猫のたるんだお腹の正体は「ルーズスキン」
ルーズスキンとは、猫の下腹部の皮膚が余分にたるんでいる部分を指します。
痩せた猫でも太った猫でもみんな持っていて、猫だけでなく大型ネコ科動物にも見られる特徴です。
一見だらしなく見える下腹部なので「太っている」と思われがちですが、実は猫には欠かせない体の一部なんですね。
ちなみに「ルーズスキン」のことを正しくは「プライモーディアルポーチ(原始的な袋)」といいます。
猫の『お腹がたるんでいる』4つの理由
1.外敵から弱点を守るため
猫のお腹のたるみであるルーズスキンは、猫が野生で生きていく上で重要な役割を担っていると考えられています。そのひとつが、外敵から身を守るということです。
猫にとって、お腹は重要な臓器が集まっている非常にデリケートな部位。そのため外敵に攻撃された際に、お腹を露出してしまうと大きなダメージを受けてしまう可能性があります。
そこで猫は外敵と戦うために、さまざまな防御戦略を進化させてきました。
ルーズスキンもそのひとつであり、敵からの攻撃に対する「盾」としての役目を果たします。この皮膚の弛緩(しかん)のおかげで、直接のダメージを和らげることができるんですね。
このようにルーズスキンは単なる体の特性ではなく、猫の生存戦略の一部として重要な役割を果たしています。
2.後ろ足の可動域を広げるため
猫のお腹のたるみは、後ろ足の可動域を広げるためにあるとも言われています。
皮膚がたるんでいることで後ろ足を大きく伸ばしたり、縮めたりする際に余裕が生まれ、動きやすくなるという仕組み。
とくに猫が高い場所にジャンプしたり、狭い場所に入り込んだりする際に、この柔軟性は非常に重要です。
たるんだ皮膚が後ろ足の自由な動きをサポートし、さまざまな姿勢や動作を可能にしてくれるからです。
つまりこの皮膚のたるみは、猫が日常生活で必要とする高い機動性をサポートし、動きやすさを追求するには欠かせない部位といえます。
3.お腹を保温するため
猫の「ルーズスキン」は、体温調節と保温においても重要な役割を果たしていると考えられています。
お腹の皮膚がたるんでいるのは、猫の体温を保つために効果的で、寒い環境や体温変化から守る役目を果たします。
つまりルーズスキンは、猫の体温を保持するための自然な保護層ということ。
お腹の皮膚がたるんでいることで熱が逃げにくくなり、寒い環境でも体温を適切に保ちやすくなるんですね。
人間でいう「腹巻」のようなものをイメージすると、わかりやすいかもしれません。
4.食いだめするため
猫の「ルーズスキン」は、食いだめするための役割があるとも言われています。
野生時代に長時間の食糧確保が難しい環境で生きる猫において、生存戦略の一部として進化してきたようです。
たるんだ皮膚があることで、猫は食事をしてお腹が膨れても、皮膚が伸びることで内臓に対する圧力を軽減するんですね。
たるんだお腹にこの機能があれば、猫は一度にたくさんの食物を摂取し、そのエネルギーを体内に貯めておくことができます。食糧が不安定な状況においても、生き伸びやすくなるのでしょう。
まとめ
猫のお腹がたるんでいるのは、単なる肥満ではなく、「ルーズスキン」と呼ばれる特有の皮膚の構造である可能性が高いです。
ルーズスキンは、猫が狩りをする際に体を柔軟に動かすことを助けたり、食事の際に大量の餌を摂取できるようにしたりするなどの重要な役割を果たしています。
しかし肥満との見分けが難しい場合もあるので、体重が増えたり全体的に大きくなっているなと感じたら、必要に応じて獣医師に相談しても良いでしょう。
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