カップルを見ていると、「片方がよく愛情を表現し、もう片方は控えめ」という関係があります。
一方で、2人とも似たような頻度や温度感で愛情を示す関係もあります。
では、恋愛において満足度が高くなりやすいのは、どちらのタイプなのでしょうか。
この素朴な疑問を調べたのが、アメリカのワシントン州立大学(WSU)です。
そして研究チームは、恋愛関係の質をより強く左右するのは、「つり合い」ではなく「総量」だと報告しました。
この研究は、2026年1月5日付の『Communication Studies』に発表されました。
目次
- 恋愛表現で大切なのは「つり合い」?それとも「総量」?
- 愛情表現は2人の間に「積み上がっていくもの」
恋愛表現で大切なのは「つり合い」?それとも「総量」?
恋愛については、「感情の温度が合っているほうがうまくいく」とよく言われます。
たとえば、あまりベタベタしない人は、同じく控えめな相手のほうが気楽だ、という考え方です。
愛情表現も、お互いが同じくらいの量や頻度で示すほうが、摩擦が少ないように思えるかもしれません。
しかし一方で、「どちらがどれくらい示しているか」という配分よりも、関係全体としてどれだけ多くの愛情表現が積み重なっているかが、恋愛の質を左右するという考え方もあります。
今回の研究は、この2つの考え方のどちらが、実際の恋愛関係に当てはまるのかを調べるために行われました。
研究には、アメリカに住む異性愛カップル141組が参加。
参加者は、それぞれ自分が普段どの程度、言葉や行動で愛情を示しているか、また相手からどの程度、愛情を向けられていると感じているかを回答しました。
一時的な気分ではなく、日常的な傾向としての愛情表現が測られています。
さらに、関係の質についても詳しく尋ねられました。
全体的な満足度や親密さ、信頼感、情熱、将来も一緒にいたいという気持ちなど、恋愛関係を多面的に評価しています。
そして分析の結果、愛情を多く示し、また多く受け取っていると感じている人ほど、自分自身の恋愛満足度が高い傾向が、男女ともに確認されました。
また、一方の愛情表現が、相手の評価にも良い影響を与えることが、およそ半分の項目で確認されました。
そして研究全体を通じて、「2人の愛情表現がどれだけ似ているか」よりも、「関係の中にどれだけ多く愛情が存在しているか」が重要らしい、という結果が見えてきました。
これはどういうことでしょうか。もう少し踏み込んでみましょう。
愛情表現は2人の間に「積み上がっていくもの」
研究者たちは、「2人の愛情表現の差がどれくらい小さいか」と「2人を合わせた愛情表現の多さ」を比べました。
その結果、全体的な満足度、親密さ、信頼、情熱などの項目で、「差が小さいこと」よりも「合計として多いこと」のほうが、恋愛関係の質と強く結びついていました。
言い換えると、2人とも控えめで似たような関係よりも、片方がよく愛情を示している関係のほうが、満足度が高くなりやすかったのです。
つまり愛情表現は、均等に分け合うものというより、「関係の中に蓄えられていくもの」のように働いていると考えられます。
ちなみに、「相手をどれだけ愛していると感じるか」「この先も一緒にいたいと思えるか」といった項目については、今回の結果だけでは、愛情表現の「2人のつり合い」と「総量」のどちらがより重要かをはっきり分けることはできませんでした。
深い愛情や将来への約束のような感情には、日々の愛情表現だけでなく、価値観の共有や人生の計画など、別の要素も関わっている可能性があります。
もちろん、この研究にも限界があります。
対象は異性愛カップルに限られており、すべてのカップルに同じように当てはまるとは言えません。
また、調査は一時点で行われたもので、長い時間の中で関係がどう変化するかまでは分かっていません。
今後は、多様なカップルを対象にした研究や、長期間の追跡調査によって、愛情表現と恋愛の安定性の関係が、さらに詳しく明らかになっていくでしょう。
それでも、この研究は恋愛に対する見方を少し変えてくれます。
恋愛で大切なのは、「2人が同じくらい愛情を示しているか」だけではなく、多くの側面で、「その関係の中にどれだけ豊かな愛情が存在しているか」なのです。
参考文献
For couples, one affectionate communicator can help both partners feel relationship satisfaction
https://phys.org/news/2026-01-couples-affectionate-communicator-partners-relationship.html
For romantic satisfaction, quantity of affection beats similarity
https://www.psypost.org/for-romantic-satisfaction-quantity-of-affection-beats-similarity/
元論文
Affectionate Communication in Romantic Relationships: Are Relative Levels or Absolute Levels More Consequential?
https://doi.org/10.1080/10510974.2025.2610244
ライター
矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。
編集者
ナゾロジー 編集部

