猫の老後のために知っておくべき施設やサービス

1.往診
猫もシニア期を迎えると、病気にかかりやすくなります。慢性腎臓病、甲状腺機能亢進症、糖尿病、がん、歯周病など、長期にわたる治療や管理が必要となるものも少なくありません。猫は体が小さいとはいえ、体調不良や交通手段によっては、通院のための移動が難しくなることもあるでしょう。
動物病院の中には、往診に応じてくれるところもあれば、往診専門の動物病院もあります。愛猫が高齢で通院が難しくなった場合は、かかりつけの動物病院に相談してみましょう。往診に対応してくれる動物病院を紹介してもらえる可能性もあるでしょう。
2.訪問介護サービス
高齢の猫は、筋力や視力、聴力などが低下して、トイレに間に合わなくなったり、自力では歩けなくなったりすることもあります。その場合、日々のケアの中には介護の要素も必要になってきます。
オムツの交換や、食事の介助、寝たきりの場合は褥瘡(じょくそう)を防ぐための寝返り介助など、自宅で留守中の飼い主さんに代わり、介護をしてくれるのが訪問介護サービスです。サービス内容や時間、料金などは事業者によっても異なります。
猫は縄張りの外へ出ることを嫌う習性があるため、自宅で受けられる訪問介護は、猫への負担を抑えやすいサービスだと言えるでしょう。
3.デイケアサービス
訪問介護では、決められた時間しかサービスを受けられません。しかし、何かあった場合はすぐに対応してほしいというケースもあるでしょう。そのような場合、事業者によってはデイケアサービスを利用できる場合もあります。
これは、昼間の時間帯に老猫を預かり、必要な介護を行うサービスです。事業者の規定時間に合わせて老猫を送迎しなければなりませんが、日中に何かあっても契約内容に応じた対応を受けられるというメリットがあります。
ただし、移動や環境の変化が猫の負担となる場合もありますので、愛猫の性格や状態を考慮して選びましょう。
4.ショートステイサービス
日帰りではなく、数日間預けられるのがショートステイサービスです。飼い主さんの出張や帰省など、どうしても数日留守にしなければならない場合に対応してもらえます。普段からデイケアサービスなどを利用している事業者であれば、事業者との信頼関係を築いた上で、必要に応じてショートステイサービスも利用するという方法もあるでしょう。
毎日仕事と愛猫の介護で、肉体的にも精神的にも疲れてしまったという飼い主さんが、ご自身の心身をリフレッシュさせるためにショートステイサービスを利用するというのも、愛猫と飼い主さん双方のために有効な使い方だと思います。
5.終生預かりサービス(老猫ホーム)
猫の平均寿命同様に、人の平均寿命も延びています。そのため、高齢の猫を一人暮らしの高齢者が介護するというケースも増えてきています。そうなると、飼い主さんご自身が長期入院や施設への入居という理由で、愛猫の世話ができなくなるケースも出てきます。
そこで登場したのが、愛猫を終生預かり、最期まで世話をするというサービスです。いわゆる、老猫ホームと呼ばれているものです。預けた後も面会に行けますし、事業者によっては生活の様子を知らせてくれる仕組みを用意しているところもあります。
また、年間契約と終生預かり契約など、契約パターンがいくつか用意されているところもあるようです。
利用に際して知っておくべき基礎知識

今後も、一人暮らしの高齢者が高齢の猫と暮らすケースは増え、それに対応して老猫のための介護施設やサービスの種類も増えていくことでしょう。まずは、飼い主さんが常に新しい情報を入手し、最も適切なサービスや信頼できる事業者を選ぶことが大切です。
施設や事業者を選ぶ際には、「動物の愛護及び管理に関する法律」で定められている、当該事業に必要な第一種動物取扱業の登録を受けているかどうかを、必ず確認しましょう。
また、事業者が定めた制約事項を事前に確認することも大切です。例えば、介護が必要な状態ではあるものの、年齢が規定に達していないという理由で利用できないということもあるかもしれません。
高齢の猫は、若い頃よりも病気にかかりやすいです。慢性的で長期間の治療が必要な病気も多いため、スタッフの資格や専門知識、経験、連携している動物病院などについても、事前によく調べておきましょう。
介護サービスは、終わりの見えない長期戦です。当然ですが、サービスを受けるにはそれなりの費用が必要になります。愛猫がまだ元気なうちから、少しずつ介護サービスの利用を考慮して、計画的に費用を貯めておくことも大切です。
サービスや施設選択の考え方

愛猫の生涯とご自身の生涯の両方を掛け合わせ、どのような生活になるかを想定しておきましょう。
例えば、ご自身が一人暮らしの高齢者となって老猫を介護しながら暮らす可能性が高いのであれば、ご自身の死後の愛猫の生活も考慮しておく必要があります。最近では、ご自身の入院や死亡により飼育できなくなった場合に備え、愛猫の飼育場所や費用などをあらかじめ準備しておく「ペット信託」や「ペット後見」などの仕組みもあります。
万が一の時には家族や友人が愛猫を引き取ってくれるという約束ができている場合は、老猫ホーム以外の選択肢も考えられます。往診対応の病院や介護にも対応できるペットシッター業者など、選択肢が増えるでしょう。
いずれにしても、パンフレットやホームページなどの情報だけで決めるのではなく、一度は実際に見学し、職員とも会話をし、信頼性や施設の環境を把握することをおすすめします。
また、高齢の伴侶動物と高齢の飼い主さんとの共生を支援してくれるNPO法人などもありますので、迷ったり悩んだりした場合は、相談してみるのも良いでしょう。
まとめ

猫は体が小さいため、介護はそんなに重労働ではないと考える方もいるようです。しかし、介護は毎日の積み重ねです。しかも終わりが決まっていません。飼い主さんが一人で抱え込んでしまうと、心身ともに疲弊してしまうことも珍しくありません。
最近は、高齢の猫の介護や終生のケアまでを引き受けてくれる施設やサービスが登場しています。こういった施設やサービスは、今後さらに多様化していくことでしょう。かかりつけの動物病院や人と伴侶動物の共生を目指したNPO法人などに相談しながら、愛猫と飼い主さんに最も適した信頼できるサービス事業者を見つけてください。
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