猫のことを「膝の上の友達」と呼んでいるのは小説家の町田康さん。この友達は世界中で人気者です。
動物保護といえば保護猫です。猫好きには興味のある話題ですよね。しかし残念ながら、日本は動物保護に関しては後進国だという意見もアリ。
動物保護ではドイツ、イギリスの取り組みが有名ですが、最近はギリシャに注目が集まっています。
なぜギリシャ?そもそも海外の動物保護ってどうなっているの?知りたくなりますよね。
今回は、2018年4月に出版された、浅川千尋、有馬めぐむ著『動物保護入門 ドイツとギリシャに学ぶ共生の未来』(世界思想社)を参考にして調べてみました。
■日本の主な動物に関する法律
犬や猫といったペットと暮らす人が知っておかなければならない法律といえば、動物愛護法第7条の「飼い主の終生飼養の責務」でしょう。飼い主さんは、動物が死ぬまで世話をして育てていかなければなりません。
そして最も大事なのは、これは個人の飼い主さんだけでなく、ブリーダーさんや、ペット販売業といったプロの犬猫等販売業者にも適用されることです。
販売が困難となった、いわゆる「売れ残り」のペットも全て「終生飼養の責務」が法律で決められているのです。
2012年の法改正で決まったこの事項は、犬猫の大量遺棄や殺処分を減らすことが目的です。さらに44条は、愛護動物をみだりに殺し、傷つけた者は2年以下の懲役または200万円以下の罰金ですから、よく覚えておく必要があります。
猫にいたずらしていたり、虐待している人を見かけたら、すぐに警察に通報しましょう。
■海外の主な動物に関する法律
それでは海外の動物に関する法律はどうなっているのでしょうか。日本と海外で大きく違う部分といえば、生後8週未満の犬猫の販売方法です。
これはヨーロッパ(アメリカ22州、イギリス、ドイツ、フランス、オーストラリア)では禁止、そして日本でも2012年に「56日規制」が設けられたものの、実際に稼働していていません。
日本では45日規制で十分と主張する業者団体の反対により、2018年1月の時点ではまだ49日規制となっています。
■ギリシャのユニークな取り組み
ギリシャの首都アテネ。その中心地のシンタグマ広場には、青い首輪をした犬が自由にくつろいでいるそうです。
この首輪のプレートには、「この犬はアテネ市役所によって管理されています。勝手に連れていかないでください。」とのコメントが。どうやら、この犬(保護犬)の持ち主はアテネ市のようです。
アテネ市がこの野犬保護のプログラムを開始したのは2003年。2012年には同様に保護ネコも行なっています。
捨てられた犬猫に予防接種や不妊、去勢手術をした後、マイクロチップを装着、オス犬には青い首輪、メス犬には赤い首輪をつけて街に戻しているのだとか。
病気や攻撃性のある犬猫はシェルターで、その他の犬猫は街の広場や公園で自由に暮らしているそうです。
もちろん犬猫の里親探しも行なっています。ウェブサイトで里親を募集し、引き取り手のなかった犬猫のみ、地域犬、地域猫として近隣の住民や保護団体が世話をしているそうです。
当時のアテネ市の副市長、アンゲロス・アンドノプロス氏は獣医師の免許の持ち主。彼は、
「人間が他の動物と違う点は何でしょう。それは物事を理性的にとらえることができる点にあります。人間よりも弱い立場にある「四つ足の市民」を守り、共存する方法を考えるべきではないでしょうか。」
とメディアで語っています。
この「四つ足の市民」という言葉に賛同した人がアテネには多くいたのでしょう。ギリシャは全国の自治体でアテネ市と同様の動物保護プログラムを導入するように指示しています。
■最後に
いかがですか。この「四つ足の市民」という言葉、本当に感動しますよね。日本にいる「四つ足の市民」ももっと大事にして欲しい!
ギリシャといえば、財政危機で有名になった場所。失業率は21%という状況です。本来ならこんな動物保護になんて予算は出せない、と世論が出そうですね。
実際に2004年に150万ユーロあった動物保護予算は2016年には15万ユーロにまで縮小されています。
しかしそこは個人のボランティアが協力し、この取り組みを維持しているのだとか。やってやれないことはありません。日本にも同様のプログラムが導入されることを願っています。