両面テープを貼ったパーツを自作し、取り付けています。光量が拡散されることで、より一層の力強さが強調されていますね。
バイオセンサーの演出については、波打つような形状の「背景の波動」がこだわりポイント。レジンの「粘度」のコントロールが鍵で、粘度が低いと波が広く拡散し、高いと拡散しにくくなってしまいます。今回は調整が上手くいきませんでしたが、ヒートガンで少しだけ波を広げることでこれをリカバー。その後爪楊枝で引っ掻いて独特の模様を作ることで、これを見事に表現しました。
■ 高い完成度ながら「70点くらいの出来」と自己評価は辛口
途中、電飾が何度も断線し、心が折れかけたこともあったそうですが、根気強く修理を繰り返して作業を続行。こうして完成した本作は、誰が見てもほれぼれするような完成度。キットの出来栄えもさることながら、レジンと電飾による光の演出は、見る者を引き付けてやまない魅力があります。
それはイーサンさんにとっても同じ……かと思いきや、「70点くらいの出来ですね」と、少々辛口な評価。完成した直後こそ、「100%イメージ通りに出来た!」と納得していましたが、時間が経つにつれ、色々気になる点が出てきたのだとか。
次回の作品はどのキットを使用するのかはまだ分かりませんが、さらにアップデートされた製作技術と、光の演出が見られることでしょう。
<記事化協力>
イーサン(サボリーマンのガンプラ制作部)さん(@Easy_Gunpla)
(山口弘剛)