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頭が「トイレの便座」そっくり!太古の沼地モンスターの新種を発見!


新たに見つかった太古のモンスターは”トイレの便座顔”をしていたようです。

米フィールド自然史博物館(FMNH)らはこのほど、約2億8000万年前にいた新種の四肢動物を発見したと報告しました。

見た目はサンショウウオに似ていますが、全長が2.5メートル以上もあり、沼地の頂点捕食者として君臨していたと見られます。

特筆すべきは頭蓋骨の形で、研究者らは「トイレの便座の形にそっくりだった」と評しました。

一体どんな姿をしていたのでしょうか。

研究の詳細は2024年7月3日付で科学雑誌『Nature』に掲載されています。

 

目次

  • 新種の「四肢動物」の化石を発見!
  • 頭の形が「トイレの便座」に似ていた?

新種の「四肢動物」の化石を発見!

新種の化石は、アフリカ南西部のナミビアにある「ガイアス累層(Gai-as Formation)」から発見されました。

ガイアス累層は今から約2億8000万年前のペルム紀前期の時代をとどめた地層です。

恐竜が登場したのは約2億3000万年前の三畳紀ですから、それより数千万年も前になります。

研究チームは今回、この地層から頭蓋骨や脊椎骨を含む4つの断片的な化石を発見。

それを調べたところ、現代のサンショウウオに似た四肢動物の新種であることが判明しました。

発掘時の様子
発掘時の様子 / Credit: ja.wikipedia, Roger M.H. Smith(2024), canva/ナゾロジー編集部

四肢動物は、今から3億6000万年以上前に太古の海にいた肉鰭類(にくきるい)という魚類グループから進化し、陸地に進出しました。

彼らが最初に4本足を獲得したことで、そこから両生類や爬虫類、恐竜、鳥類、そして哺乳類が誕生することになります。

四肢動物が陸地に上がってくれていなければ、私たちヒトの誕生もなかったかもしれません。

またこれまでの研究で、初期の四肢動物たちは主に、当時の赤道付近にあったローラシア大陸(現在の北米やヨーロッパを含む超大陸)に生息していたことがわかっています。

しかし今回の新種が見つかったナミビアは、当時の南極付近にあったゴンドワナ大陸(現在のインド亜大陸、アフリカ、南米、オーストラリア、南極を含む超大陸)に属していました。

このことから研究者たちは、四肢動物たちは予想以上に早いうちから世界に広く進出していたようだと話します。

約3億6000万年以上前に肉鰭類の一部が陸に上がり、四肢動物が生まれた
約3億6000万年以上前に肉鰭類の一部が陸に上がり、四肢動物が生まれた / Credit: ja.wikipedia,canva/ナゾロジー編集部

そしてチームは新種の学名を「ガイアシア・ジェニエ(Gaiasia jennyae)」と新たに命名しました。

属名のガイアシア(Gaiasia)は化石が見つかったガイアス累層にちなみ、種小名のジェニエ(jennyae)は四肢動物を研究したパイオニアである故ジェニー・クラック(Jenny Clack:1947〜2020)に敬意を表しています。

さらにチームがガイアシア・ジェニエの復元を進めていくと、興味深い見た目の特徴が判明しました。

頭蓋骨の形がどうもトイレの便座にそっくりだったようなのです。

頭の形が「トイレの便座」に似ていた?

研究に参加したブエノスアイレス大学の古生物学者であるクラウディア・マルシカーノ(Claudia Marsicano)氏は、化石を見つけたときの興奮についてこう話しています。

「骨の巨大な標本が露頭に横たわっているのを見つけたときは本当に衝撃的でした。

ひと目見ただけで、これまで知られているものとは全く違うことがわかり、周りもみんなも興奮を抑えられないようでした」

またフィールド自然史博物館の古生物学者であるジェイソン・パルド(Jason Pardo)氏は「完全な頭蓋骨を含む本当に素晴らしい標本が残っていたため、この生物の何がユニークなのかを知ることができました」と述べています。

そして研究者たちが見出したのは、ガイアシア・ジェニエの頭がトイレの便座にそっくりな形をしていたことでした。

実際の化石の写真がこちら。

ガイアシア・ジェニエの化石標本
ガイアシア・ジェニエの化石標本 / Credit: C. Marsicano(2024)

まあ、確かにオーソドックスな便座の形に似ていますね。

ガイアシア・ジェニエは頭だけで長さ60センチもあり、口内には噛み合わせのよい鋭い牙も見られました。

また胴体を含むと全長は2.5メートル以上に達したと推定されています。

パルド氏は「彼らは人間よりも遥かに大きく、おそらく沼地か湖の底に生息していました」と指摘。

それから「大きくて平らな便座の形をした頭を持っていたので、口を開けて獲物を丸呑みすることもできたはずです」と説明しています。

大の大人でも噛まれれば、腕の1本や2本は簡単に持っていかれてしまうでしょう。

当時の生き姿を復元したイメージがこちら。

ガイアシア・ジェニエの復元イメージ
ガイアシア・ジェニエの復元イメージ / Credit: Gabriel Lio(2024)

ただ少し安心できる点として、ガイアシア・ジェニエは比較的動きがゆっくりで、スピードよりも待ち伏せに頼って獲物を食べていた可能性が高いようです。

「もし彼らと遭遇しても、逃げれるチャンスは十分にあったでしょう」とパルド氏は話しています。

またガイアシア・ジェニエの存在は、最初期の四肢動物とそれ以後に派生した四肢動物との間の空白を埋める存在としても役に立つと期待されています。

四肢動物たちがどのようなプロセスで進化し、両生類や爬虫類を生み出していったのか。

その進化の秘密はガイアシア・ジェニエのような隠れた生物たちを見つけることで、より詳しく明らかになっていくでしょう。

全ての画像を見る

参考文献

This Giant Swamp Creature With a Toilet Seat-Shaped Head Terrorized The Permian
https://www.sciencealert.com/this-giant-swamp-creature-with-a-toilet-seat-shaped-head-terrorized-the-permian

Giant salamander-like creature was a top predator in the ice age before the dinosaurs
https://www.eurekalert.org/news-releases/1049937

元論文

Giant stem tetrapod was apex predator in Gondwanan late Palaeozoic ice age
https://doi.org/10.1038/s41586-024-07572-0

ライター

大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。

編集者

ナゾロジー 編集部

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