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果実を「どう食べるか」で心臓の健康に変化があると判明


みかんの皮をむくのが面倒で、ついオレンジジュースのパックに手が伸びてしまう日もあるものです。


どちらも同じ「果物」に見えますが、体の側から見ても本当に同じなのでしょうか。


研究チームはこのほど、約37万人のアメリカの大人のデータを使い、果物を「丸ごと食べる頻度」と「果汁100%ジュースで飲む頻度」が、心臓や血管の健康状態によって違うのかを調べました。


では、心臓や血管に不安を抱える人たちは、果物をどのように口にしていたのでしょうか。


研究内容の詳細は2026年8月19日に『Current Developments in Nutrition』にて発表されました。




目次



  • 約37万人に聞いた「果物、どれくらい口にしていますか?」
  • 心臓に不安がある人は、果物をどう口にしていたのか?

約37万人に聞いた「果物、どれくらい口にしていますか?」


約37万人に聞いた「果物、どれくらい口にしていますか?」
約37万人に聞いた「果物、どれくらい口にしていますか?」 / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

果物は、食物繊維やカリウム、ビタミンCを取るための大切な食べ物です。


ところがアメリカでは、80%近くの人が果物のおすすめの量を満たしていません。


アメリカの食事の指針(2020〜2025年版)では、生・冷凍・ドライ・缶詰の果物に加えて、果汁100%のジュースも「果物」の仲間に数えられています。


実際、人々が申告する果物の摂取のうち、丸ごとの果物はおよそ半分で、残りの半分はジュースや甘い飲み物、ダイエット飲料などから来ているといいます。


つまり同じ「果物」でも、かじって食べるか、飲んで取るかで、取り方が大きく2つに分かれているのです。


そこで研究チームは、この2つの取り方が、心臓や血管の病気(心血管疾患)やその危険因子を持つ人と持たない人とで違うのかを調べました。


使ったのは、アメリカで行われている電話による健康調査の2019年のデータで、18歳以上の37万1038人分です。


参加者は、医師や看護師などから高血圧、高コレステロール、心臓発作、狭心症などの心臓病、脳卒中と言われたことがあるかに答えています。


あわせて、「ジュースを除いて果物をどれくらい食べたか」と「砂糖を加えていない果汁100%ジュースをどれくらい飲んだか」も尋ねています。


以前ナゾロジーではこういう記事も紹介しています(果汁100%フルーツジュースの落とし穴?健康のために飲んでいるつもりでも体重増加と関連)


研究チームは答えを1日あたりの回数にそろえ、病気や危険因子が「ある人」と「ない人」のあいだで比べました。


さらに、年齢や学歴、収入、喫煙といった違いの影響を差し引いても、同じ差が見られるかも確かめています。


心臓に不安がある人は、果物をどう口にしていたのか?


心臓に不安がある人は、果物をどう口にしていたのか?
心臓に不安がある人は、果物をどう口にしていたのか? / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

結論から言うと、心臓や血管の病気や危険因子がある人たちは、ない人たちに比べて、丸ごとの果物を食べる頻度が低くなっていました。


この差は、高血圧、高コレステロール、心臓発作、狭心症などの心臓病、脳卒中のすべてで見られました。


しかも、年齢・学歴・収入・喫煙の影響を差し引いた後でも、この差は消えなかったのです。


一方で、ジュースのほうは逆向きの動きを見せました。


高血圧、心臓発作、狭心症などの心臓病、脳卒中があると答えた人では、果汁100%ジュースを飲む頻度がむしろ高かったのです。


つまり心臓に不安のある人たちでは、「かじる果物」は少なめで、病気によっては「飲む果物」が多めという形が見られました。


ただし、ジュースの差は、丸ごとの果物ほどはっきりしたものではありませんでした。


社会的な背景の違いを差し引くと、ジュースを飲む頻度にはっきりした差が残ったのは、高コレステロールと心臓発作の2つだけだったのです。


研究チームも、心臓や血管の状態があまり良くない人たちでは果物を食べる頻度が低く、ジュースについては一部の指標で差があったとまとめています。


ここで気をつけたいのは、この結果が「果物を食べないと心臓病になる」ことを示したわけではない点です。


今回の調査は、ある一時点の回答を切り取って比べる方法(横断研究)で、病気も食べ方もすべて本人の申告にもとづいています。


そのため、果物の食べ方が心臓に影響したのか、心臓の状態が食べ方を変えたのかは、このデータだけでは分かりません。


実際に研究チームは、心臓や血管の状態が果物を食べる頻度にどう影響するのか、その仕組みを今後さらに調べる必要があるとしています。


また、今回比べたのは食べたり飲んだりする「回数」であって、量ではありません。


チームは、アメリカの人々に果物をもっと食べてもらう方法を探ることも、次の課題に挙げています。


「果物」というひとつの言葉の中には、かじって食べる果物とコップで飲む果物という、別々の顔が隠れていました。


心臓の健康を考えるときは、果物を取ったかどうかだけでなく、どんな形で取っていたかにも目を向けてみる価値がありそうです。


みかんの皮をむくひと手間も、指先のちょっとした筋トレだと思えば、少しは楽しくなるかもしれません。


全ての画像を見る

参考文献

Examining the Differences in Frequency of Whole Fruit or 100% Fruit Juice Intake among United States Adults With and Without Cardiovascular Disease Risk Factors: Analysis of 2019 Behavioral Risk Factor Surveillance System Data (Current Developments in Nutrition)
https://doi.org/10.1016/j.cdnut.2026.109517

元論文

Examining the Differences in Frequency of Whole Fruit or 100% Fruit Juice Intake among United States Adults With and Without Cardiovascular Disease Risk Factors: Analysis of 2019 Behavioral Risk Factor Surveillance System Data
https://doi.org/10.1016/j.cdnut.2026.109517

ライター

山下 浩介: むずかしい研究を、なるべく分かりやすく伝えたい。専門の言葉はふだんの言葉に置きかえて、身近な例で例える。それで「わかった」「楽しかった」と言ってもらえたら嬉しいです。
好きなのは、通学路や台所や日常の中にある科学。眠っているあいだに記憶が整理される話や、虫の鳴き方に意味がある話のように、読み終わったあとに誰かへ話したくなる研究を探しています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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