1.高めのトーンでやさしく話す
人間同士の場合、好意的な感情を伝えるとき、ぶっきらぼうであればあるほど、より深く相手に伝わることがあります。
一方、猫に対して同じ調子で話しかければ、おそらく、妙に怖がられてさっさと逃げられるだけです。耳の良い猫は、私たちと違った感覚で音を拾っています。
猫は、一般的に男性よりも女性の声を好むと言われています。猫にとって、男性の低い声は、捕食動物の唸り声のようなものです。恐怖心を抱くのは無理もありません。猫に声をかける際は、「高めのトーンでやさしく」が基本です。
たとえば、大声コンテストのように、男性の飼い主さんが「○○、愛しているぜ~!」といくら絶叫したとしても、熱い気持ちは愛猫には届きません。むしろ、裏声に近い赤ちゃん言葉でささやくほうが効果的です。
「○○ちゃん、ちゅきだよ~」愛猫もきっと、頭スリスリや喉ゴロゴロなどで、飼い主さんのメッセージに応えてくれるはずです。
2.まばたきは無言のラブソング
声をかけるだけではなく、我があふれる愛を愛猫に無言で語る方法もあります。それは何か?ズバリ、ゆっくりとまばたきすることです。
普段の猫は、要求を訴える以外、ほとんど目を合わせてくれません。相手の目をじっと見つめる行為は、動物の世界では挑発行為と同じです。たいていの猫は平和主義者で、無駄な争いはできるだけ避けたいと考えています。
ケンカを売るわけでもなく、ごはんやトイレのケアなどの要求でもない。そんなときに飼い主さんを見つめている場合、愛猫は「この人、やっぱり好きだなぁ」という心理で満たされています。目を細めている状態も同じ意味です。
興奮のあまり感激したり、自らの想いを熱弁したり、大げさにふるまうと、気持ちを伝えるせっかくのチャンスが台無しになってしまいます。飼い主さんがやるべきことは、あくまで黙って、ゆっくりとまばたきを返すことです。
愛猫からもまばたきが返ってきたら、両想いが成立したサインです。「ただの私の片想いかも…」と日頃から不安を抱えがちな飼い主さんにとっては、日頃の献身ぶりが報われた証。
飼い主として自信を持っても大丈夫です。安心してください。
3.叱るときは簡潔なフレーズで
「好き」を伝えるのは得意でも、「叱る」のが苦手な飼い主さんは意外に多いかもしれません。猫は人間の思い通りにならない存在で、落としてはいけないものを嬉々として落とし、登ってはいけないところに平気で登ります。爪研ぎ被害の惨状は目も当てられません。
笑って済ませるレベルなら良いのですが、なかには、スルーし難い状況もあるでしょう。そんなときに有効なのは、簡潔なフレーズで「叱る」ことです。「ダメッ!」や「コラッ!」「アカンッ!」など、パターンを決めて、短い言葉でスパッと言い切ってください。
飼い主さんの声のトーンから、「やべぇ、なんか怒ってるみたいだぞ…」と愛猫は判断し、自分のしでかしたことと結びつけて、のちのちまで記憶します。ポイントは、「犯行現場」で「叱る」ことです。
たとえば、犯行2時間後に、別の場所で「割ったあのワイングラスは、世界3大グラスのひとつで、僕が学生の頃、旅先のチェコで買ったものなんだ。そもそもチェコとはね、9世紀に成立した大モラビア帝国が始まりで-」と饒舌に語りだしても、愛猫には何のことかさっぱりわかりません。
猫を「叱る」ときは、雄弁もタイムラグも禁物です。
まとめ
今回は、愛猫に自分の気持ちを伝えるヒントとして、3つの具体例を取り上げました。いちばん肝心なのは、猫と人間とでは、受け取り方が違うという点を認識することです。
情熱に任せたアグレッシブな態度は、かえって逆効果になりかねません。声かけのトーンはやわらかく、愛猫からの好意はサイレントなまばたきでお返しする。
種の違いを乗り越えて、お互いの気持ちを上手に伝え合い、幸せな愛猫ライフを実現してみてください。
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