starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

『私の1日の食事』動画の見過ぎで心が病む!?5つの悪影響と対策とは


最近人気の「私の1日の食事」動画は、インフルエンサーが一日の食事内容を紹介するものですが、視聴者の自己肯定感や食行動に悪影響を与える可能性が指摘されています。オーストラリアのサンシャイン・コースト大学の臨床心理学者キャサリン・フーリハンは、これらの動画が誘発する不適切な食行動や気分の落ち込み、ボディイメージの悪化、強迫観念、不安感などを報告しています。多くのインフルエンサーが栄養に関する専門知識を持たず、映像が美的基準を示すため、無意識に「正しい」食生活を求め強迫的になりがちです。視聴者は動画が演出されたものであることを認識し、不安を感じる場合は視聴を控えるべきです。個々の健康は遺伝や体質など多くの要因に基づくため、「あの人の真似をすれば自分も同じようになる」という考えは幻想に過ぎないとされています。

あなたのSNSフィードに、一度は流れてきたことがあるのではないでしょうか?

「What I eat in a day(私が一日に食べたもの)」または「1日の食事」と題された動画。

おしゃれな部屋、アクティブウェアに身を包んだスレンダーなインフルエンサーたちが、朝から晩までの食事を美しく紹介していきます。

一見すると健康志向でポジティブな動画に思えますが、実はこれらのコンテンツが多くの人の自己肯定感を蝕み、食行動や精神に深刻な影響を与える可能性があると警鐘が鳴らされています。

オーストラリアのサンシャイン・コースト大学(USC)の臨床心理学者、キャサリン・フーリハン(Catherine Houlihan)氏は、「私の1日の食事」動画がもたらす有害性について、臨床の現場での経験と研究結果を交えて明らかにしました

目次

  • なぜ「私の1日の食事」系動画は“有害”なのか?
  • 「1日の食事」動画がメンタルヘルスに与える5つの悪影響とその対処法

なぜ「私の1日の食事」系動画は“有害”なのか?

「私の1日の食事」系の動画は、ここ10年で爆発的に人気を集め、現在では再生数が数十億回を超えるジャンルとなっています。

動画内では、インフルエンサーたちがカロリー計算を意識した食事や、「クリーンイーティング(加工食品や精製された砂糖を避け、自然由来の食品を重視するスタイル)」的な食生活を披露します。

画像
爆発的な人気を誇る「私の1日の食事」動画 / Credit:Canva

しかし、多くの動画作成者は栄養や健康に関する専門知識を持っておらず、その内容は科学的な根拠に乏しい場合が少なくありません。

動画によっては危険な食行動を助長する可能性すらあるのです。

例えば、「食事を極端に減らす(低カロリー)」「食事の一部またはすべてをスキップする」「特定の栄養素(糖質や脂質)を極端に制限する」「下剤などの使用を暗示または示唆する」といった描写が含まれていることもあります。

さらに問題なのは、それらの動画が特定の美的基準(痩せている、引き締まっている)を暗黙のうちに“正解”として提示している点です。

多くの動画には美容フィルターが使われ、カメラワークで身体のラインが強調されています。

「この食事をすれば、あなたもこんな身体になれる」という誤ったメッセージが刷り込まれる構造になっているのです。

画像
動画のインフルエンサーとあなたは大きく異なる。当然食事も異なる / Credit:Canva

ですが、こうした前提そのものが誤りです。

人の健康的な栄養状態や体型とは、遺伝や体質、生活環境、年齢、活動量、慢性疾患の有無や服薬状況など医療的背景など、多くの要素で決まるからです。

つまり、「あの人の真似をすれば、私も同じようになれる」は幻想なのです。

むしろ、それに固執することで健康を損ねることすらあり得ます。

では実際に、「私の1日の食事」系の動画は、それを視聴する私たちにどんな影響を及ぼすのでしょうか。5つの影響を考えてみましょう。

「1日の食事」動画がメンタルヘルスに与える5つの悪影響とその対処法

「私の1日の食事」系の動画は、それを視聴する私たちのメンタルヘルスに、以下の5つの危険な影響を及ぼすかもしれません。

① 不適切な食行動の誘発

動画を繰り返し見るうちに、「もっと食事を減らさないと」「この食べ方じゃダメだ」と感じ、食事のスキップや過食・嘔吐といった異常行動を始めてしまうケースがあります。

これは、摂食障害のリスクとなる不適切な食行動(食事制限や過食・排出行動)にあたり、放置すると深刻な精神疾患へと移行する可能性があります。

② 気分の落ち込み

他人と自分を比較することで、自分の身体や食生活への不満が強まり、「自分はダメだ」と感じるようになります。

特に、低カロリーな食事を“正しいこと”と刷り込まれることで、普通の食事すら“悪”に感じてしまう危険性があります。

③ ボディイメージの悪化

画像
動画を見過ぎると、自分の体を醜いと感じるかも / Credit:Canva

「私の1日の食事」動画を見た後、自分の体を醜く感じたり、価値がないと思ってしまう人が多いと報告されています。

2024年の南カリフォルニア大学(USC)の研究でも、そのことが扱われています。

自分の気持ちを気持ち悪いと感じ、自分の体を大切にしたり、感謝したりする気持ちが薄れる傾向があるのです。

④ 強迫観念と不安感

動画の影響で「完璧な食事」や「正しい食べ方」を求めすぎてしまうと、食事が恐怖や不安の対象になります。

また、炭水化物・脂質・タンパク質といった栄養の構成要素を過度に分析する癖がつくと、日常の楽しみであるはずの食事が義務やストレスに変わってしまう可能性があります。

⑤ 人生の焦点が狭まる

SNSが“食”と“見た目”で埋め尽くされることで、人生の価値観や関心ごとが極端に偏ってしまうことがあります。

これは自己評価や幸福感の低下を招き、結果的に全体のQOL(生活の質)を下げることに繋がります。

対処法

画像
もし動画を見た後に落ち込むことがあるなら、それらの動画から離れ、別のことにも関心を向けるべき / Credit:Canva

「私の1日の食事」系の動画は、たとえそれが一時的な食生活の改善の意欲を与えてくれるとしても,それがあなたの身体や心に本当に合っているとは限りません

それでもしも、これらの動画を見たあとに「なんとなく自分が嫌いになった」「今日の食事を後悔した」と感じたなら、次のことを考えましょう。

「この動画は私のために作られたものではない」

「SNSの演出は現実とは違う」

また、「不安になる動画やアカウントはフォローを外す」「食や身体以外の趣味や関心を意識的に取り入れる」などの実際的な行動も、こころを守る一助となるでしょう。

すでに摂食障害の兆候がある、あるいは誰かの様子が気になるという場合は、心療内科や精神科医への相談をおすすめします。

「何を食べるか」「どう生きるか」といった選択の結果は自分自身が受け取るものです。

だからこそ、”動画に出てくる「他人」”ではなく“あなたにとっての健康”を大切にしていきましょう。

全ての画像を見る

参考文献

Those ‘what I eat in a day’ TikTok videos aren’t helpful. They might even be harmful
https://theconversation.com/those-what-i-eat-in-a-day-tiktok-videos-arent-helpful-they-might-even-be-harmful-257127

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

    Loading...
    アクセスランキング
    game_banner
    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2025
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.