「賢いハンス」という馬をご存知ですか?この馬は1904年9月4日のニューヨークタイムスに、「ベルリンの素晴らしい馬」というタイトルで飼い主のフォン・オステマンとともに紹介されました。
この馬のどこがすごいのか?それはハンスは足し算、引き算ができたから。簡単な掛け算や割り算もOK。ハンスは答えをヒズメで床をたたいて回答の数字を教えたそうです。
しかしこれはのちにハンスは人間の微妙な表情や動作を読み取って回答していたことがわかりました。正確な数字をたたくと周囲の人間がハッとした表情を浮かべるため、その数字が正しいことを把握したのだとか。
私がこれを知ったのはずいぶん前。やはり動物は数を数えられないのね、と思っていましたが、実は大間違い!
世界の動物行動学者が犬や猿、猫、鳥など身近な動物で実験を行なった結果、どうやら動物は数を4まで数えられることがわかったそうです。
「1,2,3,たくさん」
というのが多くの動物の数の概念のよう。(例外はハトでハトは50回くらいまでは数えられるそうです)
なるほど~。それなら我が家の愛猫もできるのでは?やり方をご紹介しましょう!
■猫は数を数えられるのか?
まずおやつと白いカード2枚、そしてまったく同じ大きさの深めのフードボウル2個を用意してください。
①おやつを片方のボウルに入れます。おやつがすっかり隠れるように深めのフードボウルを使うこと。
②2枚のカードのうち、片方に2つ、もう片方に3つの黒丸を小さく書きます。(黒丸は同じ大きさになるように)
③白い壁のそばに、2つのフードボウルを1メートル離しておきます。そしてそのフードボウルの後ろに黒丸を書いたカードを立てます。黒丸を2つ書いたカードをおやつが入ったフードボウルの後ろに置きましょう。
④それでは猫を部屋にいれてください。猫がおやつを見つけ、食べたら、何回かこれを繰り返します。これを2日間行います。
⑤3日後、猫が猫が黒丸2つのカードを目指してまっすぐにフードボウルに向かったら、猫は黒丸の数を理解していると言うこと。
とてもシンプルな実験ですが、この黒丸の2つと3つの違うがわかる、ということを訓練しなくてもわかるということは、練習すればもっと知能が高くなる、ということを示すのだとか。
今後黒丸の数を増やしていき、4以上の数でもカードの違いが認識できれば、その猫は天才かもしれませんよ!
■訓練すればもっと数えられる!
コロンビア大学の心理学教室のエリザベス・ブラノン教授は、サルに●や■といった図形が1個から4個描かれたカードを同時に見せて、図形の数の少ないものから順に並ばせる訓練をしたところ、数百回の訓練で完璧に回答できるようになったとか。
猿は1度これを理解すると、今度は1から9までのカードでも正しい順に並べたそうです。
ちなみにハトはボタンが3つ並んだ箱に入れ、1つのボタンを50回つつくと餌がもらえるという実験をしたところ、正確に50回つついたそうです。
■動物の能力をテストするには
インコ、モルモット、うさぎなどの小動物をペットにしている方は、とても簡単な動物の能力をテストする方法があります。
それはアメリカの心理学者、バラス・スキナーが考案した「スキナー箱」という箱を使う方法です。
これは動物にあわせて回答しやすいボタンやスイッチ、ランプ、おやつが出てくるお皿などが備え付けられている箱で、たとえばボタンを3回押せばおやつが出てくるなどを最初に教え、それを覚えられるかを実験するというもの。
ハトはこのスキナー箱のいれた実験で50回までチャレンジして成功しましたが、鳥の中でもこの回数はばらつきがあるそうです。
スキナー箱を自作するのは大変ですが、段ボールなどに簡単なスイッチをつけて、それを押したらおやつが出てくる、程度の実験なら簡単にできるのでは?
おそらくインコなどの鳥は比較的簡単に覚えてしまうのではないでしょうか。
■最後に
昔、犬が呼び鈴を鳴らして飼い主からおやつをねだるというコマーシャルを見たことがあります。
しかしこれを実際に犬に教えると、ずっと呼び鈴を鳴らすそうですから、実験するときはあまり音が大きくないものでやったほうが良いでしょう。
同様のことを猫に教えた動画を見たことがあります。犬は教えられた数を鳴らすとそのまま飼い主がやってくるまでじっと待っていましたが、猫の場合は飼い主がなかなかやって来ないと、激しく呼び鈴を連打していました。
やっぱり猫って犬よりもわがまま。。。なんですかねぇ。