1987年に放送された特撮番組「仮面ライダーBLACK」において、主人公「BLACK」の宿敵として登場した「シャドームーン」。劇中における存在感から、放送終了後も高い人気を誇る悪のライダーです。
そんなシャドームーンのコスチュームと言えば「BLACK」と対象的な、銀色に輝くメカニカルなデザインが特徴。これを同作のファンが本物そっくりに再現し、ツイッターで大きな注目を集めています。そのまま劇中に登場しても、全く違和感がないであろう出来栄えに、ただただびっくり!
制作を行ったのは、フィギュアやコスチュームづくりを趣味とする「裄(ユキ)」さん。友人がイベントでコスプレをしているのを間近で見たことをきっかけに、自分も挑戦してみたくなったことから、コスチューム制作に取り組むようになりました。
数ある仮面ライダーシリーズ作品の中でも、元々「BLACK」が好きだったという裄さん。
実はシャドームーン以前には「旧1号」、「BLACK」や「BLACK RX」のコスチュームも制作しており、こちらも今作に引けを取らない、非常に高い完成度。「BLACK」を進行する中で、「BLACKを作るならRXも作ってみたい」「ならばライバルのシャドームーンも並べたい」と思うようになり、あわせて制作することを決意しました。
シャドームーンのコスチュームは他のコスチューム制作と並行して行い、都度技術や知識をフィードバックしながら少しずつ進行していきます。しかしながら、シャドームーンは他のライダーと比べ、非常にパーツが複雑で、試着して引きで見るとイメージ通りのバランスになっていない事が多く苦労したという制作秘話も。
裄さんが特にキツかったと語るのは、かかとに取り付けられている「レッグトリガー」と呼ばれる部分の制作。サイズが大きいうえに、先端にトゲが付いたものを4本も作るという大変な作業でしたが、番組本編や書籍、時には児童向けの書籍などの資料を見ながら、これを忠実に再現。制作開始から足掛け7年が経過した8月20日に、ついに完成の時を迎えました。
その機械的な造形や胸部や肩のなめらかな丸みなど、美しさがギュッと詰まったコスチュームをまとった立ち姿はもちろんのこと、サタンサーベルを構えるポーズは、まさにテレビの中からそのまま飛び出してきたかのよう。BLACKと死闘を繰り広げたシーンの数々を思い起こすに十分すぎるほどの高いクオリティを誇っています。
コスチュームの完成を喜びの気持ちと共にツイートすると、投稿には1万件以上の「いいね」や、祝福のコメントに加え、「実際装着するスーツでこの再現力はすごすぎます!」「あの足音が聞こえる」と、圧巻の再現度に対する称賛の声が多く寄せられています。
「シャドームーン着手から完成までの7年間、制作方法が思い浮かばず作業が停滞し、他の作品を進めている間にも常にシャドームーンの事は頭にあったので完成した今は達成感はもちろんあるのですが、同時に一応の完結を迎えた形になるので、若干の寂しさにも似た感情が混ざった不思議な気持ちです」
作品完成後の心境をこう表現した裄さん。加えて「初着用時の高揚感は7年間ならではの物が加わり、ありきたりな表現ですが格別でした」と、自身のありったけの技術を込めて生み出した作品を着用する喜びは、何物にも代えられない感動があったようです。
ちなみに、今後コスプレイベントなどで披露する予定があるのかうかがうと「トランクに収まりきらないので長距離の移動が厳しく、現在は未定といったところです。取り敢えず近日中にスタジオにお邪魔して、撮影して頂きたいとは考えております」とコメント。これだけの高い完成度を誇る作品ですから、いつか機会があれば、ぜひ間近で見てみたいものですね。
<記事化協力>
裄(ユキ)さん(@yuki030718)
(山口弘剛)