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ペンギンの離婚率は人間よりも高かった!最大で2組に1組が離婚⁈


ペンギンが一夫一妻制で生涯同じパートナーと過ごすという一般的な認識が、オーストラリアのモナシュ大学の研究により見直されています。フィリップ島のコガタペンギンを調査した結果、離婚率が最大で50%に達することが明らかになりました。研究では、繁殖が成功しない場合、ペンギンたちは新しいパートナーを探して離婚する傾向がありました。また、離婚率とコロニー全体の繁殖成功率には相関があり、高い離婚率は繁殖の成功率を低下させることが示されています。この調査は、ペンギン関係の複雑さを示しており、人間との共通点も窺わせます。

ペンギンは一夫一妻制で、同じ相手と一生を添い遂げるといわれています。

しかし最新研究によると、そうロマンチックな話ばかりではないようです。

豪モナシュ大学(Monash University)の研究チームが、オーストラリアの島に住む「コガタペンギン」を調査したところ、かなりの確率で離婚しており、最大では50%の離婚率に達していたことが判明したのです。

一体なぜでしょうか?

研究の詳細は2025年1月11日付で科学雑誌『Ecology and Evolution』に掲載されています。

 

目次

  • 離婚率は最大で50%に達していた!
  • ペンギンが離婚する理由とは?

離婚率は最大で50%に達していた!

「ペンギンは一生同じ相手と過ごす」そんな話を聞いたことがあるかもしれません。

実際、ペンギンの多くの種は社会的に一夫一妻制をとる傾向があり、同じパートナーと繁殖を続けるケースも少なくありません。

しかしオーストラリア領内のフィリップ島に住むコガタペンギン(学名:Eudyptula minor)に関しては、この定説が必ずしも当てはまらないことが分かってきました。

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コガタペンギン/ Credit: ja.wikipedia

研究チームはコガタペンギンの離婚率を調べるため、2000年から2013年にかけてフィリップ島でフィールドワークを実施。

研究者は「前年の繁殖シーズンにタグ付けされたペンギンのペアが、翌年に新しいパートナーとともに再びコロニーに現れた」場合に、そのペンギンを「離婚した」と見なしています。

そして12回にわたる繁殖シーズンの結果、約1000組のペンギンのペアのうち250件近くの「離婚」が記録されました。

これは13年間で、年間平均で21組の破局があった計算になります。

比較として、アメリカの年間離婚率は1000組の結婚につき約2.4組であり、コガタペンギンの離婚率はそれよりも約10倍も高かったのです。

シーズンごとの離婚率は5%から36%の範囲で変動しており、特に環境条件が悪い年にはその傾向が強まることがわかりました。

また最大では離婚率50%(2組に1組!)に達するシーズンもあったとのことです。

では、なぜペンギンは離婚するのでしょうか?

ペンギンが離婚する理由とは?

離婚の最も大きな要因の一つは「繁殖が成功するかどうか」です。

もし同じパートナーで子育てを成功させられなかった場合、その相手とずっと婚姻関係を続けていても子宝に恵まれない可能性があります。

そこでその相手とはスッパリと縁を切り、次のシーズンでは新しい相手を探す傾向があったのです。

まるで人間の結婚生活のように「この関係ではうまくいかないかも」と考えて、ペンギンたちはより良い相手を求めるのでしょう。

その一方で、コガタペンギンの離婚率はコロニー全体の繁殖成功率と強く相関しており、環境要因や行動特性よりも重要な影響を与える可能性があることがわかりました。

具体的には、離婚率が18%以下の年にはコロニー全体の繁殖成功率が高く、逆に離婚率が高い年には繁殖成功率が低下する傾向が見られたのです。

先ほど言ったように、コガタペンギンの個体レベルでは、同じパートナーと繁殖できないと判断すると離婚を選びます。

ところが離婚した個体は新しいパートナーを見つけるのに時間とエネルギーを費やす必要があり、良い相手が見つからなければ、そのシーズンの繁殖機会を失う可能性が高くなります。

これにより、コロニー全体の繁殖成功率が低下する要因の一つとなるのです。

つまり、コガタペンギンの社会においては「安定した夫婦関係」が、コロニー全体の繁殖の成功に不可欠である可能性が高く、離婚して新しい相手を見つければ、必ず繁殖に成功するわけではないことを示唆しています。

これは私たち人間にも通ずるところがあるかもしれません。

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コガタペンギン/ Credit: canva

今回の調査はコガタペンギンに焦点を当てたものであり、他の種のペンギンではまた愛の関係はさまざまです。

例えば、アデリーペンギンのメスは夫が狩りに出ている間に他のオスと浮気することがあります。

そして夫が帰ってきて浮気現場を見つけると、その間男と血みどろの喧嘩をするのです。

しかし悲しいかな、ケンカに負ければ、妻を諦めてその場を去らなければなりません。

他方で、一夫一妻性を忠実に守り、同じパートナーと一生を添い遂げる種もたくさんいます。

このようにペンギンの世界でも、私たち人間社会と同じように「愛と別れ」のドラマが繰り広げられているのです。

全ての画像を見る

参考文献

The secret lives of Phillip Island’s divorcing penguins
https://www.monash.edu/news/articles/the-secret-lives-of-phillip-islands-divorcing-penguins

Shock Discovery Reveals Penguins Don’t Mate For Life After All
https://www.sciencealert.com/shock-discovery-reveals-penguins-dont-mate-for-life-after-all

元論文

Divorce Rates Better Predict Population-Level Reproductive Success in Little Penguins Than Foraging Behaviour or Environmental Factors
https://doi.org/10.1002/ece3.70787

ライター

千野 真吾: 生物学出身のWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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