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【意外!?】食虫植物の捕虫成功率は○○%だった


食虫植物の中でよく知られるハエトリグサとウツボカズラの捕虫成功率について説明される記事です。ハエトリグサは葉のトゲで昆虫を閉じ込めようとしますが、捕虫成功率は16%から24%と低めです。大型の昆虫はこのトゲを利用して脱出することがあります。一方、ウツボカズラは筒状の葉で昆虫を捕らえますが、その成功率は環境要因に依存します。葉の開口部が濡れている場合、捕虫成功率は80%以上に達することがあるが、乾いていると成功率はほぼゼロに近づきます。これらの例は、食虫植物の捕虫成功が植物種や昆虫のサイズ、さらには気候に大きく影響されることを示しています。

植物が虫を捕まえる姿を見たことがあるでしょうか。

ハエトリグサで有名な食虫植物は、映画やアニメに登場するユニークな存在です。

しかし、動物の狩りがいつも成功しないのと同じように、食虫植物の捕虫もいつも成功するわけではありません。

では、食虫植物たちの捕虫成功率はどれくらいなのでしょうか。

ここでは、食虫植物であるハエトリグサやウツボカズラに焦点を当てて解説します。

目次

  • ハエトリグサの捕虫成功率は?
  • ウツボカズラの捕食成功率は気候に左右される

ハエトリグサの捕虫成功率は?

このXの投稿には、ハエトリグサがナメクジを捕虫している様子が記録されています。

冒頭だけを見ると、ハエトリグサの葉が閉じることで、ナメクジの逃げ場がなくなるように見えます。

しかし、ナメクジは自ら体の残りの部分を強引に葉の中に入れ、まるで溢れ出るように、閉じた葉をこじ開けて脱出することに成功しています。

このナメクジの見事な脱出劇を見ると、食べられる側の生物もやはり必死であり、食虫植物の捕虫がいつも成功するわけではないことが分かります。

では、それら食虫植物の捕虫成功率はどれくらいなのでしょうか。

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ハエトリグサの捕食成功率は? / Credit:Canva

ハエトリグサ(学名:Dionaea muscipula)について考えてみましょう。

ハエトリグサは、北アメリカ東部の湿地に自生する食虫植物です。

その葉は二枚貝のような形状をしており、葉の縁には歯のようなトゲが並んでいます。

また葉の内側には複数の感覚毛が備わっており、この感覚毛が2回連続して触れられると、葉が瞬時に閉じて獲物を捕らえます。

(2回の接触で葉が閉じるのは、雨などで誤動作するのを防ぐためだと考えられます)

この動作は約0.5秒という驚異的な速さで行われ、植物としては異例の反応速度です。

しかし、ハエトリグサの捕虫成功率はそこまで高くありません。

アメリカのノースカロライナ大学(University of North Carolina)の2019年の研究によると、ハエトリグサの捕虫成功率は16%から24%だと示されています。

この研究では、トゲが捕虫に重要な役割を果たしていることが明らかになりました。

トゲは中程度のサイズの昆虫に対して効果的で、葉が閉じる際に逃げ場を塞ぎ、虫を閉じ込める“檻”として機能するのです。

一方で、大型の昆虫の場合、トゲが逃げ道として活用されることが観察されました。

大型昆虫は、葉のトゲを足場として利用し体を持ち上げることで、葉の中から強引に脱出することができるのです。

ハエトリグサの巧妙な罠には対象サイズに限界があり、それゆえ捕虫成功率もそこまで高くなかいのです。

では、他の食虫植物はどうでしょうか。

ウツボカズラの捕食成功率は気候に左右される

ハエトリグサ以外にも、食虫植物の捕虫成功率は研究されています。

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獲物を袋に落として消化する「ウツボカズラ」 / Credit:Canva

ウツボカズラ(学名:Nepenthes rafflesiana)は、湿地や熱帯雨林に自生する落とし穴式の食虫植物です。

その葉は筒状になっており、甘い香りで昆虫を誘い込み、内壁の滑りやすい構造で筒の中に捕らえます。

そして筒の中に落ちた昆虫たちは、内部の消化酵素によって分解され、ウツボカズラの栄養になってしまうのです。

これまでに研究により、葉の縁(開口部)にある湿り気を帯びた部分が捕虫効率に重要な役割を果たすことで知られています。

実際、2007年に発表されたイギリスのケンブリッジ大学の研究によると、ウツボカズラの捕虫成功率は、開口部が濡れている状態では捕虫成功率が80%以上に達しますが、乾いている場合にはほぼゼロに近いと分かりました。

この部分のの湿り気は、雨や結露、さらには植物が分泌する蜜によってもたらされるため、植物の状態だけでなく、気候が捕虫効率に影響を与えると分かります。

ウツボカズラは環境条件に応じて捕虫成功率が大きく変化する食虫植物だったのです。

もちろん、ハエトリグサやウツボカズラ以外にも食虫植物は存在しています。

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(左)モウセンゴケ、(右)ムシトリスミレ / Credit:(左)Canva, (右)Wikipedia Commons

例えば、モウセンゴケ(学名:Drosera)ムシトリスミレ(学名:Pinguicula)は、葉に分泌される粘液で昆虫を絡め取る粘着式の捕虫方法を持つ食虫植物です。

その粘液には消化酵素が含まれており、捕らえた昆虫から栄養を効率的に吸収します。

そしてこれらの粘着式の捕虫方法は、小型の昆虫に対して高い効果を発揮すると考えられています。

このように、食虫植物の捕虫成功率は、植物の種類、対象となる昆虫の大きさ、そして環境条件によって大きく異なります。

動画のように、時に獲物に逃げられる場面が発見されるのも、何ら不思議ではないのです。

全ての画像を見る

参考文献

The Wonderful Venus Flytrap: Marginal Spikes Form a “Horrid Prison” for Moderate-Sized Insect
https://everyday-evolution.org/uncategorized/the-wonderful-venus-flytrap-marginal-spikes-form-a-horrid-prison-for-moderate-sized-insect/

元論文

Testing Darwin’s hypothesis about the wonderful Venus flytrap: marginal spikes form a ‘horrid prison’ for moderate-sized insect prey
https://doi.org/10.1086/701433

Harmless nectar source or deadly trap: Nepenthes pitchers are activated by rain, condensation and nectar
https://doi.org/10.1098/rspb.2007.1402

ライター

大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。

編集者

ナゾロジー 編集部

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