京都の嵐山と亀岡を結ぶ観光列車の嵯峨野トロッコ列車。トロッコ嵯峨駅からトロッコ亀岡駅までの片道7.3km・約25分の間、嵯峨野や保津峡の風景を楽しむことができます。
1月・2月の運休期間を経て、3月1日に運行を再開した際、嵯峨野観光鉄道の女性スタッフによる中毒性ある……もとい、ユニークすぎるお見送りが注目をあつめました。
例年通り、メンテナンスのために1月と2月は運行を休止していた嵯峨野トロッコ列車。再開を楽しみにしていた人も多かったのではないでしょうか。
再開初日の3月1日には、嵯峨野トロッコ列車の公式Twitterが「初列車、社員一同でお見送りをさせで頂きました」とツイート。訪れることが出来なかったファンのために、現場の様子を動画でお裾分けしています。
■ 全力ダンスでお見送り
そのお見送り動画で多くの人の目にとまったのが、一番手前の女性スタッフ。
両手に扇子を持って全力ダンス。時にはくるりと回転し、「ありがとう!」とトロッコ列車の乗客に向かって感謝の気持ちを伝えながら、非常に個性的なお見送りをしています。
隣には右手に扇子を持ち、左手にパペットを付けて乗客に手を振る女性スタッフも。
動画を見た人たちからは「パプワ君おるやんw」「お見送りの破壊力よw」「こんな素敵な鉄道会社、世界でここだけ!」などの声が寄せられています。
■ アカペラで歌声も披露
さらにその後「青空カラオケ大会での1曲目です」と投稿された動画には、全力ダンスをしていた女性スタッフが今度はアカペラで熱唱する姿が。
「トロッコ列車のお客様のために私一曲、歌わせていただきま~す!」と乗客に呼び掛けると、作曲・滝廉太郎の童謡「花」を替え歌にして、「今~年~、最初の~トロッコ列車~。よ~うこそお客様~発車で~す~」と両手の扇子を振りながら歌っています。見事な歌声に思わずキンコンカンコン!キンコンカンコン!と「NHKのど自慢」の鐘を鳴らしたくなりました。
これら動画を見た瞬間、この女性スタッフのことが気になって気になって仕方がなくなってしまった記者。最初は困惑したものの、気づけば動画を繰り返しみていました……。
そこで我慢できずに、嵯峨野観光鉄道に連絡。担当者にインタビューしました!!なお、今回の取材はメールで質問一覧を送り、それに返答をもらう方式で行っております。
■ ユニークなお見送りをしているのはチケット販売スタッフと売店スタッフ
――記者:トロッコ列車のお見送りですが、毎回ホームに全員ならんで行われているのでしょうか?
毎日、トロッコ嵯峨駅を最初に発車する列車が発車する際は、接客中でないスタッフはホームに出て、「お見送り」(普通に手を振る)を行っています。最初に発車する列車以外についても、駅長と駅員各1人ずつは必ず「お見送り」をしております。
しかし、SNSに登場している独特な「お見送り」をしているのは、特定の人物だけであり、全員が独特な「お見送り」を行っているわけではございません。
――記者:全力ダンスやパペットでお見送りしている女性はどなたでしょうか?
普段は駅の窓口でチケットを販売しているスタッフと売店でお土産物を販売しているスタッフです。自前の扇子を手に持ち、歌ったり、時にはその場で回ったりしています。
■ 2022年8月頃から全力ダンスでお見送り
――記者:扇子を持って歌ったり踊ったりするお見送りは、今回が初めてなのでしょうか?
2022年の8月頃から自発的に行うようになり、現在も継続中です。
――記者:全力ダンスは何か参考にしているものはあるのでしょうか?
東京オリンピックの応援用に購入した扇子が自宅にあったので、何となく「お見送り」に使用し始めたところ、お客様が大変喜ばれ、笑顔で出発されるので、今はそれがモチベーションになっています。
■ 歌のレパートリーは多数
――記者:アカペラで熱唱するお見送りも毎回あるのでしょうか?
その時の混雑具合や、お客様対応にもよりますので、毎回歌っているわけではございません。70年代に流行した歌の替え歌や童謡の替え歌など、季節に合わせたり、お客様の層に合わせたりして歌っています。レパートリーはかなり多いです。
■ 女性スタッフのオススメスポットも聞いてみた
――記者:嵯峨野トロッコ列車が走るルートの中で、女性スタッフのオススメの場所や季節などを教えてください。
トロッコ亀岡駅からトロッコ嵯峨駅に向かう際に、保津川の「殿の漁場」と言われる辺りの景色を、進行方向とは逆向きの座席から見る景色は映画のワンシーンの様でおススメです。
またここは線路がカーブしていることで、トロッコの車体も視界に入りますので、雄大な自然の中を走る嵯峨野トロッコ列車をご覧いただく事ができます。さらに桜の花が散ったあとの木々に、新芽が芽吹き黄緑色に染まる沿線もとても清々しく、より一層空気が美味しく感じられるのでぜひご覧ください。
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「お客様に楽しんでいただきたい」という気持ちが全身からあふれている女性スタッフのお見送り。それは訪れた人にも伝わり、嵯峨野や保津峡の景色と同じく、大切な思い出として心に残っていくことでしょう。それにもしかすると今後は、お見送り目当てに訪れる人が増えるかも……そんな予感すらします。
<記事化協力>
嵯峨野トロッコ列車【公式】Twitter(@sagano_kanko)
嵯峨野観光鉄道「嵯峨野トロッコ列車ホームページ」
(佐藤圭亮)