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ついに見つけた!「幻の巨大ネズミ」を野生下で初発見


ニューギニア島の山奥で、「マロミス・イスタパンタップ」という巨大なネズミが科学的に確認されました。この希少な生物は体長85センチ、体重2キロに達し、完全な夜行性で、山岳の高地に生息しています。チェコ科学アカデミーのフランチシェク・ヴェイメルカ氏と先住民の協力により、初めて野生の生きた姿を映像に収めることができました。このネズミは、他に競争相手のいない厳しい生息環境で、独自の進化を遂げてきました。今回の研究では捕獲された個体の体長や体重の測定、食性や寄生虫の分析が行われました。この調査によって、ニューギニアの生物多様性の理解が深まりました。

ニューギニア島の山奥で、信じがたいような巨大ネズミがついにその姿を現しました。


その名は「マロミス・イスタパンタップ(Mallomys istapantap)」


本種はネズミとしては規格外のサイズであり、体長は尾まで含めて85センチ、体重は2キロ近くに達します。


まさに“モンスター級”の風格を漂わせるこの齧歯(げっし)類は、これまでわずかな博物館標本のみが知られていただけの幻の存在でした。


しかし今回、チェコ科学アカデミー(CAS)の若き研究者が、世界で初めて野生下での生きたオス個体の撮影と科学的記録に成功したのです。


研究の詳細は2025年4月18日付で科学雑誌『Mammalia』に掲載されています。


 




目次



  • ついに生きた巨大ネズミを発見!
  • なぜ見つかりにくいのか?

ついに生きた巨大ネズミを発見!


この謎めいた毛むくじゃらのモフモフネズミが初めて学術的に記載されたのは1989年のこと。


ただしそのときも資料は過去に収蔵された博物館標本に限られ、生きた姿は誰も見たことがなかったといいます。


標本はあった、けれど動く姿が記録されたことは一度もない——そんな「幽霊のような存在」だったのです。


ところが2023年、チェコ科学アカデミー生物学センター所属する博士課程の研究者、フランチシェク・ヴェイメルカ(František Vejmělka)氏が、6カ月にわたるフィールド調査の末、ついにその実在を科学的に証明しました。


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ついに発見された生きた個体/ Credit: CAS, František Vejmělka (2025)

彼は現地の先住民の協力のもと、パプアニューギニア最高峰ウィルヘルム山(標高4509メートル)を拠点に調査を続け、標高3200~3700メートルの冷涼で霧深い高山林で、夜間に木を登る巨大なモフモフネズミの姿を初めて映像に収めることに成功。


その姿は、あまりに堂々たるものだったといいます。


毛は長くて厚く、鋭い歯と巨大な足を持ち、夜の森を静かに、しかし確実に移動するその姿は、ネズミというよりも小型の哺乳類の王者のような風格さえ感じさせるものでした。


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カメラに捉えられた動く姿/ Credit: František Vejmělka ., Mammalia (2025)

実測では、体長85センチ、体重は最大1.9キロに達していたといいます。


日本人が「ネズミ」と聞いて想像するサイズを遥かに超えた“別格”の存在です。


なぜ見つかりにくいのか?


それにしても、なぜこのような巨大動物がこれまで“野生で見た者がいない”という扱いだったのでしょうか?


理由は、彼らの非常に慎重で隠密なライフスタイルにあります。


まず、マロミス・イスタパンタップは完全な夜行性です。


夜になると静かに木に登り、植物をついばむように食べ、昼間は地中の巣穴や樹上の茂みに隠れて過ごします。


しかもその生息地は、アクセス困難な山岳地帯の奥地—人の足がほとんど踏み入れない霧と急峻な地形の中。


さらに彼らは、他の大型哺乳類との競争相手が少ないこの地域で、数百万年という時間をかけて独自の進化を遂げてきたのです。


ニューギニアの高地では、他の大多数の哺乳類がおらず、ネズミ亜科の齧歯類が“ニッチ”を独占的に活用することで、これほどのサイズに進化することができました。


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実際の画像/ Credit: CAS, František Vejmělka (2025)

今回の発見では、ヴェイメルカ氏は映像や写真だけでなく、野生個体の生体計測、糞の分析を通じた食性データ、寄生虫や行動パターンなど、かつて得られなかったあらゆる情報を収集。


調査対象の範囲も広く、全体で61種の哺乳類(齧歯類と有袋類)を同定し、遺伝子解析によって分類を明確にするという成果も挙げました。


その成果は、生物多様性の宝庫であるニューギニアの「未開の山岳地帯」における哺乳類相の輪郭を初めて浮かび上がらせるものであり、マロミス・イスタパンタップはその象徴的存在となったのです。


今回の成果は、現地の先住民の知識と国際的な科学者の協力によって初めて実現しました。


「私がこのデータを収集できたのは、山中で同行してくれた先住民の狩猟者たちの助けがあってこそです」とヴェイメルカ氏は話しています。


全ての画像を見る

参考文献

Young Czech Scientist Makes First-Ever Documentation of the Largest Rodent of Australia and Oceania – The Mysterious Giant Woolly Rat Measures 85 cm and Weighs Nearly 2 kg
https://www.bc.cas.cz/en/news/news-detail/7598-young-czech-scientist-makes-first-ever-documentation-of-the-largest-rodent-of-australia-and-oceania-%E2%80%93-the-mysterious-giant-woolly-rat-measures-85-cm-and-weighs-nearly-2-kg/#:~:text=Date%3A%2015.05.2025-,Young%20Czech%20Scientist%20Makes%20First%2DEver%20Documentation%20of%20the%20Largest,and%20Weighs%20Nearly%202%20kg

元論文

First scientific observation of the largest Sahulian rodent, Mallomys istapantap, in the wild
https://doi.org/10.1515/mammalia-2024-0153

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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