愛猫が毎晩とんでもない大声で鳴くようにようになった。部屋中でシャーッとマーキングをする(泣)……。発情期の猫のこの行動、飼い主さんは大変ですよね。
最近は猫を飼う場合、去勢・避妊手術は当たり前、というか、「飼い主の責任」として推奨されています。
しかしそれでも、
「うちはマンションで1匹飼いだから必要ない」
「麻酔などで猫の体に負担をかけたくない」
と去勢・避妊手術をためらう飼い主さんもいます。確かに去勢・避妊手術は全身麻酔の手術、猫の体を考えると心配にはなりますよね。
それでも最近はかなり去勢・避妊手術のやり方が変わってきているようです。猫の体に負担のない方法もあるのでは?今回は、猫の去勢・避妊手術の最近の傾向とメリットとデメリットについてまとめてみました。
■猫の去勢・避妊手術。最近の傾向はこの4つ
大田区で動物病院を経営されているS先生。最近は飼い主さんの意識も高まり、猫の去勢・避妊手術は年々増加しているといいます。
S先生が感じているという最近の傾向はこの4つ。
・初回発情期前に手術をする飼い主さんが増えている
「猫のことをよく勉強されている飼い主さんが増えている気がします。猫の最初の発情期は生後半年を過ぎたあたり。昔はまだ子猫なのに可哀想、という人も多かったのに、最近は初回発情期前に手術をすると、病気や脱走を防止できるから、と言って猫を連れてくる飼い主さんが多いです。」
なるほど、飼い主さんの意識も高くなっているようですね。
・避妊手術は、病気の予防も兼ねている
「メス猫の場合、卵巣だけをとってしまえば妊娠することはありません。しかし子宮を残したままだと、将来病気のリスクがあります。最近は避妊手術の際、卵巣と子宮の両方を摘出する動物病院が増えています。」
これはそうだとおもいます。メス猫に多い子宮蓄膿症や乳腺腫瘍といった病気は、卵巣と子宮の両方を摘出することでリスクがかなり軽減されると言われています。
・手術後も点滴をつけておく動物病院が増えている
「最近の麻酔は猫の体の負担を少なくするものになってはいますが、それでも全身麻酔の手術は猫も飼い主さんも心配です。
猫の去勢・避妊手術後は一刻も早く麻酔が体内から排出されるように、手術後も点滴をつけて猫の新陳代謝を促す動物病院が増えているようです。」
猫の体の負担を軽減することを考える病院が多くなったということですね。これは猫にとっても嬉しいですね。
・自然に溶ける糸を使用する動物病院が増加
「昔は手術をした後に抜糸をするために再度病院へ連れていかなければいけませんでしたが、最近は切開部分を縫い合わせる時にタンパク質でできた糸を使用して縫合することが増えています。
この糸は時間とともに自然と溶けるので猫への負担を大きく減らします。」
そういえば、猫の手術、内容も変化しているようです。糸を使わない縫合方法や、抜糸をしない方法など、リスク軽減を考えた処置をすることが多くなっているようです。
■猫の去勢・避妊手術、飼い主さんから聞いたリアルなメリット&デメリット
猫の去勢・避妊手術、それでも心配です。実際に行った飼い主さんのコメントには、
「発情や性衝動がなくなった。」
という意見が多数。これが一番多いメリットのようです。他には
「同居猫と仲が良くなかったのに、手術をしてから性格がまるくなった。」
「今まで少食だったのに、たくさん食べるようになった。」
という意見もありました。
デメリットはというと、
「手術予定日の直前に突然発情がはじまってしまい、獣医師から「大量出血する可能性がある」と言われて手術を延期した。」
「開腹した後、1週間入院するように言われ、思ったよりも費用がかかった。」
「去勢手術をした後も、部屋の中でマーキングする癖が残ってしまった。」
などなど。猫によっては、マーキングや発情行動が残ってしまうリスクはあるようですね。
■最後に
猫の去勢・避妊手術。これが成功するかどうかは、手術する猫の年齢が関係するかも知れません。1歳をすぎて、すでに発情期を迎えた経験のある猫や、高齢の猫、体力がなくて病気がちの猫の場合は手術してもデメリットが心配になります。
猫の去勢・避妊手術は、飼い主さんの責任と推奨されてはいますが、愛猫の体調や年齢を考えて、獣医の先生によく相談されることも忘れないでくださいね。