毎日愛らしい姿を見せてくれる愛猫。昔、脚本家の向田邦子さんは、バンコクでゴロゴロしている猫を見て、
「熱帯の芝生の上を転げ回って遊ぶ銀色の物体をみて『感電』してしまった。」
とご自身の著書「眠る盃」で語っています。
猫の姿をみて「感電」してしまう。分かります。分かります。猫の遊ぶ姿は本当に可愛いですよね。
その後、向田さんは日本に帰国してからもその猫の姿が忘れられず、とうとうその猫の子猫を譲り受けます。猫愛恐るべし。国境を超えて愛を実らせてしまったのです(笑)
そんな愛すべき猫たち。そんな猫の姿から、猫の気持ちを読み取り、猫自身が語る「猫語」を学んでみましょう。
■猫が「ぷるぷる」する意味は?
そっと部屋のすみに隠れて、猫がぷるぷる震えていた。もしかして病気?飼い主さんは心配になってしまいますよね。
猫、特に子猫は体をプルプルと震わせる仕草をすることがあります。これは寒いわけではありません。
猫がぷるぷるするときは、「好奇心を感じている」「獲物を見つけて興奮している」「何かがやってきて怖い」ときなど。
猫がからだをぷるぷるさせながらしっぽをパタパタしていたら、それは獲物を仕留めようとしている仕草。不意のお客さんの姿を見て、耳を水平にしてぷるぷるしていたら、「この人は誰!怖い!」という警戒心の表れです。
■猫が「すりすり」する意味は?
人や家具、柱などに猫が体をこすりつける「すりすり」という行為。これをやらない猫はまずいないと言ってよいでしょう。
猫が「すりすり」するとき。それは縄張りに対する「マーキング」、もしくは飼い主さんへの「甘えている」仕草です。
猫はとても臆病な性格です。知らないものは警戒します。自分の縄張り、好きなものには自分の「匂い」をつけて安心感を得ようとするのです。
飼い主さんに猫が「すりすり」するときは、「あなたは僕のモノだよね?」という気持ちも込められています。それを「愛情」と感じるか、「下僕」と感じるからそれぞれですが。。。
■猫が「くねくね」する意味は?
猫が自分のお腹を全開にして体を「くねくね」させるとき。それは飼い主さんに対する「遊ぼうよ!」のサインです。
新聞を読んでいるときにわざと新聞の上に寝転んで「くねくね」するときは、「ちょっと、僕を見て~。」というアピールの気持ちも込められています。
猫のほうから遊びのアピールをしてきたら、忙しくても10分程度は相手をしてあげましょう。猫様の機嫌を損ねると、忘れた頃に猫パンチされてしまうかも。
また、猫は気分が高揚した時もこの「くねくね」をします。マタタビで気持ちよくなっているとき。お日様があたってご機嫌な時。猫が満足そうにこの「くねくね」をしたときはシャッターチャンス。きっと素敵な写真が撮れるはずです。
■猫が「ごろごろ」する意味は?
この猫の「ごろごろ」音。いったいなぜ猫がこのような音を出せるのか、動物学者の間でも謎だと言われています。
猫は特に顎の下を撫でてあげるとこの「ごろごろ」音を出します。甘えたい時、満足した時などに出すことが多いので、飼い主さんは「あぁ、ご機嫌な証拠なのね」と思っているかも。
しかしちょっと待ってください。実はこの「ごろごろ」音は、猫が病気のとき、怪我したとき、不安なときにも鳴らすのをご存知ですか?
多くの猫が苦手とされる動物病院の診察台。この上に猫を乗せたとき、盛大な「ごろごろ」音を立てる猫を見かけたときがあります。
なぜこのような音を出すのか?一説によれば、猫はこの「ごろごろ」音を出すことで、病気の回復を早めているとか。骨折などの怪我の修復にも影響があるという説もあります。
実際にフランスの医療機関では、この「ごろごろ」を使ったセラピーや、宇宙飛行士に聞かせて骨密度を早く修復させることに利用している、という話もあります。
■最後に
猫の「ぷるぷる」「すりすり」「くねくね」「ごろごろ」の意味。猫が「にゃー」と鳴くの母猫以外では人間にのみ。猫同士での「猫語」は、ほとんどがこのような「ボディランゲージ」です。
猫はとても賢い動物です。人間が「声」を使って意思の疎通を図っているのを知っているのです。せっかく猫が「鳴き声」を出して飼い主さんとコミュニケーションを取ろうとしていることを、我々はもっと感謝すべきなのかも。
でも猫語かわからないふりを続けていれば、そのうち諦めて猫の方が人間の言葉を話すようになるかも?
いや、作家、内田百聞や村上春樹などはエッセイの中で「猫が口を聞いた」、という話を紹介しています。もしかしたら、猫はもう話せるのかもしれませんよ。