パンドラ症候群を発症する原因としくみ

パンドラ症候群はストレスと深く関係していると考えられています。環境の変化や同居猫との関係など、猫が生活の中でストレスを感じる場面は多々あり、猫の性格や体質によって受け止め方は異なります。繊細な性格、幼少期の記憶、遺伝的要因のある猫ほど、その影響も大きくなるでしょう。
ストレスが毎日のように重なると、体が限界を超えて不調をきたすようになります。膀胱炎のような排尿にかかわる症状が代表的ですが、それ以外にも消化器症状、皮膚症状などもみられます。
慢性的にストレスを受けていると、ホルモン分泌のバランスが崩れて交感神経が過剰に働いてしまい、常に体が緊張した状態になります。私たち人間も緊張すると急にトイレに行きたくなることがありますが、これは膀胱が尿の量だけでなく、脳や自律神経からも影響を受けているためです。
長引く緊張状態は、膀胱の働きが鈍って粘膜のバリア機能が落ち、刺激に敏感になります。すると、わずかな刺激でも強い不快感や炎症を起こすようになってしまうのです。
なお、パンドラ症候群は、完全室内飼いの猫や、運動不足・肥満傾向にある若齢〜中年齢の猫に多く見られるといわれています。
パンドラ症候群の症状と予防法

ここでは、パンドラ症候群を疑う具体的な症状と、その予防法について解説します。病気の早期発見は、飼い主さんの日頃からの観察がとても重要です。
パンドラ症候群の主な症状
パンドラ症候群の主な症状は、頻尿や血尿、排尿痛、トイレ以外での粗相、排尿時の鳴き声、トイレに何度も出入りするが尿が出ないなどです。特に「尿が出ない」「トイレでうずくまる」「激しく鳴く」などは、尿道閉塞を起こしている可能性があります。命にかかわるため、すぐに動物病院で処置してもらう必要があります。
その他の症状として、消化器症状(食欲不振、嘔吐や下痢)や過剰グルーミングによる脱毛・皮膚炎が見られることもあります。また、ストレスの影響で攻撃性の増加、あるいは引きこもり、過度に不安がるなど行動や精神状態に変化がみられることもあります。
検査では、尿検査をはじめ、レントゲン検査や超音波検査などを行います。細菌感染や尿路結石などが認められない場合は「特発性膀胱炎」と診断されることもあります。一方で泌尿器系の症状がない・目立たないこともあるため、異常に気づいたらまずは病院で診てもらうことが重要です。
医療的な対応としては、症状にあわせた消炎鎮痛剤や抗不安薬などの薬物療法、下部尿路疾患に配慮した療法食による食事療法が行われます。これらの治療と並行して重要なのが、家庭でのストレス軽減の対策です。
パンドラ症候群の予防法
パンドラ症候群の予防法は、基本的にはストレス回避や膀胱炎対策と同じと考えてかまいません。「マルチモーダル環境調整(MEMO)」という、ストレスを減らすために生活空間のさまざまな側面をまとめて見直す対策が有効です。
具体的に行う対策には、以下のようなものがあります。
- 猫が安心できる隠れ家を作る(高い所や静かな場所)
- 水・食事・トイレは猫の数+1個で余裕を持たせる
- 狩猟本能を満たすため定期的におもちゃで遊ぶ
- 猫が予測可能な決まったリズムで接する
- 騒音や強いニオイを避ける(アロマや香水は厳禁)
マルチモーダル環境調整は、パンドラ症候群を治すものではありませんが、ストレスを緩和して症状の軽減や再発を防ぐために重要な対策です。
まとめ

パンドラ症候群と聞くとなにか新しい病気のように感じますが、実際はストレスが関与して起こる泌尿器症状と、さまざまな不調を引き起こしている状態を指しています。
猫は不調があっても本能的に隠そうとするため、症状がなくストレスを感じているだけの状態では、飼い主としてもなかなか気づかないこともあるかもしれません。しかし、症状などが出るころには、猫は相当苦しい思いをしている可能性があります。
尿路結石や細菌感染のような明らかな要因が見つからない特発性膀胱炎は、原因の特定が難しい傾向にあります。 原因はストレスといわれても、どうしたら良いかわからなかった飼い主さんも、マルチモーダル環境調整をベースにすれば、猫の欲求を満たした環境作りが可能です。
日頃から考えられる猫のストレスを排除して、快適な生活環境を守ってあげましょう。
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