2024年4月30日、ある自転車がギネス世界記録に認定されました。
イヴァン・シャルク氏ら率いるオランダのエンジニアチームによって、「世界最長の自転車」が製作されたのです。
全長55.16mのこの自転車は、2人のライダーによって運転され100mの距離を走り切ることができました。
では、世界最長の自転車とは、いったいどのような自転車なのでしょうか?
詳細は、ギネス世界記録『Longest bicycle』にて確認できます。
目次
- 55.16mの自転車がギネス世界記録認定!
- 世界最長のタンデム自転車の記録も保持
55.16mの自転車がギネス世界記録認定!
自転車とは、乗り手の力によって駆動し、2つの車輪で走る車です。
スピードを出すための自転車や、山を登るための自転車など、これまでに様々なタイプが製作されてきましたが、ある人々は「長さ」にこだわり、世界最長の自転車を開発してきました。
この分野における最初のギネス世界記録は、60年前にさかのぼります。
最初の「世界最長の自転車」は、1965年にドイツで製造された8mの自転車でした。
この記録は、これまでに何度も塗り替えられてきており、直近では、2020年にオーストラリアのバーニー・ライアン氏が製作した47.5mの自転車が世界最長となりました。
とても自転車とは言えないレベルに到達していますが、この度、その記録が塗り替えられました。
2024年4月30日、イヴァン・シャルク氏ら率いるオランダのエンジニアチームによって、全長55.16mの自転車が世界最長の自転車として認定されたのです。
これは、シロナガスクジラ2頭分、もしくは普通自動車12台分の長さに相当します。
今回の記録における自転車の定義は、「前輪に取り付けられたハンドルで操縦される、前後に2つの車輪が付いたペダル式の乗り物」です。
また「前輪ハンドルを握るのは1人、自転車を漕ぐのは1人」という規定もあります。
イヴァン氏らは、この条件を満たせるよう、分厚い車輪2つと操縦可能なハンドル。そしてそれらを繋ぐ頑丈な胴体を用意しました。
そして、2人のライダー(1人が前でハンドルを握り、もう1人が後ろでペダルを漕ぐ)によって100mの距離を走り切り、ギネス世界記録のタイトルを獲得したのです。
しかし、彼らが記録を樹立するまでには、多くの試行錯誤がありました。
世界最長のタンデム自転車の記録も保持
イヴァン氏らは2018年から、「世界最長の自転車」の製作プロジェクトを開始しました。
しかし、新型コロナウイルスの蔓延によって、2年近く作業を中断しなければいけませんでした。
そうしたハプニングも乗り越え、何とか自転車を完成させ、2023年6月3日に「世界最長の自転車」としてギネス世界記録への登録を試みました。
ところが、認定を受けたのは「世界最長の自転車」ではなく、「世界最長のタンデム自転車」でした。
タンデム自転車とは、複数のサドルとペダルを装備し、複数人が同時に乗って駆動することができる自転車のことです。
彼らが設計した複数人で漕げる自転車は、「世界最長の自転車」の現在の規定「前輪ハンドルを握るのは1人、自転車を漕ぐのは1人」から外れていており、それゆえ自転車ではなく、タンデム自転車として認定を受けてしまったのです。
そこでイヴァン氏らは、すぐに新しい規定に沿うよう自転車を改造しました。
そして2024年4月30日、ようやく上記の要件を満たして「世界最長の自転車」の認定を受けることができました。
ちなみに、この最新版の自転車でも、ペダルを追加して「タンデム自転車」として、複数人で走行することができました。
とはいえ、この自転車を使って実際に公道を走ったり、カーブを曲がったりするのは難しいでしょう。
現在、世界最長の自転車は、オランダの町プリンセンベークの航空博物館に展示されています。
参考文献
180-foot bike certified as world’s longest –and it’s actually rideable
https://www.guinnessworldrecords.com/news/2024/6/180-foot-bike-certified-as-worlds-longest-and-its-actually-rideable
Niet één, maar twee wereldrecords
https://www.prinsenbeeknieuws.nl/nieuws/niet-een-maar-twee-wereldrecords/
Longest bicycle
https://www.guinnessworldrecords.com/world-records/29562-longest-bicycle
ライター
大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。
編集者
ナゾロジー 編集部