私たちが日常生活で計算するとき、多くの人は電卓やスマートフォンの計算機アプリに頼るでしょう。
しかし14歳のインド人少年、アーリャン・シュクラ(Aaryan Shukla)は違います。
彼は頭の中だけで驚異的なスピードで複雑な計算をこなすのです。
そこからついた異名は「人間計算機(the Human Calculator)」。
また最近、彼はたった1日で暗算の世界記録を6つも更新し、驚異的な暗算の才能を世界に証明しました。
この偉業の裏には、どのようなトレーニングや習慣があるのでしょうか?
目次
- 電卓より速い暗算!驚異の記録更新
- ヨガで集中力を高めている?
電卓より速い暗算!驚異の記録更新
アーリャン・シュクラは、ギネス世界記録が主催したイベントで、1日に6つの暗算の世界記録を打ち立てました。
その内容と記録は次の通りです。
・4桁の数字100個の合計を暗算する最速記録:30.9秒
・4桁の数字200個の合計を暗算する最速記録:1分9.68秒
・5桁の数字50個の合計を暗算する最速記録:18.71秒
・20桁の数字10個を10桁の数字で割る最速記録:5分42秒
・5桁の数字2つを10セット掛ける最速記録:51.69秒
・8桁の数字2つを10セット掛ける最速記録:2分35.41秒
実際の映像がこちら。
これらの記録は、ほとんどの人が電卓を操作するよりも速い速度です。
実際、シュクラが計算する様子を撮影した映像では、彼が手を素早く動かしながら暗算し、わずか数秒で答えを導き出す姿が映し出されています。
彼の計算能力の高さは、単なる「暗算の速さ」だけではありません。
彼は長い桁数の数字を瞬時に記憶し、それを正確に処理する能力を持っているのです。
この能力はどのようにして鍛えられたのでしょうか?
ヨガで集中力を高めている?
シュクラの驚異的な計算能力の秘密は、日々の練習と独自の習慣にあります。
彼は毎日5〜6時間、数学の練習を行っており、幼少期から計算に親しんできました。
母親によれば、シュクラは6歳のときに暗算の練習を始め、その才能がすぐに明らかになったそうです。
また、彼は単なる数学のトレーニングだけでなく、サハジャ・ヨガと呼ばれる瞑想も実践しています。
シュクラは「ヨガが私を落ち着かせ、集中力を高めてくれる」と語り、計算の正確性とスピードを支える重要な要素になっていることを明かしました。
また彼の父親は「私たちはいたって普通の家族です。アーリャンは十億人に一人の存在ですが、家族が特別な数学の才能を持っているわけではありません」と話しています。
つまり、シュクラの才能は生まれつきではなく、環境と努力の積み重ねによって生まれたものだというのです。
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シュクラの偉業は、単なる個人の才能の証明にとどまりません。
彼のような暗算の達人の存在は、数学教育や脳の研究にも影響を与えています。
現代では、多くの人が計算機に頼りがちですが、シュクラのような能力は「脳の可塑性」、つまり脳が学習によって変化し成長する可能性を示唆しています。
数学の能力は生まれつきの才能も関係してきますが、適切なトレーニングと習慣によって向上することができるのです。
参考文献
14-year-old known as ‘the human calculator’breaks 6 math world records in 1 day
https://www.livescience.com/physics-mathematics/mathematics/14-year-old-known-as-the-human-calculator-breaks-6-math-world-records-in-1-day
14-Year-Old ‘Human Calculator’ Breaks 6 World Records in 1 Day: ‘One in a Billion Kind of Person’
https://people.com/14-year-old-human-calculator-breaks-6-world-records-in-1-day-11679394?utm_source=chatgpt.com
ライター
千野 真吾: 生物学出身のWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部