3年後、猫の寿命が30歳に…。これは夢物語ではありません。東京大学大学院医学系研究科の宮崎徹教授は、2017年の1月号の「NYAERA」のインタビューの中で、断言しています。
「猫の平均年齢は15歳前後。どんな猫でも10歳あたりから腎機能が低下する」
これは獣医師や猫を飼っている飼い主さんなら知っている定説。しかしこの宮崎徹教授の研究により、この猫の腎機能の低下を予防できる治療法が発見されたのです。
■宮崎教授が発見した「AIM」とは
分子や遺伝子といった生命科学を研究している宮崎教授が、1999年に
「人間の腎不全の治療を助けるたんぱく質」
を発見します。これが「AIM」です。AIMは血液中にある350個のアミノ酸からなるたんぱく質で、尿道に蓄積された老廃物を血中で活性化して除去する作用があることがわかっています。
■猫の7割の腎機能を改善
猫は腎機能が低下しても、このAIMが全く働かないため、教授は猫のAIMを作るように遺伝子改良したマウスからAIMを検出して猫に静脈注射させれば、腎機能を改善させることがわかりました。
猫型に改良したマウスの実験では急性腎不全を発症させたマウスの7割の生存が確認できたそうです。
■年1回の投与で予防効果が期待
大手保険会社の調査によると、猫は6歳以降に急激に腎臓病の羅患率が急激に上がるため、宮崎教授は
「猫に年1回でも定期的に投与することで、腎臓病の予防効果も期待できる」
と語っています。
■保険適用のペットプランも可能に?
横浜のセルトラスト・アニマル・セラビューティクス(株)は、ペット保険のアニコムHDと富士フィルムの合併会社ですが、今後ペットの再生治療、細胞治療の必要性が高まると睨み、将来的にペットの保険適用も視野に入れたペットの医療プランの確立を目指しているそうです。
このセルトラスト・アニマル・セラビューティクス(株)の拠点となる神奈川県は日本の自治体の中でも「犬・猫の殺処分0」政策を推進している自治体です。
ペットの再生治療、細胞治療の実用化に積極的に取り組んでおり、官民一体でペットにも人にも応用できる最先端の医療を後押ししているそうです。
いかがですか。人の医療ももちろんですが、最近はペットの延命治療も日進月歩で研究が進んでいます。これは本当に3年後は猫の寿命が一気に30歳まで伸びてもおかしくないかも知れません。
もちろん猫の寿命を医療だけに頼るのはNG。日頃から飼い主の適切な飼育方法が何よりも大切です。
猫の健康はフードと水、そしてストレスを感じない環境作りが基本。お猫様に長生きしていただくために、飼い主も規則正しい生活や禁煙などを習慣にしましょう。そうすれば、
「猫を飼うと飼い主も長生きする」
と言える世の中になるかもしれませんよ。