「AIM」にまつわる基礎知識
現在、猫の死因として2番目に多いと言われている「慢性腎臓病」ですが、この腎臓病治療に効果が期待されているのが、「AIM」による治療です。
慢性腎臓病とは
猫の病気の8割が腎臓に関する病気だと言われており、何らかの腎障害を3ヵ月以上継続している状態のことを「慢性腎臓病」と呼んでいます。
15歳以上の高齢猫の3割が慢性腎臓病と言われるほど身近な病気であり、現時点では完治が難しいとされています。
「AIM」とは?
「AIM」とは「Apoptosis Inhibitor of Macrophage(マクロファージの細胞死を抑制する分子)」の頭文字を取って命名されたタンパク質の一種です。
マクロファージ(※)に体内の老廃物を食べさせる際、AIMは「ここにゴミ(老廃物)があるよ」と知らせるための目印の役割を担っています。
(※)細菌や老廃物など、体内の不要なものを食べて分解する免疫細胞の一種
猫の体では先天的にこのAIMがうまく働かないため、マクロファージがゴミを処理できず、体内に老廃物が蓄積してしまい腎臓病の原因になってしまうそうです。
なお、AIMは人間の体の中にもありますが、うまく働かないとやはり老廃物が溜まり、不調の原因になります。
AIM治療の実用化はいつから?
このAIMを利用し慢性腎臓病を効果的に治療する新薬として開発されているのが「AIM製剤」です。
現時点でAIM製剤が使用できる日は、まだ公式発表されていませんが、2026~2027年頃を目標に、医薬品の承認を目指して臨床実験を行っているようです。
新薬の使用が承認されれば、猫の寿命は30歳まで延びると言われています。私たち飼い主にとっても、愛猫と過ごす時間を少しでも多くしたいですよね。
腎臓病を予防することも大切
新薬によって慢性腎臓病が完治することができれば、猫の寿命は今よりもずっと長くなるかもしれません。
しかし、AIM製剤が使用できるようになっても、腎臓病の予防をすることは大切です。腎臓病を予防するためには、日々「水分補給」を十分に行うことが重要になります。
猫はあまり水を飲まない動物なので、体内の水分を有効活用するため尿を濃縮して排出します。その結果、体内に老廃物が溜まりやすく腎臓に負担がかかりやすくなるのです。
その負担を軽くするためには、新鮮な水をたっぷり飲むことが効果的と言われています。猫に水を飲んでもらうためには、飼い猫の性格に合わせた工夫が必要です。
水飲み器のサイズや深さ、温度など、猫によってこだわりはさまざまです。どうしても飲んでくれない場合は、ウェットフードを食べさせたり、ペースト状のおやつを水に溶いて与えたりしてみましょう。
我が家の猫も、水を飲むのがあまり得意ではないので、定期的におやつを水に溶いて与えています。
猫に必要な水分量は、体重1㎏に対して50mlと言われています。飼い猫の体格に合わせた量の水を飲んでもらえるように工夫してみましょう。
まとめ
「AIM製剤」によって猫の腎臓病が完治できる可能性があることは、私たち飼い主にとっても希望です。
しかし、薬にだけ頼るのではなく、私たちが日々愛猫の体調をしっかりと管理していくことも大切です。
一日でも長く愛猫と過ごしていけるように、できることをしながら新薬の完成を待ちましょう。
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