ずっと野良猫として生きて来た猫を保護したTさん。その猫は推定7歳のメスの猫。ずっと人間の食べ残しを食べて生きて来たらしく、キャットフードを食べてくれない、と悩んでいました。
猫はフードの好みにうるさい動物です。子猫ならまだしも、成猫になってから猫の嗜好は変えらるのでしょうか?
■猫は「味」よりも「匂い」が重要
神経質な猫の場合、なかなか新しい味に慣れてくれない猫もいます。しかし猫だって生き物。お腹が空けば、ほかのフードにも興味を持つはず。
猫に新しいフードを食べさせたい時のコツ。あります。猫はよく、「味」よりも「匂い」が重要と言われているのをご存知ですか?
猫は新しいもの、見慣れないものには、まずクンクンと匂いを嗅ぐ習性があります。その習慣はご飯を食べる時にも発揮します。よく猫は、ご飯を食べる前にクンクンしてから食べ始めませんか?
猫に新しいものを食べさせたいときは、「香り」があるフードがオススメです。新しいフードに匂いがあまりない場合は、温めたり匂いのするおやつなどのトッピングを追加して、美味しそうな「匂い」を演出してみてください。
ちなみに猫は自分の体温と同じくらいの温かさのフードを好みます。38~39度程度に温めてみるのも方法の1つです。
■前のフードをトッピングしてみる
猫の嗜好は子猫時代の食べ物によって決まると言われています。子猫の時から人間の残飯を食べていた猫は、それが自分のソウルフード。栄養的には謎ですが、そのフードを食べると安心するはずです。
今までのフードを食べさせたくない、新しい安全なフードを食べさせたい、と思ったら時間をかけて変えていくのがコツです。
新しいフードを出しても口をつけてくれない場合は、以前食べていたフードをトッピングして新しいフードの上にかけてみてください。
「あれ、いつもと違うにゃ」
と気づいたときにはすでに新しいフードをもぐもぐしてるはず。前のフードをトッピングすると、新しいフードだと気付かずにそのまま食べてしまう猫ちゃんは多いといいます。
これは猫にとってもストレスなくフードを変える方法なので、このトッピング方法を利用しながらまずは少しづつ、フードの切り替えを行うことが大切です。
■猫の味覚を知っておこう
猫が喜ぶご飯を知るには、まず猫の味覚を知っておくことが肝心です。猫は「甘味」を感じられない動物ですが、その分優れているのが「苦味」を感じるセンサー。
フードから苦味を検出する才能は人間よりも猫のほうがずっと優れていると言われています。
一般的に苦味に敏感なのは草食動物。有毒植物をうっかり食べてしまわないように、苦味には敏感なのだとか。
しかし猫は真性の肉食動物。なぜ苦味に敏感なのかというと、モネル化学感覚研究所の生物学者、チャン・ペイファ博士は、
「猫は苦味受容器を駆使することで、カエルなどの毒を持つ可能性のある獲物を識別できるだけでなく、獲物である草食動物の腹の中にある植物の毒まで感知できる。」
という研究結果を報告しています。
もしあたらしいフードを食べさせたいときは、苦味のないフードであることが必須条件。猫が一番美味しいと感じるのは肉に含まれる「旨味」です。
また猫は体内の糖分量を調節する肝臓内の鍵酵素を持っていないため、炭水化物は必要としません。
猫が人間と同じ炭水化物を食べるとしたら、他にフードがなかったから。本来は猫は肉だけを食べていた動物です。
猫の健康を考えるなら肉食が一番ですが、「完全栄養食」と書かれた猫に必要な栄養素が全て入ったキャットフードなら安心です。
■最後に
猫の味覚を変えたい時。ポイントは2つあります。それは新しいフードに猫が食べたくなるような「香り」があること。そして猫の体温程度に温めることも大切です。
そしてもう1つはトッピングをすること。猫が以前喜んで食べていたフードに新しいフードを少しずつ混ぜ、味に慣れさせるのも良いでしょう。
昔猫が食べていたという「ねこまんま」、ご飯に味噌汁をかけたご飯は猫の健康上問題があります。今ではあげている人は少ないと思いますが、猫には猫用のフードをあげましょう。付け加えるとミルクも猫にはNG。
海外のCMで、猫にミルクをあげるシーンなどを見ますが、猫は「牛乳」を体内で分解できないため、飲ませるのは体に悪い、というのが今の定説となっています。喜んで飲む猫も多いようですが、大量に飲ませるのは猫の健康上問題ですので覚えておいてくださいね。