ある猫の雑誌のアンケートによると、飼い猫を避妊・去勢している飼い主さんは85%。完全室内飼い、猫を1匹しか飼っていない場合でも、猫を避妊・去勢している飼い主さんは多いということでしょう。
「でも猫にとっては痛いだけ。どうしても手術しなくてはいけませんか?」
私は昔、保護猫をもらってくれた家族の人にそう言われたことがあります。そこの御宅はマンションの11階。確かに完全室内飼いです。絶対に外に出ることはないでしょう。
「それなら、何も痛い手術をさせなくての良いのでは?」
と私もふと思ってしまいましたが、よく考えると、猫を避妊・去勢手術をした場合、猫にとってもメリットが大きいのです。
もしあなたが愛猫を避妊・去勢手術をするか迷っているとしたら、ぜひこの記事を参考にしてください。
■猫を避妊・去勢手術をしたら性格がおっとりする?
獣医の先生にも聞いたことがありますが、猫はオス猫もメス猫も、避妊・去勢手術をすると性格がおっとり、大らかになる傾向があるそうです。
もちろんこれは猫の個体差もありますが、一般的に避妊・去勢手術をすると性ホルモンの分泌がなくなります。すると精神的な成長も止まるので、いつまでも子猫のようなおっとりした甘えん坊の性格になりやすいとか。
大人の猫は品種を問わずツンデレや気の強い猫がたくさんいます。よく鳴いてご近所迷惑だった猫が、避妊・去勢手術をしたら滅多に鳴かなくなった、という意見もあります。
■猫を避妊・去勢手術をしたら病気になりにくくなる?
不妊手術をした猫は、しなかった猫に比べて乳腺腫瘍の発生率が7分の1に抑えられるという研究結果があります。
乳腺腫瘍は卵巣から出るメス猫特有のホルモンの影響で発生する病気。この病気は猫を避妊手術をすると卵巣を摘出するので病気になる確率がぐんと減るのです。
またオス猫の場合、とくに尿管が発達する前に去勢手術を受けると、尿管の発達が妨げられるため、尿石症になりやすくなるのでは?という説がありますが、これは確証が得られていないのが現状だそうです。
■猫を避妊・去勢手術をしたら猫は長生きする?
猫を避妊・去勢手術をしたら、まず重い病気にかかるリスクが軽減するでしょう。乳腺腫瘍もそうですが、猫を避妊・去勢手術をすれば、発情期がなくなります。
猫の発情期は本当に大変。外で出ようと脱走を繰り返したり、夜とんでもない声で鳴いたりしますよね。
万が一外に出てしまったら、感染症や事故など、猫の健康をそこなう要素がたくさんあります。性ホルモンの分泌による体調の変化が猫の性格を凶暴にしたり、わがままになることもあるでしょう。
避妊・去勢手術をしたらこれらの心配がなくなると思えば、猫もふだんからのんびりおっとり暮らせるはず。きっと寿命も延びて長生きできそうな気がしますよね。
■猫を猫を避妊・去勢手術させたときのデメリット
猫を避妊・去勢手術をさせると、良いことばかりではありません。まずよく聞くのが
「猫を避妊・去勢手術をさせたら太った!」
という意見。あなたも聞いたことがありませんか?肥満はその猫の体質にも関係するのでいちがいにそうとは言えませんが、猫を避妊・去勢手術をさせると性ホルモンの分泌がなくなって代謝が落ちます。手術前のカロリーよりも少なめのフードで体重を管理する必要はあるかもしれません。
また、猫を避妊・去勢手術をさせると体型が変化します。腰からおしりのあたりに脂肪がつきやくくなるので、「手術をしたら猫が太った」と感じる人もいるようです。
■猫を避妊・去勢手術をさせない方が良い場合もある?
猫の避妊・去勢手術は全身麻酔。体力がない猫や高齢の猫には向かないかもしれません。猫エイズに感染している猫の場合は、手術によってさらに免疫力が下がってしまうことも考えられます。
体力がない猫や高齢の猫に避妊・去勢手術をする場合は、健康で若い猫に比べると麻酔などの負担は大きいでしょう。術後の回復に時間がかかる場合もあります。
よく獣医の先生と話し合い、猫の体力と相談してください。
■最後に
猫を避妊・去勢手術をするのは常識、というのが都内で動物を飼う飼い主さんの間では浸透していると思っていましたが、やはり猫が可哀そう、とためらう人もいるようですね。
確かに高齢の猫や病気の猫にはデメリットの方が多い場合もあります。よく考えて決めてくださいね。