出産や育児がひと段落し、再び新しい仕事を始めるというママパパも多いと思いますが、採用面接時に気にされるのが「どれだけの期間、ブランクがあるのか?」ということ。企業側としては「短ければ短いほど、即戦力になり得る」というのが、ひとつの採用基準になっていることは明らかでしょう。
しかし、核家族化が進み、ワンオペ育児も当たり前になりつつある昨今。出産や育児をブランクと捉える価値観は、見直されるべき時にきているようです。現在求職中である3児の母と、ある企業の人事担当とのやり取りに、大きな反響が寄せられています。
そういえば、職場見学に行った時。
経歴を軽く聞かれたから「出産育児で、7年仕事を離れていました」と答えたら、「7年育児してきたという、とても立派な経験があるのですね!ブランクなんかじゃないです!」と言って頂き、泣きそうになった。
こうつぶやいたのはツイッターユーザー・わたあめちゃんさん。6歳、3歳、2歳のお子さんを育てており、預け先が確保できていないことからまだ働くことはできていません。以前から希望していた業種の求人が出ていたため、話だけでも聞きたいと思い、その旨を伝えた上で職場見学を申し込んだのだそう。
にもかかわらず、人事担当の口から出たのは「育児はブランクじゃない」という思慮にあふれる言葉。これを聞いて「泣きそうになった」という、わたあめちゃんさんの心情は、子育て経験者であれば、誰もが共感できるのではないでしょうか。
通常の家事に加え、おんぶに抱っこ、おむつ替え、寝かしつけといった体力勝負のハードワーク。さらに、食事、お風呂、就寝等の時間管理まで求められる乳幼児期の育児は、決して仕事に引けを取らない忙しさ。
しかも、わたあめちゃんさんは現在3児を育てている母。「子どものお世話が、予想を遥かに超えて神経をすり減らすこと、それが終わりなく続くこと。それらが一気に降りかかってきて、自分も子どもも、明日を迎えられるのだろうかと思う日々を過ごしてきた」と語るように、きっとその体力や心の強さ、そして時間管理術は仕事においても活かされることでしょう。
わたあめちゃんさんのつぶやきに付いた「いいね」の数は6万件超。「なんて、素晴らしい会社!!」「難しいことを立派に7年!かっこいいです」と、共感や称賛のコメントが相次いで寄せられています。
「妊娠出産育児を経験すること自体、とても意義のある尊いことですが、こうした経験を通して、自分が何を感じ考えたのか、これからどのように行動するのかが重要であると思います。『私が私であるからこそ』気付けること、出来ることがあるのではないかと感じました」
今回の出来事を通して、心境の変化をこのように語ったわたあめちゃんさん。「ブランク」と捉えると少し後ろ向きな気持ちになってしまいますが、この人事担当者さんの一言で、出産育児の経験がより大きな自信になったことでしょう。
出産、育児を経た求職者側がより気兼ねなく応募でき、なおかつ企業側も先入観で判断することがないよう、こうした価値観がもっと広まって欲しいなと感じます。
<記事化協力>
わたあめちゃんさん(@wataameOKAN)
(山口弘剛)