猫が『脱臼』を起こす主な原因

脱臼とは、本来は正常に噛み合っているはずの関節面にズレが生じた状態を指します。中でもそのズレが大きく、完全に接続面を失ってしまったものを『完全脱臼』といい、部分的にズレたものを『亜脱臼』といいます。
いずれの場合も、関節の可動域を超える動作を機に起こります。猫の場合は何がきっかけになりやすいのでしょうか。
外傷性脱臼
交通事故や高所からの転落などが原因で起こる脱臼を『外傷性脱臼』といいます。
足に負荷や衝撃が加わることによって骨折・腱断裂・靭帯断裂・関節包の剥離などが生じ、関節が外れると脱臼を起こします。
完全室内飼育の場合は家具や椅子からの転落、キャットタワーからの転落が外傷性脱臼の主だった原因になり得ます。
病的脱臼
脱臼の背景が外傷ではなく、病気が潜んでいる場合は『病的脱臼』といいます。
例えば、筋肉の張力を失うクッシング症候群や筋炎、脳疾患に伴う神経の異常、変形性膝関節症などがここに該当します。
膝蓋骨脱臼
いわゆる膝のお皿にズレが生じてしまう状態を『膝蓋骨脱臼』といいます。ほとんどが先天性のため、原因は不明であることが多いです。
好発品種としてはペルシャ・スコティッシュフォールド・メインクーンなどが挙げられます。
『脱臼』の症状

実際に脱臼が起こると、次のような症状が現れます。
1.後ろ足を引きずる
骨がズレた状態では上手く歩くことができません。例えば股関節が脱臼した場合、後ろ足を引きずる動作が見られます。
2.ジャンプをしなくなる
同じく後ろ足が脱臼した場合、ジャンプを控えるか完全にジャンプすることを諦めます。
猫が高所に飛び移るには後ろ足の脚力が必要不可欠なので、この部位が故障しているとジャンプができなくなるのです。
3.足の長さが変わる
脱臼を起こしっぱなしの状態や症状の進行や慢性化とともに脱臼を起こした足は、健康な足と比較して長さに差が生じる場合があります。
股関節の脱臼では、骨が後ろ側もしくは上部に向かって外れる傾向があります。それに伴い、患部の足は短く見えることが多いです。
4.患部周辺に触れると痛がる・嫌がる
猫は我慢強い動物なので、脱臼そのものに対する痛みは隠す傾向にあります。しかし患部周辺に触れられた場合は痛みを隠すのが難しく、咄嗟に「ギャッ」と声をあげることがあるでしょう。
このように直接痛がる場合もあれば、足に触れられること自体を拒むこともあります。いずれにしても、いつもとは明らかに異なる反応を示すはずです。
『脱臼』が起こりやすい関節はどこ?対処法は?

先ほどの項目でも度々例にあがったように、猫が脱臼を起こしやすい関節は『股関節』です。その割合は外傷性脱臼のおよそ90%を占めるほどです。
猫の場合は小型犬に多い膝蓋骨脱臼は稀だとされていますが、中には見逃されているケースもあり、注意が必要であることには変わりありません。
また脱臼を起こした関節は、早期にアプローチしなければ元に戻らなくなる可能性があります。それにより慢性的な関節炎に発展することや、関節の可動域に制限が生じることがあります。
日常生活に支障を来す恐れがあるので、普段とは異なる歩き方や足を庇うような仕草、スキンシップを拒むなどの異変があれば診察を受けるようにしてください。
まとめ

猫も『脱臼』を引き起こすことがあります。その多くは外傷性で、室内飼育の場合は家具やキャットタワーからの転落がきっかけになることが多いです。
脱臼しやすい関節部位としては股関節が挙げられます。股関節にトラブルが生じた場合は、患部となった足が短く見えたり、歩き方に異変が生じます。直接触れられてしまうと痛みを感じやすいため、スキンシップを拒む場合もあるでしょう。
このように"いつもとは違う異変"が見られたら、迷わず動物病院を受診してください。歩き方に違和感がある場合は動画を撮影しておいてください。診察時に役立ちます。
最後にくれぐれも、飼い主さんご自身が猫の関節のズレを修正しないようにしてください。悪化する恐れがあります。
今回は猫の脱臼について紹介いたしました。一部の病的脱臼を除き、脱臼はどのような猫にでも起こり得ます。よく観察してあげてください。
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