キャットシッターを始めて、18年が経ちます。
シッターを始めるきっかけを作ってくれたのは、フリオというオス猫でした。
前回365日フォトで紹介したふうちゃんのおじいちゃんにあたります。
結婚して間もない時期を一緒に過ごした思い出深い猫です。
15才で腎不全になりました。
入院して治療をしてもあまり良くならず、獣医さんと相談して自宅ケアに切り替え、
皮下点滴を覚えご飯も工夫しながらの日々でした。
今から20年ほど前になります。
腎不全用のフードも今ほど沢山種類はなくて苦労しましたが、作ったご飯を食べてくれた時は本当に嬉しかったです。
フリオ(ヒマラヤン・シールポイント)
そんなフリオとの日々は一年ほど続きました。
しかし、別れの日が来ました。
いつも私と一緒に寝ていたベッドで息を引き取りました。
夫婦で最期を看取れましたが、フリオとの別れは想像以上に悲しく、
もっとできることがあったのではと泣き暮らしました。
そんな時、夫が在籍していた劇団四季の稽古場付近でノラをしていたオスの猫がんじろうがうちにやってきました。
がんじろうは、ノラ暮らしで薄汚れてはいるものの、どこか威厳があって亡きフリオにも似ていました。
家猫になったがんじろうの毛並みは、ツヤツヤになり、私の沈んだ気持ちも癒されていくのを感じました。
その時、ふと思い出したのがフリオの毛でした。
日々のブラッシングで溜めていた毛、フリオの死と共に仕舞い込まれていた毛、ふわふわのいい匂いのする毛、
フリオはもういないけれど、生きていた証の毛です。
なにかできないだろうかと考えました。
そして猫好きの機織りの先生に教わり、フリオの思い出話をしながら毛を紡ぐことで、私はフリオを失った悲しみに区切りをつけていきました。
紡いで、糸にして、織ってできあがったマフラーは、日溜りでまどろんでいたフリオの匂いがしました。
シッター先にこのマフラーをしていくと、どの猫も鼻をひくひくさせて「どこかにねこがいる??」という顔をします。
フリオの毛は、捨てるのも惜しくて溜めていたものですが、私のペットロスを救ってくれました。
がんじろうも導いてくれたと思います。
紡ぐには、長毛が適していますが短毛の猫ならフェルトにすることができます。
長毛猫さんは日々のブラッシングがとても大切ですので、みなさんも猫毛を溜めてチャレンジしてみてください。
きっと毎日のブラッシングが楽しくなりますよ。
ブラッシングで溜めた毛
フリオの毛で織ったマフラー
糸にして丸めた毛糸玉
そして…現在2016年は
ピープーの毛を溜めてます。
今年一年でブラッシングで溜めた毛は400gほど。
長毛はこんなに抜けますからブラッシングは必須です。
猫用セーターが売ってますが、自分の毛で編んだセーターなら着心地は最高でしょうね。
ピープーの毛(写真左)スピンドル(写真中央)という手紡ぎと固まった毛を梳くハンドカーター(写真右)