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脳みそでも味噌でもない「カニミソ」とはなんなのか?


カニミソは、カニの甲羅の中にある茶色から濃緑色のペーストですが、名前に反して「味噌」や「脳みそ」ではありません。その実態は、カニの「中腸腺」と呼ばれる消化腺と同等の部分で、これは脊椎動物の肝臓や膵臓に相当します。カニミソには甘みと旨味があり、カニの精巣や卵巣と共に食べられることもあります。カニミソは、特有の濃厚な風味と味わいが魅力で、カニの楽しみのひとつです。次にカニをいただく際には、この美味しさをより深く楽しむことができるでしょう。

記念日や年末年始の集まりで、また旅行先などで、「ちょっと豪華な食事を楽しみたい」時に、カニを食べることがあるかもしれません。

カニは、その身が甘くて美味しいですが、甲羅の中に隠された少量の「カニミソ」を好む人も少なくありません。

それでも、カニミソが一体何のか正確に知っている人は多くありません。

名前は「カニミソ」ですが、「味噌」でも、「脳みそ」でもありません。

ここでは、カニミソの正体を解説します。

目次

  • カニの美味しさの秘密は?
  • カニミソの正体は?味噌でも脳みそでもない!

カニの美味しさの秘密は?

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カニの美味しさの秘密は? / Credit:Canva

冬の楽しみの1つは「カニ」だという人は少なくありません。

ズワイガニやタラバガニが旬な季節であり、おせち料理に入れたり、家族でカニ鍋を楽しんだりするかもしれません。

また北海道や鳥取県、兵庫県などに旅行した際には、新鮮なカニを食べたいと思うことでしょう。

このように、多くの日本人にとってちょっと特別で豪華な食材のカニは、奇妙な見た目とは裏腹に、殻に包まれた身を食べると独特の風味と甘さを有しています。

とはいえ、いつも私たちが食べている「カニの身」は、実は筋肉であり、脂肪が少なく味自体は淡泊です。

では、カニの風味や美味しさはどこから来ているのでしょうか。

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カニのエキスに含まれるグリシンが自然な甘みを生み出している / Credit:Canva

それにはカニに含まれるエキス成分(アミノ酸などで構成される)が大きく関係しています。

例えば、そのうちの1つであるアミノ酸「グリシン」は自然な甘みと旨味を有しており、甘味度は砂糖の約70%です。

カニの身を食べた時に「甘くて美味しい」と感じるのは、こうしたエキス成分が含まれているからなのです。

だからこそ、加熱調理や解凍を失敗すると、それら旨味エキスが流出してしまい、「水っぽい」「味がない」と感じてしまいます。

ここまでで、カニの身とその美味しさの秘密について考えてきましたが、カニ好きには見過ごせない別の部位があります。

それは、カニの甲羅に隠された少量の「カニミソ」です。

カニミソには独特の風味と濃厚な味わいがあり、「手間をかけても食べたい」という人が少なくありません。

しかし、カニミソがどんな食べ物なのか誤解している人もいます。

その名称から「脳みそ」だと思っているかもしれませんが、実は全く違います。

では、カニミソの正体はいったい何なのでしょうか。

カニミソの正体は?味噌でも脳みそでもない!

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カニミソの正体は? / Credit:Canva

カニの甲羅を取り除くと見られる茶色から濃緑色のペースト「カニミソ」の正体は何でしょうか。

「カニミソ」という名前ですが、当然、味噌でも、脳みそでもありません。

カニミソは、カニの中腸腺(ちゅうちょうせん)と呼ばれる器官です。

中腸線は、エビやカニなどの節足動物の消化腺です。

ここは、脊椎動物の「肝臓」に相当する栄養摂取に関わる生理機能と、「膵臓」に相当する消化酵素を分泌する機能を有しています。

そのため、中腸線は「肝膵臓」とも呼ばれていました。

私たちは、カニの肝臓や膵臓のような部位を、カニミソと称して食べていたのです。

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カニミソの軍艦巻き。「カニの肝臓と膵臓に当たる部位の軍艦巻き」ということ / Credit:Wikipedia Commons

ちなみに、私たちは、カニ以外にも中腸腺を食べることがあります。

例えば、イカの塩辛にはイカの内臓が使用されますが、これは主に中腸腺のことです。

イカの塩辛特有の味わいは、この中腸線や発酵・熟成過程が関係しているのです。

また「肝臓を食べる」という習慣自体も一般的であり、アンコウの肝臓である「あんきも」、ガチョウやアヒルの肝臓である「フォアグラ」などが有名です。

とちらも、なめらかで濃厚な味わいが特徴の珍味ですが、「カニミソ」を食べることもこれらに近い食習慣なのかもしれません。

ここで、カニミソについてもう少し詳しく考えてみましょう。

私たちがカニミソを食べる時、実はそこにカニの中腸腺以外のものが含まれているケースがあります。

それが中腸腺近くにある「精巣」や「卵巣」です。

オスの場合、中腸線近くには白い粒が帯状になった精巣(または白子)があり、濃厚な味わいを楽しめます。

「カニミソ」として提供される場合、中腸線に精巣が含まれることが少なくありません。

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メスの甲羅の中には卵巣がある。卵を持っている場合も / Credit:Canva

またメスの場合は、甲羅の中に、鮮やかなオレンジ色をした「卵巣(または内子)」があります。

こちらも珍味であり、人によって好き嫌いが分かれますが、こちらも濃厚でクリーミーな味わいを楽しむことができます。

加えてメスでは、茶色い粒々の「カニの卵(外子)」が入っている場合もあります。

魚卵のようなプチプチとした食感ですが、味はほとんどありません。

カニミソと内子・外子は、はっきりと区別できますが、調理の際に混ぜたり、そのまま一緒に啜って食べたりすることも多いでしょう。

カニミソの正体は、カニの肝臓や膵臓にあたる部分でした

精巣や卵巣と共に食べることもあり、これがカニミソをいっそう深い味わいにしています。

次にカニを食べる時には、旨味エキスを含んだカニの身と、生命力を凝縮したようなカニミソを、もっと楽しめることでしょう。

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参考文献

Crab Innards
https://www.seriouseats.com/the-nasty-bits-crab-innards

ライター

大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。

編集者

ナゾロジー 編集部

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