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実は男性と女性で異なる朝食を摂った方が良い


多くの夫婦やカップルは、一緒に食事を取る機会を大切にしています。

同じ時間に、同じものを、顔を合わせて食べることに幸せを感じる人は多いでしょう。

しかしカナダのウォータールー大学(University of Waterloo)に所属するステファニー・MC・アボ氏らの新しい研究では、健康に関するある側面を考えると、「男性と女性は異なる朝食を摂るべき」だと報告しています。

男性と女性が別々の朝食を食べることに、一体どんなメリットがあるのでしょうか。

研究の詳細は、2024年8月22日付の学術誌『Computers in Biology and Medicine』に掲載されました。

目次

  • 代謝を高める「朝食」の力
  • 朝食に「男性は炭水化物」「女性は脂質」を多く取るべき

代謝を高める「朝食」の力

「どんな物を食べるか」という選択は、私たちの健康に大きな影響を与えます。

バランスの取れた食事は、体が必要とする栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維など)を適切に供給し、体を形作り、免疫力を強化します。

一方で偏った食事や過剰な摂取は、肥満や生活習慣病(糖尿病、心臓病、がんなど)のリスクを高めます。

ついつい食べ過ぎてしまい、「最近、体脂肪が増えてきたからダイエットしたい」なんて感じる人も少なくないでしょう。

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代謝を高める朝食を大事にするとダイエットはスムーズになる / Credit:Canva

ここで落とし穴となりやすいのが、「朝食を抜く」という考えです。

朝食を抜くとエネルギーが不足し、仕事の活動量やパフォーマンスが低下したり、筋肉量の減少、基礎代謝の低下を起こしたりします。

「痩せにくい体」へと変化してしまうのです。

また朝食を抜くことで血糖値も不安定になり、昼食や夕食で過食しやすくなります。

つまり、健康的に体重を減らしたいなら、1日の総摂取カロリーを気にしつつ、朝食を取るようにすべきなのです。

では、朝にはどんな物を食べるべきでしょうか。

簡単に言うと、「バランスの良い食事」が大切です。

しかし、アボ氏ら研究チームは、既存の研究報告を調べた時に、「女性の身体に関する研究データが、男性の身体に関する研究データよりも少ない」ことを発見しました。

「朝食に何を食べるべきか」という疑問に対する答えは、男性の身体の反応を元に語られていることが多いのです。

そこで彼らは、新しい研究で「男性と女性における代謝の性差」に着目し、ダイエットしたい男性と女性が、それぞれ朝食にどんな物を食べるべきか調べることにしました。

朝食に「男性は炭水化物」「女性は脂質」を多く取るべき

今回、アボ氏ら研究チームは、性別による代謝の違いを明らかにするために「全身の代謝モデル」を作成しました。

「モデル」とは、現実世界のシステムや現象を理解・予測・再現するために作られた数学的、コンピュータベースのシミュレーションを指します。

今回の研究で作成されたモデルでは、人間の身体が「脳」「心臓」「肝臓」「消化管」「骨格筋」「脂肪組織」「その他」に区分され、22種類の代謝物質と、25種類の反応(化学的な代謝過程)、血糖値に関与するホルモンが考慮されています。

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開発された「全身の代謝モデル」のシステム図 / Credit:Stéphanie M.C. Abo(University of Waterloo)et al., Computers in Biology and Medicine(2024)

これにより、男性と女性のそれぞれの身体で、摂取した栄養素がどのように変化し、使用されるかが詳細な点までシミュレーションできます。

そしてこのモデルを使って朝食(数時間食事しなかった後の栄養摂取)の代謝の違いを調べました。

その結果、男性と女性では、朝食時に異なる食品を食べることが、代謝を高めるのに有効だと判明しました。

男性では炭水化物を多く含む食事(米、オートミールなど)が代謝を高めるのに対し、女性では脂質を多く含む食事(オムレツやアボカドなど)が代謝を高めると分かったのです。

これは、女性の身体が「脂質をエネルギー供給のために使い、間接的に炭水化物の代謝を支援する」ことが得意だからです。

特に朝食など、食事を取らない状態がしばらく続いた時や、エネルギーが不足しているタイミングでは、この傾向が強くなります。

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ダイエットにおいて、男性は炭水化物多めの朝食を、女性は脂質多めの朝食を取ると良い / Credit:Canva,ナゾロジー編集

一方で、男性では、女性ほど脂質の分解や利用が活発でないため、炭水化物を取り入れることで代謝を維持しやすいことが分かりました。

そしてシミュレーションによると、この男女差は、肝臓と脂肪組織が栄養素を蓄える方法の違いから来ているようです。

もちろん、「女性は朝食に脂質を取った方が代謝アップしやすい」と言っても、摂取カロリーが消費カロリーをオーバーしていては、結局太ってしまいます。

1gあたり炭水化物が4kcal、脂質が9kcalと大きな違いがあることも忘れず、正しく摂取カロリーを管理することが大切です。

その上で朝食では、男性は炭水化物の割合を高め、女性は脂質の割合を高めに摂るよう意識すると、効果的なダイエットできるでしょう。

一緒に暮らしている場合、同じものを同じタイミングで食べるのは当然と言えますが、もし二人がダイエットしているのであれば、朝はあえて別々の食事を選択するのもアリかもしれません。

朝食において、和食は炭水化物が多く、洋食は脂質が多い傾向があるため、「男性は和食、女性は洋食」という選択もできるでしょう。

もしくは、同じものを食べつつ、それぞれ、ご飯やおかずの量を調整することもできるはずです。

「朝に何を食べるか?」それは男性と女性でそれぞれに考えた方が、健康的な生活の助けになるでしょう。

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参考文献

For weight loss, men and women need different foods for breakfast
https://newatlas.com/health-wellbeing/sex-food-metabolism-breakfast/

Should men and women eat different breakfasts to lose weight?
https://uwaterloo.ca/news/media/should-men-and-women-eat-different-breakfasts-lose-weight

元論文

Modeling sex-specific whole-body metabolic responses to feeding and fasting
https://doi.org/10.1016/j.compbiomed.2024.109024

ライター

大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。

編集者

ナゾロジー 編集部

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