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猫の『お尻』にまつわる危険な病気3選 かわいいお尻が怖いことに…チェックすべきポイントは


この記事では、猫の肛門周りの病気として「肛門嚢炎」「脱肛」「寄生虫感染」の3つを取り上げています。肛門嚢炎は分泌液の詰まりによる炎症で、特に高齢猫や運動不足の猫に多く、臭いや肛門の汚れが兆候です。一方、脱肛は肛門の粘膜や直腸の一部が突出する状態で、下痢や便秘が引き金となります。放置すると壊死の危険があるため、即時の治療が必要です。寄生虫感染では、瓜実条虫などが便や肛門周りにコメ粒状のものを残し、ノミ駆除とともに治療が求められます。これらの病気は早期の動物病院受診が重要で、ノミ対策も併せて行いましょう。

1.肛門嚢炎

毛づくろいする猫

猫のお尻にまつわる代表的な病気は「肛門嚢炎」です。

犬と比較すると、猫の肛門嚢炎はあまり多くないといわれていますが、肛門嚢が詰まりやすい体質の猫がいるのも事実です。

肛門嚢炎とは?

肛門嚢(こうもんのう)は、肛門の少し下の左右(時計の4時と8時の位置)にある分泌液が溜まる袋状の器官です。

分泌液には液状や粘液状など個体差がありますが、いずれの場合も強い悪臭がします。

肛門腺の分泌液は、通常、排泄時に便と一緒に外に出ます。しかし、何らかの原因でこの分泌液が肛門嚢内に詰まると、細菌が繁殖して炎症を引き起こし、「肛門嚢炎」と呼ばれる病気になります。

肛門嚢炎は、個体差もありますが、特に高齢猫や運動不足の猫などに多いといわれています。

症状

分泌液が肛門周りに付くため、汚れから気づく場合と、お尻がなんとなく臭うことで気づく飼い主もいます。

肛門にかゆみや不快感があるため、何度も舐めたり、床にお尻をこすりつけたりするようになります。

病状が進むと、痛みから食欲不振になり、さらに悪化すると肛門周辺に穴が開いて膿や血が出ることもあります。

対処法

お尻歩きなどが見られたら、できるだけ早期に動物病院で治療を受けることが大切です。

動物病院では、肛門腺絞りや肛門嚢の洗浄をし、抗炎症剤や抗生物質を投与します。また、皮膚の破裂で穴が開いてしまった場合には、傷口を消毒します。

肛門嚢炎予防には、定期的なチェックが役立ちますが、自宅での肛門腺絞りは慣れていないと難しいので、獣医師から指示があったときにやり方を習い、実行するようにしましょう。

肛門腺絞りは猫にストレスを与えることがあるため、猫が嫌がるときは無理強いせず、病院でやってもらうようにしましょう。

2.脱肛

トイレの入口から顔を出す猫

猫がトイレから出てきた後に、肛門が少し腫れているように赤くなっていたら、もしかしたら「脱肛」と呼ばれる状態かもしれません。

脱肛とは?

脱肛とは、肛門粘膜や直腸の一部が肛門の外に飛び出してしまう状態です。排便時のいきみなどで、内部の圧力が高まることによって起こります。

脱肛の好発年齢はなく、子猫から高齢猫まで発症する可能性があります。下痢や便秘が続くことで肛門や直腸に負担がかかると脱肛を起こしやすくなるため、排便の異常が注意点のひとつになります。

症状

脱肛は、肛門粘膜や直腸の一部が肛門から出てしまうため、赤く腫れた部分が見られます。ごく軽症の場合でも、猫がトイレの後でお尻を舐め続けてしまうことがあります。

軽症でも痛みが生じるため、排便を嫌がりトイレに入るのをためらうかもしれません。直腸が大きく出てしまうと、あきらかに肛門周辺の腫れが見られます。赤く見えている部分が直腸の粘膜です。

脱肛の原因となる、下痢や便秘、腫瘍などがあれば、そちらの治療も同時にする必要があります。

対処法

腸が外部に出た状態で時間が経つと、血液循環が滞り、放っておけば直腸が壊死する危険があります。脱肛が見られた場合は、すぐに動物病院へ連れて行くことが必要です。

治療は、飛び出した直腸を元に戻し、薬剤による治療が行われます。軽度の場合は、腸を指で体内に押し戻して、原因となる下痢などの治療を行います。

しかし、重症化・慢性化してしまっているときには、飛び出た腸の切除や腸を腹壁に固定する外科手術が必要な場合もあります。

バランスのとれた食事と十分な水分摂取を心掛けることが、便秘や下痢の予防につながります。また、適度な運動は腸の働きを助けますので、十分に遊ぶ時間を確保しましょう。

3.寄生虫感染

頭がかゆい猫

お腹に入る寄生虫に感染してしまうと、ムズムズしたかゆみなどから猫はしきりにお尻を気にするようになります。

肛門嚢や肛門に異常がなければ、寄生虫感染の可能性も考えられます。

寄生虫による影響とは

猫に感染する寄生虫の中には、口から体内に入り腸に寄生した結果、お尻から排出されることでお尻に影響を与えるものがあります。

多くの場合、寄生虫は寄生された小動物を捕食することで感染するため、特に保護された野良猫に見られます。

なかでも瓜実条虫(うりざねじょうちゅう)は、瓜実条虫の卵を食べたノミ(ノミの死骸含む)を猫が口にしてしまうことで感染するため、室内飼いの猫でも飼い主によるノミの持ち込みなどで感染する可能性が考えられます。

猫に感染した瓜実条虫は、小腸の粘膜にくっついたまま卵が詰まった身体の一部(片節)を次々と切り離すため、排泄後の便や肛門の周りにコメ粒状のつぶつぶしたものが付着することで発覚します。

症状

寄生した条虫の数が少ない場合は、目に見えるような症状がなく、ほとんどの場合で無症状です。瓜実条虫による消化器症状なども多くは見られません。

猫は元気だけど、「お尻に何かついている」「寝床にゴマのようなものがある」などでわかります。瓜実条虫の片節が出ているためです。

一方、かなりの量で感染してしまった場合には、かゆみや不快感から舐める、噛む、お尻歩きをするなどが見られます。また、消化器症状として、下痢や腹痛、食欲不振がみられることがあります。

対処法

基本的に瓜実条虫の「本体」は、小腸についているため、一般的には検便をしても瓜実条虫の卵が見つかることはないといわれています。

そのため、お尻に違和感がある様子や、実際にお尻に白いつぶつぶを見つけたときは、その段階で動物病院に相談してください。

スポットタイプや内服の駆虫薬で猫に負担なく処置できますので、動物病院で処方してもらってください。

また、瓜実条虫の駆虫とノミの徹底駆除をセットで行うことが重要です。

猫は外に出さないという家庭でも、靴の裏やガーデニング用品などからノミの卵を持ち込んでしまうこともあります。人にも感染することがありますので、定期的なノミ駆除も忘れずに行いましょう。

まとめ

お尻を気にする猫

猫のお尻にまつわる病気では、お尻を頻繁に気にしたり、お尻歩きをしたりすることがあります。もし、猫が1日に何度もお尻を舐めているようなら、しっかりと観察する必要がありそうです。

肛門嚢炎や脱肛は放っておいても悪化する可能性があるため、異常が見られたら、すぐに動物病院への受診をおすすめします。

動物病院での適切な診断と治療により、多くの場合、完治や症状の改善が期待できます。

また、室内飼育でも、寄生虫感染を防ぐためにノミ対策はかかせません。ノミも瓜実条虫も猫から人に感染する可能性がありますから、十分な対策を取るようにしましょう。


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