切り紙で作られた精巧な金魚たちが、水面に見立てた文字盤の上を漂う美しい壁掛け時計。立体切り絵作家「カミヤ・ハセ」さんがツイッターで発表した作品に大きな注目が集まっています。
金魚たちが円を描きながらゆっくりと動く様子は、まるで本当に泳いでいるかのよう。和の雰囲気を感じる風流な作品は、つい時間を忘れて見入ってしまいそうです。
通常の切り紙作品以外に、こうした時計をモチーフにした作品も手掛けているカミヤさん。過去にもいくつかの時計をツイッターで公開していますが、その作りにおいては今も試行錯誤を繰り返している段階。今作はなるべくシンプルなデザインに仕上げることを意識し、制作を行いました。
透明水彩で着色した金魚の切り絵をレジンでコーティングし、透明の円盤に貼ったものを時計の秒針に取り付ける、という構造自体はシンプルですが、いざ作ってみると作業の精密さが要求され、特に文字盤に対して円盤を水平に保ち続けることが非常に難しいそうです。
そんな制作の中でも特にこだわったのは、文字盤を泳ぐ金魚の影。ヒレの部分などが光を通して透けるよう細かい切り抜きを施し、影が平面的にならないように工夫をしているとのこと。こうした細かい点にも、カミヤさんの確かな技術が活かされています。
その出来栄えについては、「金魚がリアルに見えて面白いなと思います。壁に金魚が泳ぎ回っているようで楽しいです」と、自身も納得の様子ですが、一方で「黒いフレーム(縁)の色と材質が気になるので、直接金具だけでガラスを固定するタイプにしたいです」と、改良点も見えている模様。これからの更なる進化にも期待です。
金魚時計の投稿には、合計4万件以上の「いいね」が付き、その美しさに対する絶賛の声のほか、「販売の予定はありますか?」「売ってたら買います!」と、商品化を望む声も。
こうした反響に対し、カミヤさんは「現在自分では量産できないので、商品化できる企業があればぜひ協力して欲しいです」と、前向きな意向を示しました。作品が醸し出す涼しげな雰囲気は、暑さが本格化するこれからの季節にぴったりと言えそうです。
<記事化協力>
カミヤ・ハセ(切り絵ボトル)さん(@kamiyahasse1)
(山口弘剛)