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タバコも吸わないのに「肺がん」になる人が増加中、その原因とは?


アジア圏、特に中国でタバコを吸わない人の肺がんが増えていることが判明しました。肺がんは一般的に喫煙者に多いとされますが、最近の研究で非喫煙者の発症が増えていることが報告されています。中国・広東医科大学の国際研究チームの調査によると、この増加の主な原因は大気汚染です。特にPM2.5や有害化学物質が肺に影響を与え、非喫煙者でも肺がんのリスクが高まっています。この問題に対処するためには、大気汚染対策の強化、家庭内空気環境の改善、工業地帯の回避、定期的な健康診断が重要であると研究チームは示しています。

「タバコを吸わないのに肺がんになる人が増えている」

この意外な事実が今、特にアジア圏で問題となっているようです。

一般的に肺がんは「喫煙者の病気」と考えられがちでしたが、実際には喫煙歴のない人の間でも肺がんの発症率が上昇しています。

この現象について、中国・広東医科大学(GDMU)らの国際研究チームが調査。

その結果、深刻化する「大気汚染」が原因で肺がんになる人が増えていることが判明したのです。

研究の詳細は2025年2月3日付で医学雑誌『The Lancet Respiratory Medicine』に掲載されています。

目次

  • アジア圏で「肺がん」が増えている
  • 肺がんを防ぐために何をすべきか?

アジア圏で「肺がん」が増えている

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Credit: canva

喫煙者が肺がんになるのは、多くの人が知っている事実です。

しかし「タバコも吸わないのに肺がんになる人がいる」と聞くと、驚く人も多いのではないでしょうか。

実際、最近の研究では、肺がん患者の中で喫煙経験のない人の割合が増加していることが報告されています。

その中でも影響が大きい地域が日本を含む東アジア圏であり、特に中国において非喫煙者の肺がん患者が大きく増加しています。

この原因として、研究者たちは大気汚染の悪化を指摘しています。

大気中には、微小粒子状物質(PM2.5)や有害化学物質が含まれており、これらが肺に深刻な影響を与えることがわかっています。

例えば、中国では大規模な産業活動や自動車の排気ガスが原因で、都市部の空気が深刻に汚染されています。

このような環境下では、非喫煙者であっても肺がんのリスクが高まるのです。

研究チームは今回の調査で、その証拠を突き止めました。

肺がんを防ぐために何をすべきか?

研究チームは今回、1988年から2022年にかけて収集された世界の肺がんデータを解析し、肺がんの発症率やその傾向を詳しく調査しました。

特に、肺がんの一種である「肺腺がん」の発症率に注目しました。

肺腺がんは肺の奥の方の組織に発生するがんで、喫煙が原因となることもあるますが、喫煙者の間では最も多いタイプの肺がんではありません。

しかし、非喫煙者の肺がんとしては最も一般的なタイプとして知られています。

そして研究の結果、世界の中でもアジア地域で非喫煙者の肺腺がん患者が急増しており、特に女性に多いことが確認されました。

さらに、これまでの研究と比較すると、この増加は大気汚染が進行している地域で特に顕著であることが判明しています。

この結果から、大気汚染が悪化している地域に住むことで、タバコを吸わなくても肺がんになるリスクが高まっていることが示されました。

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Credit: canva

では、非喫煙者が肺がんになるのを防ぐためには、どのような対策が必要なのでしょうか?

研究者たちは、次のような取り組みが重要であると指摘しています。

・大気汚染対策の強化(政府や自治体による排出規制の強化)

・家庭内の空気環境の改善(空気清浄機の活用や適切な換気)

・空気の悪い工業地帯や受動喫煙の回避(タバコの煙が発生する場所を避ける)

・定期的な健康診断の受診(早期発見のためのCT検査など)

今回の研究は「アジア圏ではタバコを吸っていなくても肺がんになる可能性が高まっている」ことを示しました。

特に大気汚染が深刻化している場所では、肺がんのリスクがあることを認識し、、私たちができる予防策を講じることが大切です。

「空気を吸うことすらリスクになる」

そんな時代だからこそ、環境問題に対する意識を高めることが、健康を守る第一歩となるかもしれません。

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参考文献

Lung Cancer Is Rising in Non-Smokers, And This Could Be Why
https://www.sciencealert.com/lung-cancer-is-rising-in-non-smokers-and-this-could-be-why

元論文

Estimated worldwide variation and trends in incidence of lung cancer by histological subtype in 2022 and over time: a population-based study
https://doi.org/10.1016/S2213-2600(24)00428-4

ライター

千野 真吾: 生物学出身のWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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