猫の「脱走」は本能からくる行動
いつの間にか愛猫が外に出てしまい、ひやりとしたことがあるのではないでしょうか。猫は見た目よりもずっと狭い隙間を通り抜けられ、足音も立てずに歩くため、しばらく脱走に気付かないこともあるでしょう。
そもそも外で暮らしていたことのある猫は、家の外も自分の縄張りだと思っているため、縄張りである外を直接見回りたくて仕方ありません。また外に出たことのない猫も、虫や小鳥、小動物などを見ると「捕まえたい」という欲求がむくむくと湧いてきます。
縄張りを見回りたい、狩りをしたいといった欲求は、猫が生まれ持っている本能から湧き出るもので、どんなに飼い主さんの家で快適に暮らしていたとしても、止めることのできない衝動です。
また、動物病院への通院途中などで大きな音を聞いて驚き、パニック状態で外に飛び出して戻ってこなくなるというケースも少なくありません。
このように、「脱走」する猫を引き止めることは難しいため、できるだけ脱走できないように物理的な対策を行った上で、万が一脱走した場合に取るべき行動を、事前に整理しておくことが大切だといえるでしょう。
猫が「脱走」してしまったらすぐにやるべきこと
ではここからは、実際に猫が「脱走」してしまった場合に飼い主としてやるべきことについて解説します。いざというときのために、しっかり確認しておきましょう!
1.家の周囲を中心に捜索する
外に出た経験のない猫の場合、外の環境に怯えてしまい、物陰でじっと固まっていることが多いため、脱走して24時間以内であれば、家のごく近くを中心に捜索しましょう。
まずは「半径50m以内」が目安です。探す時には大声を張り上げず、小さな声で優しく名前を呼んでください。
家の軒下、車の下、建物の隙間、自販機の下、室外機と塀の隙間、物置の中などにいることが多いです。
2.愛猫が保護されていないかを確認する
愛猫が脱走した地域の保健所や動物愛護センター、警察署、動物病院、動物愛護団体などに愛猫の脱走を伝えて、保護されていないかどうかを確認しましょう。
また、愛猫の特徴などを伝え、保護されたらすぐに連絡をもらえるようにお願いしましょう。
電話ではなく、愛猫の写真や特徴を記載したチラシなどを持参して、直接出向くことをおすすめします。一度依頼しておけば、捕まえられなくて困ったときなどに、捕獲器を貸してもらうなど協力してもらえることもあります。
3.脱走2日目以降は少し捜索範囲を広げる
2日目以降は少し捜索範囲を広げます。半径100m程度、外で生活した経験のある猫の場合はもう少し広めに数100mが目安です。
探す場所は初日と同様に隠れられる場所を中心にし、食料を入手しやすいゴミの集積場なども探してみましょう。
捜索範囲が広くなっても、徒歩で探すことをおすすめします。猫目線で細いところに目が行き届くためです。また、昼間は人や車の通りが多く、猫はあまり活動しません。夜間または明け方近くの薄暗い人の少ない時間帯が見つけやすいでしょう。
4.広く情報提供を求める
公共施設や動物病院など、多くの人が目にする施設の壁や掲示板などに、愛猫を探すためのポスターを貼らせてもらったり、チラシを置かせてもらったりすることで、広く情報提供を求めるのも、有効な方法です。
SNSでの呼びかけも役に立ちます。ただし、連絡先などは個人情報を不特定多数に公開してしまうことになりますので注意が必要です。
最近は猫がいなくなったパニックで個人情報を自ら晒してしまい、後々問題になっているパターンが散見されます。記載内容はよく吟味し、猫が見つかった後の御礼投稿やアカウントの削除も含め、事前に決めておくことをおすすめします。
5.プロに探してもらう
どうしても見つけられない、見つけたものの捕まえられない、仕事などで捜索に時間をかけられないなどの場合は、迷子になった猫の捜索を請け負ってくれるペット探偵などのプロに依頼することが解決につながるでしょう。
信頼できそうな業者を事前に探し、いざというときにすぐに頼めるようにしておきましょう。
愛猫のための脱走予防策
脱走して保護されたときに、飼い主さんの飼い猫であると証明できるよう、マイクロチップを装着しておきましょう。引っ越しや電話番号の変更など、連絡先が変わる都度、速やかに登録情報を変更しておくことも大切です。
また、猫が脱走しやすい箇所の多くは、玄関、窓そして網戸です。開けっ放しにしないことは大原則ですが、自力で開けさせないことも大切です。特に窓の網戸は軽くて猫の力でも開けられますので、市販のストッパーなどを利用してロックしましょう。
二重扉も有効な対策です。ただし、どの家でも二重扉を設置できるわけではありません。その場合は、玄関や窓などの手前に柵を設置し、出られないようにすると良いでしょう。
愛猫と外出する時は必ずキャリーバッグに入れ、出入り口をしっかりと閉めましょう。万が一驚いても外に飛び出ないように、猫用のハーネスとリードを装着し、バッグに固定しておくこともおすすめです。また、洗濯用ネットに入れてからバッグに入れるのも効果的です。周りを囲まれて、猫自身も落ち着けるという効果もあります。
ほかにも、自分の縄張り(室内)への侵入者を見張るために、ベランダに出たがるかもしれません。その場合は落下事故も考慮して、転落防止ネットを設置しましょう。できれば、室内の窓際で自由に外を監視できるスペースを確保することをおすすめします。
まとめ
事故も含めて、愛猫の脱走予防策を打っていても、万が一ということはありえます。その際、慌てずに必要な対処を行えるよう、今回の内容を参考にしていただければ幸いです。
なお、脱走した愛猫が無事に戻ってきた場合、どんなに元気そうに見えても、動物病院でチェックしてもらいましょう。野良猫との喧嘩などが原因で感染症にかかっているかもしれません。
他にも、ケガ、異物の誤飲、寄生虫感染など、外の世界はさまざまなリスクがあることを忘れないでください。
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