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「何もしてない時」が最強の時間!脳のひらめきメカニズム


「ぼーっとしている時間」に、脳ではデフォルトモードネットワーク(DMN)が活性化し、新しいアイデアの創出や記憶の統合が進められていることが判明しています。DMNは、内側前頭前野や後部帯状皮質などで構成され、外部刺激が少ない状況やリラックスした時に活発になります。例えば、散歩や入浴中に脳が普段抑えられている情報同士を結びつけ、新たな発想が生まれるのです。また、皿洗いや掃除などの単調作業時には「マインドワンダリング」が生じ、創造的思考が促されます。スマートフォンから離れることで「ぼーっとする時間」を確保し、脳の創造的能力を最大限に引き出すことが薦められています。

「ぼーっとしている時間」に脳が何をしているか、考えたことはありますか。

実は、何もしていないように見えるこの瞬間、脳内では新しいアイデアや創造的な発想を生む重要な活動が進行しています。

脳のデフォルトモードネットワーク(Default Mode Network, DMN)という仕組みが、その鍵を握っています。

何気ない日常のひとときが、どのようにあなたの思考や発想を変えるのか、その秘密に迫ります。

目次

  • 脳は「何もしていない時間」に何をしているのか?
  • ひらめきを生む「ぼーっとする時間」の活用法

脳は「何もしていない時間」に何をしているのか?

「ぼーっとしている時」や「何もしていない時間」に、ふとしたアイデアやひらめきを経験したことはありませんか。

脳が完全に休んでいるように思えるこれらの時間に、脳内で重要な働きが進行しています。

その中心的な役割を果たしているのが、デフォルトモードネットワーク(DMN)と呼ばれる脳のネットワークです。

DMNの発見は、2001年に神経科学者マーカス・レイクルが脳の活動を測定する研究を行った際に明らかになりました。

当時、課題に取り組んでいない休憩中にも特定の脳領域が活発に働いていることが発見されました。

この現象を観察したレイクルは、脳が何もしていないように見える「デフォルト(初期設定)」の状態でも重要な活動を行っていることに着目し、このネットワークをデフォルトモードネットワーク(Default Mode Network, DMN)と名付けました。

DMNは、内側前頭前野、後部帯状皮質、海馬など、複数の脳領域から構成されます。

その後の研究で、DMNは外部刺激が少ない状況で特に活発になることや、DMNが新しいアイデアの創出や記憶の統合において重要な役割を果たすことが明らかになりました。

何もしない時間を作るためにも休憩は大事だった
何もしない時間を作るためにも休憩は大事だった / Credit:Canva

DMNは、特に散歩や入浴といったリラックスした時間に活発になります。

このとき、不要な情報や関連性の低いアイデアの結びつきを制限する役割を果たす前頭前野の制約が緩み、普段は抑えられている情報同士が結びつきやすくなります。

その結果、意外な視点や新たな発想が生まれる仕組みが整うのです。

さらに、DMNは「マインドワンダリング」と呼ばれる状態に入ると特に活性化します。

これは、脳が特定の目標や外部刺激に集中していないときに意識が自由に移動する状態で、記憶や経験を統合し、普段は関連性がないとされる情報同士を結びつける役割を果たします。

単純作業中に過去の出来事や未来の計画がふと頭をよぎるのは、マインドワンダリングの典型的な例です。

つまり、DMNは新しい洞察やアイデアを生み出す土台を作り、日常生活でのひらめきや創造性を支えているのです。

ひらめきを生む「ぼーっとする時間」の活用法

脳が「ぼーっとしている」状態は、ただ怠けているわけではなく、ひらめきや創造性を生むための重要な時間であることがわかりました。

実際の研究でも、ぼーっとしている状態が創造性を支える裏付けとなる結果が示されています。

したがって、この時間をうまく活用することで、日常生活や仕事の中で新しいアイデアを得やすくすることができます。

日常に瞑想を取り入れることでアイデアがひらめくかも
日常に瞑想を取り入れることでアイデアがひらめくかも / Credit:Canva

散歩や入浴、瞑想など、心を落ち着ける時間を意識的に設けることは、デフォルトモードネットワーク(Default Mode Network, DMN)を活性化させるために非常に効果的です。

実際、多くの起業家や成功者が瞑想を取り入れています。

Appleの創業者スティーブ・ジョブズは、瞑想を通じて内省し、新しいアイデアを見つける時間を大切にしていました。

また、Googleなどの企業では、従業員向けにマインドフルネスや瞑想のプログラムを提供しており、これが創造性や問題解決能力の向上に寄与しているとされています。

私たちが普段から取り組んでいる皿洗いや洗濯、掃除といった単調な作業は、マインドワンダリングを促す絶好の機会です。

これらの作業中、脳は過度な注意を必要とせず、DMNが活発になるためです。

歴史上の偉人たちも、散歩や家事の時間に重要なひらめきを得ていたとされています。

デジタルデトックスで何もしない時間を作ろう
デジタルデトックスで何もしない時間を作ろう / Credit:Canva

現代社会では、スマートフォンが常に私たちの注意を引きつけ、DMNが十分に働く時間を奪っています。

意識的にスマートフォンから離れる時間を作ることで、脳が「ぼーっとする」ための時間を確保できます。

頭を空っぽにして自然に触れることで、創造的な思考が促進されるでしょう。

しかし、ぼーっとする時間を取り入れすぎないように注意しましょう。

長時間の目的のない時間は集中力を削ぐ原因になる可能性があります。

リラックスと集中のバランスを意識することで、DMNを効果的に活用しながら生産性を保つことができます。

日常生活の中で意識的にぼーっとする時間を取り入れ、脳が持つ本来の力を引き出し、新しい発想や問題解決の可能性を広げることができます。

小さな工夫を積み重ね、創造性豊かな日々を実現してみてはいかがでしょうか。

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元論文

20 years of the default mode network: A review and synthesis
https://doi.org/10.1016/j.neuron.2023.04.023
A default mode of brain function
https://doi.org/10.1073/pnas.98.2.676
Inspired by Distraction: Mind Wandering Facilitates Creative Incubation
https://doi.org/10.1177/0956797612446024

ライター

岩崎 浩輝: 大学院では生命科学を専攻。製薬業界で働いていました。 好きなジャンルはライフサイエンス系です。特に、再生医療は夢がありますよね。 趣味は愛犬のトリックのしつけと散歩です。

編集者

ナゾロジー 編集部

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