1.まばたきができなくなる
目を開閉するための筋肉に麻痺が起こるとまばたきができなくなり、眼が開けられない、もしくは眼が閉じられない状態になります。顔面神経麻痺の症状においては片側の眼にのみ麻痺があらわれる場合もあります。
目がずっと開いたままの場合は涙の分泌が減ってしまい、目の乾きが原因となり角膜が傷つきます。角膜炎や乾性角結膜炎といった病気につながり、重症化すると角膜潰瘍の症状があらわれます。
病院では、角膜保護のための眼軟膏や点眼薬を投与して重症化を防ぐためのケアを行います。
2.口がうまく閉じられない
口の開閉を司る筋肉に麻痺が起こると口がうまく閉じられなくなり、食事(水)が口からこぼれてしまったり、よだれが出たりして口周りが汚れてしまいます。
口周りの汚れをそのままにしていると雑菌が繁殖して皮膚炎につながるため、食事後などこまめに拭き取ることが大切です。
また、口に入れたご飯を思うように飲み込めないことがあるため、流動食など飲み込みやすい食事に変えたり、飼い主が食事のサポートをするといったケアが必要になります。
麻痺が起こっている方の口角はだらんと下がってしまうため、舌が出っぱなしになるなど、衛生的な問題だけでなく見た目にも影響を及ぼします。
3.耳が動かなくなる
猫の耳は12を超える筋肉が発達していて、さまざまな角度に動かしたり180°回転させることもできます。これらの耳の筋肉が麻痺してしまうと耳が動かなくなります。
猫は耳を動かすことで集音して音の出どころを感知します。
獲物との距離感を判断したり危険を避けたりする働きをするほか、猫同士や飼い主とのコミュニケーションにも耳の動きを利用するなど多くの役割を担っているため、耳が動かなくなることで生活上に支障が起こる可能性があります。現在は室内のみで生活する猫が多いですが、外に出てしまう猫の場合、耳が動かなくなることは生きる上で危険な状況に追い込まれる可能性が高いです。
顔面神経麻痺の原因と治療法
顔面神経麻痺は、原因が特定できるもの(基礎疾患や外傷の影響)、原因が特定できないもの(特発性)に大きく分けられます。
特定できる原因には、
- 事故や喧嘩による外傷
- 中耳炎や内耳炎
- 脳の腫瘍
- 手術後の後遺症
といった種類があり、病気や外傷の治療を行うことで麻痺も快方に向かう可能性があります。
原因不明の特発性顔面神経麻痺を発症してしまうと明確な治療法がないため、経過観察を行いつつ対症療法を行っていくしかありません。
完全室内飼育で事故・喧嘩を防止し、愛猫の様子に異変がないかこまめにチェックしましょう。
まとめ
猫の顔の各パーツを動かすための筋肉に異常が起こり、麻痺してしまうことでさまざまな症状を引き起こす顔面神経麻痺。
眼の乾燥から角膜炎などの病気につながったり、猫が生きる上で必要不可欠な食事やコミュニケーションにも大きな影響を及ぼしてしまいます。
原因が特定できない場合や、原因となる病気を治療しても麻痺が残ってしまう場合もありますが、早期に治療をできれば症状の緩和につなげられる可能性が高まります。
日頃から愛猫の様子をよく見るようにして、何らかの異変を感じたら速やかに動物病院を受診してくださいね。
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