用を足したあと、レバーを押して振り返る。その数秒間のことです。
便器には細菌やウイルスが残りやすく、手を洗う理由はそこにあります。
ただ、手だけ洗えば足りるとは限りません。
フリンダース大学の研究チームは、トイレを流すとエアロゾル(空気中を漂う細かい粒)が立ち上り、大人が呼吸する高さまで届く場合があると報告しました。
新しい実験ではなく、これまでに行われた22の研究を集めて整理した系統的レビューです。
飛沫の柱は主に水ですが、細菌やウイルスといった生き物由来の粒子も混じります。
大人の呼吸する高さに達し、そこで20秒ほど残る場合があります。
では、何が飛沫の量を決めているのか。
研究内容の詳細は2026年8月2日に『The Science of The Total Environment』にて発表されました
目次
- 増やすのは「便器の汚れ」と「水の量」
- ふたを閉めても止まらない、それでも閉める理由
増やすのは「便器の汚れ」と「水の量」

研究チームが22の研究を並べると、条件や測り方の違いでエアロゾルの量は大きくばらついていました。
それでも一貫していたのは、便器の中の微生物が多いほど、そして流す水の量が多いほど、飛ぶ量も増えるという傾向です。
微生物の出どころは、使った時の汚れと、流す水そのものの両方。
集めた研究には、わざと微生物や蛍光の粒子を便器に入れて測ったものと、ふだんに近い条件で測ったものが混ざっています。
粒子は便座に近いほど多く検出されました。
水圧、ふたの開け閉め、換気については、単独の効果を示す証拠が少なく一貫していませんでした。
ふたを閉めても止まらない、それでも閉める理由

ふたを閉めた場合、飛沫の柱は完全には止まりませんでした。
上へ向かう代わりに、ふたと便座の隙間から横へ逃げていたのです。
筆頭著者のリラ・アディヤニ氏は、それでも吸い込む量を減らす用心として、ふたがあるなら閉めてから流すことを勧めています。
便器と周りをこまめに掃除すれば微生物の増殖を抑えられ、流したあとの飛沫も減るとみられます。
流す水の量が少ない便器を選ぶのも一案。
研究チームが特に気にかけているのは、感染に弱い患者が多い病院です。
飛沫がどこまで上がるかを直接測った研究もあります。
流したあとの数秒間に見えない柱が立っていると知ってしまうと、レバーを押す手が少し慎重になります。
息を止めて流すという新しい作法が出来るのか。でも20秒なら何とかなりそうです。
参考文献
Flushing a Toilet Can Blast Germs Up to Your Breathing Zone, Study Finds (ScienceAlert)
https://www.sciencealert.com/flushing-a-toilet-can-blast-germs-up-to-your-breathing-zone-study-finds
Aerosol and bioaerosol generation from toilet flushing: A systematic review and risk factor analysis
https://doi.org/10.1016/j.scitotenv.2026.182111
Aerosol generation in public restrooms
https://doi.org/10.1063/5.0040310
元論文
Aerosol and bioaerosol generation from toilet flushing: A systematic review and risk factor analysis
https://doi.org/10.1016/j.scitotenv.2026.182111
ライター
天道銀河: 科学、歴史、心理、宇宙、生き物、テクノロジーなど、気になるものにはジャンルを問わず首を突っ込む雑食系ライターです。ひとつの分野を深く極めるというより、さまざまな知識を広く集め、意外なつながりを見つけるのが好きです。専門家ほど深くはなくても、好奇心の広さなら負けません。「こんな世界もあるのか」と思えるような、面白くてわかりやすい話題を届けていきます。
編集者
ナゾロジー 編集部
