毎日毎日寝てばかり。いいのよあなたは「可愛い」のが取り柄なんだから……。あなたがもし愛猫に対してそう思っているとしたら、それは大いなる誤解かも知れません。
猫は寝るのが趣味。めったにネズミも出ない現在、猫の仕事といえば自宅警備員?という猫ですが、実は嗅覚も聴覚も人間よりもずっと優れた能力を持っています。
いざとなれば、人間なんかよりもずっと役に立つのかも?いや、実際に猫の能力によって解決した事件がありました。今回は、猫を見る目が変わりそうな、優秀な猫の能力を使って解決した事件をご紹介します。
■スパイを見破った猫
ロシアのモスクワにあるオランダ大使館では2匹のシャム猫を館内で飼っていたそうです。ある日、この2匹のシャム猫がニャーニャーと鳴きながら建物の壁の一部分だけを繰り返し引っ掻いているのが目撃されました。
数日間同じ場所を引っ掻くため、ネズミが出たかと思った職員がその部分を調べたところ、なんとその部分からロシアのスパイが仕掛けたと思われる盗聴マイクを発見。
大使館の職員の耳では聞こえなかった、盗聴マイクの集音されるときのスイッチが入る高音の音を、猫は感知して不審に思い、その部分を引っ掻いていたとか。
実はすごい猫の耳。猫は可聴域が人間よりも広く、また耳の向きも変えられるため、音の出所を正確に把握することができるといいます。
さらに音の感度力も人間の6倍。猫は30デシベルの囁き声を人間よりも6倍も離れた場所からも聞き取れる聴覚を持っているそうです。
■密輸探知犬ならぬ密輸探知猫がいた
ロシアのスタブロポリにある検問所では、様々な商品を密輸させないように検問するのが仕事。ロシアからの密輸品で特に多かったのが、絶滅の危機に瀕しているチョウザメの卵を塩漬けにして作る高級なキャビアでした。
ここでは密猟されたチョウザメから採取された貴重なキャビアの密輸品を見つけ出すために、専用の密輸探知犬を飼っていたそうです。
すると、この検問所の係官が拾ってきた捨て猫ルシークが優れた嗅覚を発揮、いつしか犬よりもルシークの方が密輸品のありかを探し当てる確率が高くなっっていったとか。
その才能を認められたルシークは本格的に密輸探知猫として活躍します。しかし残念ながら、あるときルシークは車に轢かれて死んでしまったのです。
この検問所の係官たちはルシークの死を非常に悲しみ、密輸組織の陰謀で殺されたのだ、と主張する人もいたそうです。
猫の驚異的な嗅覚。ニューヨークのロックフェラー大学のレズリー・ヴォスホール教授が行なった研究によると、猫のニオイを嗅ぎ分ける能力は人間の16倍もあるといいます。10万もの異なるニオイを嗅ぎわけることができるそうですよ。
■猫は人の声を聞き分けることができる
2013年、日本人研究者の斎藤慈子と篠塚一貴は、猫が飼い主の声と他人の声を区別できるのかどうかを実験しました。
猫が会ったことのない、飼い主と同じ性別、年齢の人物を4人選び、飼い主と同じように猫の名前を呼んでもらってその声を録音しました。
そして録音した声と飼い主の呼ぶ声を猫に聞かせて猫の反応を観察したところ、飼い主の声を聞いた時の反応が一番顕著だったそうです。
猫は飼い主さんの声を聞いたときだけ、耳を動かしたり、頭を声がする方に向けたり、尻尾を動かす、またはニャーと返事をすることがあったそうです。このことから、猫ははっきりと飼い主の声を他人の声を区別できることが分かりました。
■災害を予知した猫
1942年、イギリスのエクセターという都市で、突然猫たちが街を大挙して脱出するという出来事が報告され、そのほんの数時間後にドイツ軍による大規模な空襲が発生したそうです。
また、2004年に起きたスマトラ島沖地震のときに、地震が起こる数時間前に象やバッファローが犬や猫とともに高い場所に移動したという話も報告されています。
■最後に
いかがですか。盗聴器を発見したり、地震を予測したり。猫の能力は人間よりも数段優れている場合があるという事件、実際に起こった出来事を紹介しました。
気まぐれでワガママ、犬に比べて訓練がしにくいと言われる猫ですが、やるときはやります。大切なのは、猫の能力をいかに上手に引き出せるかにかかっているのかも知れませんね。