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プロスポーツ選手の動きを再現!人型ロボットの俊敏さを革新する新技術を開発


カーネギーメロン大学の研究チームは、人型ロボットがシミュレーションと現実世界の物理の違いにより、思った通りに動けないという課題を解決する新技術「ASAP(Aligning Simulation and Real Physics)」を開発しました。ASAPは「デルタアクションモデル」を用いて、シミュレーションと実際のロボットの動きのズレを補正し、より自然でスムーズな動作を実現します。この技術により、コービー・ブライアントやクリスティアーノ・ロナウドのようなスポーツ選手の動きを人型ロボットが再現可能になりました。ASAPの導入により、ロボットの動作がより迅速かつ精確になり、家庭用や介護、災害救助といった様々な分野への応用が期待されています。

最近のロボット技術は進化していますが、人間のように素早く自然に動くことは簡単ではありません。


その大きな理由のひとつが、シミュレーションと現実の世界の違いです。


カーネギーメロン大学(Carnegie Mellon University)の研究チームは、この問題を解決する新しい技術「ASAP(Aligning Simulation and Real Physics)」を開発しました。


ASAPは、シミュレーションと実際のロボットの動きのズレを調整し、よりスムーズな動作を可能にします。


その結果、本物のスポーツ選手の動きを、人型ロボットで再現できるようになりました。




目次



  • 人型ロボットはスムーズに動けないのか?
  • シミュレーションと現実のズレをなくす「ASAP」

人型ロボットはスムーズに動けないのか?


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人型ロボットの課題の1つは俊敏さにあった / Credit:Canva

現在の人型ロボットは、シミュレーションの中で動作を学習し、それを現実で再現しようとします。


しかし、シミュレーションと現実の物理法則には違いがあるため、ロボットは思った通りに動けないことがあります。


例えば、シミュレーションでは上手に歩けても、実際にはバランスを崩して転んでしまうことがあります。


これまで、「ドメインランダム化(DR)」などの様々なアプローチが試されてきました。


しかし、これらの方法はパラメータを細かく調整するのに手間がかかったり、ロボットの動きを制限しすぎてしまったりして、俊敏な動きができなくなるという問題がありました。


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ASAPの導入により、コービー・ブライアント氏の動きを再現した人型ロボット / Credit:Carnegie Mellon University

そこで研究チームは、ロボットの運動能力を大幅に向上させるために、「ASAP」という技術を開発しました。


この技術を利用すると、人型ロボットにまるで本物の人間のような動きを与えることができます。


上記の動画では、NBAでバスケットボールの選手として活躍したコービー・ブライアント氏の動きを人型ロボットが見事に再現しています。


では、これほど俊敏な動きを再現できるASAPとはどんな技術なのでしょうか。


シミュレーションと現実のズレをなくす「ASAP」


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サッカー選手のクリスティアーノ・ロナウド氏の動きを再現した人型ロボット / Credit:Carnegie Mellon University

ASAPは、シミュレーションと現実のズレを修正する「デルタアクションモデル」という新しい技術を使っています。


まず、ロボットは人間の動きをもとにシミュレーションの中で動作を学習します。


次に、その動きを実際のロボットに適用し、どのくらいズレが生じるのかを調べます。


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シミュレーションと現実のズレを補正するASAP / Credit:Carnegie Mellon University

そして、このズレを補正するために、ロボットがどのように動けば良いのかを学習するモデルを作ります。


この補正モデルをシミュレーションに組み込むことで、より現実に近い動きを再現できるようになるのです。


最後に、最適化された動作モデルをロボットに適用します。


このアプローチにより、従来の方法よりもロボットの動きが正確になりました。


また、より素早く、より自然な動作を再現できるようになりました。


例えば、従来の技術で「キック」するよう指示すると、以下の動画のように、よろけてしまいます。


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従来の技術でのキック。ぎこちない。 / Credit:Carnegie Mellon University

しかし、ASAPを導入すると、現実とシミュレーションのズレを補正できるため、以下の動画のように、よりスムーズなキックが行えるのです。


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ASAPを導入したキック。スムーズ / Credit:Carnegie Mellon University

こうした進化によって、人型ロボットは一層人間に近づくことができました。


今後、家庭用ロボットや介護ロボット、災害救助ロボットなど、さまざまなロボットへのASAP導入が期待されます。


また、もしかしたら遠い将来、人間並みの俊敏さでスポーツをする人型ロボットが誕生するかもしれません。


私たちが「コービー・ブライアント氏のようなロボットたちの試合を観戦する」なんて状況もありえるのです。



全ての画像を見る

参考文献

Video Friday: Agile Humanoids
https://spectrum.ieee.org/video-friday-agile-humanoids

ASAP Aligning Simulation and Real-World Physics for Learning Agile Humanoid Whole-Body Skills
https://agile.human2humanoid.com/

ライター

大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。

編集者

ナゾロジー 編集部

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