猫が我慢しているときの5つのサイン
歩行の仕方がおかしいとか出血があるなど、外観からわかる異常はわかりやすいものです。しかし、外観からわからない病気やケガは、気付きにくい場合があります。
以下のような行動が見られたら、猫が不調を感じている可能性があります。
1.ひとりになりたがる
猫は身体に痛みや不快感があると、静かな場所に隠れようとします。これは、本能的な防衛反応のひとつで、弱った状態をできるだけバレないようにするための行動です。
押し入れの奥に入り込んでジッと眠っていることもありますし、名前を呼んでも反応しなくなったりすることがあります。
体調不良や怪我の初期にありがちな行動なので、この段階で気づけば早期発見できるチャンスがあります。たとえ食欲があったとしても、明らかに様子が違う状態が2日目も続くようなら、動物病院へ連れて行きましょう。
2.食欲の低下
猫が我慢していると、通常の食事量が減ったり、食べなくなったりすることがあります。
原因には、歯など身体のどこかの痛みや消化器系含む内臓の不調などの身体的な要因だけでなく、暑さなどでなんとなく身体がダルいというときにも、心理的な要因で食欲が落ちることもあります。
食欲低下は、体重減少や免疫低下など、ほかの健康問題を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
猫の食欲がないからといって無理に口をこじ開けて食べさせようとするのは困難であり、食事自体を敬遠する理由になるのですべきではないのですが、いつもはおやつに与えるおいしいものを適宜使って食欲を維持させることも大切です。
24時間以上まったく食べない場合や、通常の半分以下の食事量が2日続く場合、呼吸や排泄など他の異常がある場合には、すぐに動物病院で診てもらいましょう。
3.グルーミングの変化
同じところを舐め続ける過剰なグルーミングや、あるいは逆にグルーミングをまったくしなくなることがあります。
通常、猫は適度にグルーミングをしていますが、極端な変化が見られる場合は注意が必要です。皮膚のかゆみや痛み、ストレスなどが原因となっている可能性があるためです。
また、身体の中が痛くても、毛を舐めたり噛んだりすることもあります。
一方、グルーミングをまったくしなくなる場合は、別の問題が潜んでいる可能性があります。極端な体力低下や関節など体のどこかの痛み、口腔内の問題があるかもしれません。
2日しても改善が見られないときや皮膚に赤みや脱毛が見られる場合には、獣医師に相談してください。
4.動き方の変化
四肢の関節に違和感があると、猫はうまく歩けないことがあります。さらに、横たわれない・香箱座りができないなど、特定の体勢を取らないようにするかもしれません。
痛みがある場合、わずかな段差でさえジャンプして登ることを避けるようになることもあるでしょう。
これらの行動は、背後に関節炎や筋肉の痛み、神経や血管の疾患などの運動機能に関わる問題があると考えられます。
特に足を引きずるような歩き方の場合、心臓や脳などの病気も原因として考えられ緊急性があるため、決して軽視することはできません。四肢のどこかが動かない場合や、鳴く・触ると怒るなど痛みを伴うような場合はすぐに動物病院を受診しましょう。
軽い捻挫であれば1日の間に改善していくこともありますが、1晩経っても変化がない・悪化するなどがあれば、即病院で検査を受けるようにしましょう。
5.異様な鳴き方
我慢しているときの猫は、通常とまったく違った鳴き方です。
継続的な痛みがあるときには「ァオ〜ン」というような絞り出す声を出すことがあり、突発的な激痛がともなうときは「ギャッッ」と叫び声をあげることもあります。
このような鳴き方は、健康であれば聞くことのない鳴き方なので、飼い主さんにも気付きやすいでしょう。
ただし、普段からおとなしい猫が痛みをこらえて鳴かなくなった場合には、変化に気づきにくいかもしれません。
痛そうに鳴くときは、できるだけすみやかに診察を受けましょう。
逆に、まったく鳴かなくなった時は食欲や排泄状況に変化がないか注意しましょう。一晩様子を見て改善がなければ、念のため、病院へ連れて行くほうが安心です。
猫の不調を早期発見するために
猫がどんなに我慢をうまく隠しているとしても、飼い主としては、できるだけ早く発見して治療につなげる必要があります。
猫の健康状態の異変を早期に発見するためには、やはり飼い主が猫の普段の行動や様子を把握しておき、わずかな変化にも気づける力を養うことが重要です。
おすすめは、愛猫観察日記をつけることです。具体的には次のような項目があれば十分でしょう。
- 食事量や食欲
- 排泄の回数や様子
- 活動量など
- 体重(月に1〜2度)
猫が健康なうちから、記録しておくことで「最近、食べ残しが増えたかな」とか「おもちゃを振っても関心を示さなくなった」などがわかりやすくなります。
また、最近ではAIを利用した「猫の痛みの表情」を検知するサービスなども出ています。飼い主でもわかりにくい猫の表情の違いを、AIが判定してくれるので思い込みで見過ごすことが減りそうです。
定期的に活用して愛猫の変化にいち早く気づけるよう準備をしておきましょう。
まとめ
猫の体調の異変が判明するのは、飼い主さんによる観察によるものです。猫は本能的に不調を隠す傾向があるため、その微妙な変化を見逃さないようにすることが重要です。
先にあげたような、ふだんとは違った猫の行動によく注意を払いましょう。観察記録や最新技術の活用は痛みの早期発見にも役立ちます。
痛みを放置してしまうと、重大な疾病の見逃しが起き、軽度のものでも治りが悪くなるなど、その後の治療効果が出づらくなることもあります。また、何より心理的なストレスから、猫の生活の質も落ち、その他の体調不良にもつながってしまいます。
なんだか猫がおかしいなと気付いたら、すみやかに動物病院を受診するよう心がけましょう。また、定期的な健康診断を受けて慢性病の予防をしておくことも大切です。
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