妖怪好きにはたまらないスポットとして知られる、兵庫県福崎町の辻川山公園。園内には、河童のガジロウやガタロウ、油すまし等さまざまな妖怪をモチーフにしたリアルな立体物が多数展示されていますが、その中のひとつ「妖怪小屋の逆さ天狗」が、どうやら自宅に戻るのを拒否しているようです。
主に福崎町の情報発信を行うツイッターアカウント「ガジロウさん【公式】」の投稿には、自宅に背を向け、宙吊りになったままの天狗の様子が写っています。天狗の身にいったい何があったのでしょうか……?
ツイートによると、どうやら小屋に「やつ」またの名を「G」と呼ばれる生き物が現れてしまったのだとか。なるほど、たしかに狭い小屋の中にGがいるとなっては気が気ではありません。山の神として奉られることのある天狗にも苦手なものがあったのですね。
投稿された写真には、福崎町地域振興課の職員が作った「天狗、帰宅拒否中」の看板も。文字のすぐ下には「あんな所おって寒くないんやろか」と天狗の身を案ずるガジロウさんのコメントが載せられているなど、周囲の妖怪たちも心配しているようです。
と、ここでネタばらしをすると、今回天狗が帰れなくなってしまったのは、実は「機器の不具合」によるもの。
「妖怪小屋の逆さ天狗」は地上3mの位置につくられた小屋から、9時5分から17時5分の毎時5分・20分・35分・50分に飛び出てくるという仕掛けが設けられていますが、これが正常に起動しなくなってしまったことから、やむなく停止の措置をとったようです。
地域振興課の林さんによると、不具合が起きたのは12月12日の午後3時ごろ。公園内のチェックを行っていた職員のナカイさんから「天狗の様子がおかしいです。言うこと聞きません。無理強いをすると危険なので、このままにしておきます」と報告が入りました。
続けて「業者には連絡済みですが、駆除剤(部品)が揃うには少し時間がかかるとのことです」とナカイさん。この時点ですでにGが現れたことになっていますが、これは職員さんたちが常日頃から妖怪を身近に感じているからこそ出た会話なのでしょう。
その後看板を設置するも、記事執筆時点(12月15日)では駆除(修理)は行われておらず、天狗はまだ小屋に戻れていない模様。その間ずっと宙吊り状態のため、きっと「一日でも早く帰りたい」と思っていることでしょうが、子連れの訪園者からは「ずっと出てるわ~良かったね~」と、意外にも(?)好評だったそうです。
<記事化協力>
ガジロウさん【公式】(@youkaicon)
(山口弘剛)