1.ペルシャ
日本でも知名度の高い『ペルシャ』は、ビクトリア女王を始めとするイギリス王族で広く愛された猫種です。
長毛種の代表格といわれる美しい毛並みは、貴族の飼う猫にふさわしいとして長く王族限定猫種となりました。潰れたような丸い顔も特徴で、ペルシャを元にヒマラヤンやエキゾチック・ショートヘアなど新たな猫種も生まれたほどです。
王族の猫として名高いペルシャですが、意外にもその起源は謎に包まれています。
分かっているのは、イラン(旧ペルシャ)の土着猫、もしくはアフガニスタンの長毛種を交配して作出された長毛猫が、1500年代頃にヨーロッパに渡ったということ。そこから更に別の猫種との交配が進み、現在の『ペルシャ』が誕生したということです。
ビクトリア女王が愛したペルシャはブルーの毛を持っていましたが、現在公認されている毛色や模様は実に40以上。また、猫にしては珍しく温厚で落ち着いた性格も、王族に愛された理由のひとつといえます。
2.ロシアンブルー
ロシアの王朝「ロマノフ王朝」の一族に長く愛されたのが、アッシュブルーの毛色が美しい『ロシアンブルー』です。
瞳も鮮やかなグリーンカラーで、その美しさはまるで宝石のようだと重宝されました。口角がきゅっと上がった口元も特徴で、「ロシアンスマイル」と呼ばれています。
ロシアンブルーの起源は、スカンジナビアのアルハンゲリスク港とされます。1860年代に船乗りたちによってヨーロッパに渡ったロシアンブルーは、当時『スパニッシュブルー』『マルタ猫』などの呼び名でイギリスのキャットショーにも参加しました。
スリムでしなやかな体型は、ロシアのみならずイギリス王朝でも人気を博しました。しかし、やがて第二次世界大戦後に一時絶滅の危機に。
それでも「ボイスレス・キャット」と呼ばれるほど鳴き声を発しない性質や、「犬のような猫」と言われるほど賢い性格は王室以外でも重宝され、現代でも広く親しまれています。
3.シャム
今では世界的な人気となっている『シャム』も、もともとは一般人の飼育が許されなかった猫種です。
シャム猫が飼われていたのは古来のタイ。タイでは「ウィチアン・マート(月のダイヤモンド)」と呼ばれていたことからも、シャム猫が高貴な存在であったことが伺えます。
正確な起源は不明ですが、タイでは500年以上前から飼育されており、古い詩集の中では幸運を招く17種の猫の1種であったことが分かっています。
王室の他、富裕王や高位の寺院でも愛されましたが、1884年にイギリスに渡ったことをきっかけに世界中でポピュラーな猫種となりました。
シャムは筋肉質でいてスレンダーな体型、長い脚、サファイアブルーの瞳をもち、まさに女王のような優雅さと気品を感じます。
非常にクールな性格ですが、意外と甘えん坊な一面があり、飼い主とのスキンシップを好みます。遊び好きな性格でもあり、風貌とのギャップもまたシャム猫の魅力といえるでしょう。
4.ターキッシュアンゴラ
日本では聞き慣れない『ターキッシュアンゴラ』という猫種は、とくにフランス王室のマリー・アントワネットが寵愛したことで知られています。気品あるお嬢様のような白く繊細な毛とアーモンド型の眼は、トルコでは「生きる宝石」と呼ばれるほど。
16世紀にトルコ(旧アンゴラ)でマヌルネコと自然交配したことで生まれたといわれています。商人たちによってフランスに持ち込まれたあと、ヨーロッパの王室や上流階級の家庭から注目されたそうです。
美しく高貴な風貌とは裏腹に非常に温厚な性格であり、飼い主に忠実な面も特徴的です。そのような性質が故に王室で重宝されたと考えられますが、比較的飼いやすいことから現在でも広く親しまれています。
まとめ
今回は、王族だけが飼うことを許された「高貴な猫種」について解説しました。
王室で愛された猫たちは、美しい風貌と魅力的な性質を持っていました。ただ綺麗なだけでなく、唯一無二の特別な個性を持っていたことが、当時の王族を夢中にさせた理由かもしれません。
その特別待遇から絶滅寸前に陥った猫種も少なくありませんが、種を保存しようと懸命に活動した者たちの存在があることも忘れてはいけませんね。
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